新入社員の側に立った受け入れ準備の効用
「OJTリーダー育成にご関心をもたれた理由は何ですか?」3月7日に開催したセミナーご参加者お一人おひとりに理由を聞きしてみました。すると、
・初めて新入社員の育成担当になったから
・中途採用社員が入社する予定があるのでその準備に
・これまで我流でやってきたから、一度、基本を学びたいと思った
・自分は人材育成部門の担当者で、新人を受け入れてもらう職場に展開するために
・自分は人材育成部門の担当者で、新入社員研修を担当するので、育成に必要な考え方だと思ったから
など多岐に渡る目的をもたれていました。
しかし、進行過程の議論などから浮かび上がってきたのは共通の課題です。それは、
・新人~若手の離職が増えている(または、社内調査で離職に至りそうな傾向がうかがえる)
・中途採用社員が定着しない
・新人~若手のメンタルヘルス疾患が増えている(職場での関りに課題があるとみられる)
などです。
もちろん、本人が目指すキャリアのための転職であれば、自社としては残念であるものの、応援したい。しかし、歯止めをかけたい、予防したいのは、受け入れる風土を由来とする問題。そのためにあらためてOJT環境を整える必要があるとのご意見でした。
では実際に、独立行政法人労働政策研究所2021年3月26日公表資料「若年者のキャリアと企業による雇用管理の現状「平成30年若年者雇用実態調査」」を参考に見てみます。
本データは、入社1年未満、1年~3年未満、3年以上で分類され、「初職離職理由」選択肢が18項目用意されています。
特に注目したいのは、「入社1年未満」の項目です。他の世代の離職理由は「労働時間・休日・休暇」が最も高いのですが、この層に限ると、
1.人間関係がよくなかったー46.1%
2.仕事が自分に合わないーー39.3%
3.労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった―39.0%
という順になります。
このようなデータを見ると、受け入れる段階でのちょっとした行き違いによるものも多かったのではないか、という仮説も立ちます。
そのように述べる理由は、今回のセミナーでは、セミナー前にガイダンス動画にそって、約90分程度の事前準備を行っていただきました。準備していただいたのは、次の書類です。
1)組織図(組織全体から見た自部署の位置づけ)
2)自部署メンバーの役割表
3)新人の役割リスト ※最初に任せる仕事のみ
4)組織の理念・方針、理念や方針が大事だと感じた自身の経験
セミナー内で、このような明文化した書類などの職場での準備の有無をお聞きしたところ、例えば組織図は公表されているものがあっても、自部署の位置づけや役割までしっかり伝えられるようになっていなかったり、新人の役割を明文化したものはなかったりと、「新人の側に立った準備」はなされていなかったと声をそろえておっしゃっていました。
また、セミナー後にはより具体的な準備をしていただくようお伝えしました。
5)OJT指導計画書(最初の1年目の担当業務に付随する知識、技術、経験の一覧表)
6)OJT育成計画書(当面3ヶ月程度任せる仕事と達成基準を記載し、振り返られるもの)
計画書は策定過程で、上司や同僚の意見を反映したり、支援を取りつけたりなど、周囲への働きかけも重要であることをお伝えしています。
こんなに準備しないといけないのーーーと、感じられたかもしれません。
そこで、ここであらためてセミナーにて確認した、OJTと、OJTリーダーの定義について紹介します。
OJT(On-the-Job Training)とは
業務中に、業務の遂行を通して教育 訓練を行うこと。
その教育訓練を担当する者を『OJTリーダー』という。
より詳しく言うと・・・ 上司・先輩が部下・後輩に対し具体的な仕事を通じて仕事に必要な知識、 技術、職場における役割、取組み姿勢、態度、マナーなどの向上を“計画的”“継続的”“意識的”に指導・援助すること。 その指導・援助を担当する者を『OJTリーダー』という。
近年の育成現場は、新入社員を受け入れる職場は多忙で、指導・育成にあたる上司や先輩も新入社員との関わりに十分な時間を割くことができない現状があります。
しかし、入社しても辞められてしまえば、かえって生産性は低下し、忙しい状況が続くばかりです。
実は、多忙だからこそ、準備が大事だともいえます。準備がしてあれば、新入社員がそれを見て理解し、上司や先輩が不在の時は、その時できることを自分で探し取り組むことができるからです。
また、一度準備しておくと、次の時はそれを見直し改善を図ればよいので、準備の手間は徐々に軽減します。
また、準備をもとに育ったメンバーは、その準備をもとに次のメンバーを育成できるというメリットもあります。
よって、受け入れ前の準備を、新入社員の側に立って取り組んでおくことは、将来を見据えるとそのメリットの大きさはかなりのものといえるでしょう。
弊社では、7月以降の配属、中途採用社員の受け入れなどをご計画中の組織に向けて、
OJTリーダー育成セミナー ~育成に必要な準備力、関係性構築力、指導力をつける~を6月19日に開催します。
ご関心ある方は、セミナーご案内も参照ください。
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原田 由美子(ハラダ ユミコ) 代表取締役(人材育成コンサルタント、キャリアコンサルタント/国家資格)
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