【準備力】で差がつく新入社員の定着と成長
あとひと月半で4月。入社時教育の準備に本格的に取り組まれているご担当者様も多いのではないでしょうか。
その一方、人事・人材育成部門という人の育成の専門部署が一定以上の期間をかけて準備する入社時教育と比較すると、配属される職場での受け入れ準備はあまりなされていない、という声をよくお聞きします。
皆様の組織ではいかがでしょうか。
これまでの職場指導(On the Job Training 以下、OJT)は、配属先に一任し、その職場の上司や先輩の経験をベースに業務のやり方を中心に指導することが中心となっていました。
しかし、昨今入社する新入社員の傾向を鑑みると、このやり方がだんだん合わなくなってきているように見えます。そこで弊社では配属先の上司や先輩を対象とした「OJTリーダー育成セミナー」をご用意し力を入れております。そこで今回は、なぜOJT指導者育成に力を入れる必要があるのか、また、どのような準備が必要なのかについてご紹介します。
指導する側・受ける側のギャップの拡大
新入社員を受け入れるたびに世代間ギャップを感じ、少なからず課題を感じられている指導者(上司や先輩)も多いようです。では、何がそのギャップとなっているのでしょうか。特にキャリア教育導入前の世代(現在の40代以上)や、2024年度に四大卒を迎える世代に特徴的な3つの点から見てみます。
1つ目、小学校からキャリア教育が導入されており、常に目的意識をもつことを問われ続けている世代であること
2つ目、2024年度 四大卒は、大学入学とともにオンラインが主流となり、デジタルツールの活用があたり前の世代であること
3つ目、COVID-19の影響により、学生時代を通じて活動が大きく制限され、意識や行動範囲の個人差が大きい世代であること
つまり、指導する側とは全く異なる経験をしている人に業務を教えていかなければならないため、これまでの経験則が通じにくいことを考慮しておく必要があるということです。
では、このような世代に対し、職場で受け入れる側はどのように対応していく必要があるのでしょうか。
弊社ではこれを「準備力」、「関係性構築力」、「指導力」というキーワードを用いています。今回は「準備力」について紹介します。
職場配属に向けて、何を、どう準備すればよいか?
新入社員の心理の理解
2024年度入社のメンバーに限らず、近年入社している新入社員に共通しているのは、キャリア教育を通じ、長期的なスパンで物事を見据え、目的意識をもって物事に取り組むよう指導を受けていることです。
またその過程では、自分の得意・不得意など、自己分析を行う機会も多く、適性という考え方も強くもっています。
そのような教育を受けてきた世代にとって、組織全体の業務と自身が取り組んでいることのつながりが見えないと、不安に感じたり、混乱したりします。
その際、不安があったり混乱していることを、本人が気づけばいいのですが、本人もわかりません。ただ何となくやる気が出なかったり、表情が乏しくなったり、元気がなくなったりという状態になります。人によっては反発し、ぞんざいな態度に出ることもあります。
一方OJTにあたる上司や先輩は、そのような感情に気づくことができないので「頭でっかち」「やる気がない」「扱いにくい」と感じ、ますます指示や指導がおろそかになります。
これが、OJTでボタンが掛け違う最初のきっかけです。掛け違ったボタンはよほどのことがない限りかけ直されることはなく、早期離職やメンタルダウンなどにつながっていきます。
では、こうしたボタンの掛け違いを予防するために何が必要でしょうか。
新入社員配属前に職場で準備しておく必要があること
弊社セミナーでは、OJT指導にあたる方にセミナー前に次のことを準備いただきます。
- OJT計画づくり
- 新入社員に担当させる業務の役割、位置づけ、達成基準、なぜその業務をやってもらうのか
- OJT指導者と、指導者をフォローする人を設け役割分担をしておく
「OJT計画づくり」と「新入社員に任せる仕事」の明確化
OJT計画には次の要素を具体的に記載します。
・部署の役割、目標、年間の業務イベント(繁忙期・閑散期)
・新入社員に任せる業務の計画(当面3カ月程度)
実際に書き出してみると、うまく言語化できなかったり、曖昧に理解していることがわかります。また、上司と指導者で認識が微妙にズレている点が浮き彫りになることもあります。実は、こうした曖昧な状態が指導を受ける新入社員側にとってのストレスとなります。職場に余裕がある時期はちょっとした会話の中で軌道修正できたことですが、一人あたりが抱える業務量が多く、ちょっとした会話そのものがしにくい環境では、軌道修正がききにくいのです。
以上のことをもとに、全体としては1年。当面の予定として3カ月程度の計画を立てます。
計画を立てると、職場全体と新入社員の位置づけが見えるようになり、新入社員に目的や目標が伝わりやすくなります。
合わせて、計画には社内外で必要となる資格や、自主学習できる教材(動画、書籍、資料などのタイトル)なども添えておくと、新入社員が自ら努力する余地が生じ、新入社員自身も業務を自分ごととして捉えられるようになります。
今まで計画を作っていなかった場合は、計画をつくるだけでも大きな効果が得られます。
OJT指導者と指導者をフォローする人を設け、役割分担しておく
昨今のOJT指導者は、本人が抱える業務量もかなり多くなっています。そこに新入社員のOJTが負荷されるのは大きな負担です。そのことを新入社員側もよくわかっているので、確認や質問は最小限にしておこうと忖度します。OJT指導者側が「いつでも聞いてね」と伝えても、実際は「よほどのことがないと聞けない」というのが本音です。また、指示や説明を受けた時はわかっているつもりでも、実際にやってみると混乱しわからなくなります。この時自己判断をしやすいのですが、これがミスや失敗につながり、かえって指導者の負担を増やすことになります。「ご迷惑をおかけしてはいけない」と考える新入社員ほど落ち込み、その後の言動も消極的になります。
そこで、指導者以外にも、ちょっとしたことを確認しやすいフォロー役の存在が必要となります。フォロー役は、指導者よりも気楽に接することができるので、新入社員の側にとってもちょっとしたことを確認しやすいようです。また、指導者とフォロー役が連携することで、新入社員がどのようなことは理解がしやすくしにくいか、どのようなことは習熟が早く、どのようなことは遅いのか、客観的に見ることができ、指導もしやすくなります。
また、フォロー役を設けておくことで、指導者が長期不在になるような状況になっても、新入社員の育成は続けられるメリットがあります。
以上のような、計画、役割分担などを職場の上長と一緒に準備しておくことができると、新入社員も日々の業務に集中でき、集中できるので成長しやすくなり成長実感が得られ、前向きに取り組みます。新入社員の成長や前向きな取り組みは、職場にとっても好影響となるため、全体としての好循環が生まれます。
入社時教育でしっかりされている組織ほど、職場配属後のOJT指導者育成に取り組むと大きな効果が得られます。
弊社では3月7日にオンライン開催で「OJTリーダー育成セミナー」を企画しております。
OJTリーダーセミナーでは、ご紹介した計画書などをフォーマットとしてご提供いたします。
初めてOJT指導にあたる方も、順を追って準備を進めていただけます。
セミナーのご活用も是非ご検討ください。
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組織のミドル層(30代~40代)を、5年先のリーダーへ
ミドル層(30代~40代)を、組織の5年先のリーダーへ育成することを通じ、組織がお客様や地域社会から「なくてはならない存在」となるお手伝いを致します。
特に、経営層のご意向と現場の実情を鑑み、成果が上げられるよう企画~運営まで対応致します。
原田 由美子(ハラダ ユミコ) 代表取締役(人材育成コンサルタント、キャリアコンサルタント/国家資格)

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