定型的業務には目標管理制度よりコンピテンシー評価を
経営方針や目標を各部門および個人に落としこみ、実行していくためのマネジメント手法として、目標管理制度は非常に有用です。
しかし、目標管理制度さえきちんと実行すれば、十分なマネジメントができるかというと、そうではありません。
目標管理制度は、最初にゴール(目標)を決め、そこに向かっていくためのマネジメント手法です。
ですから、目標管理制度をきちんと運用するためには、最初にどのようなゴール(目標)を設定するかが重要です。
ただし、全ての社員が目標を設定できるわけではありません。特に、定型的な業務が多い現場の社員は、目標設定が困難です。たとえば、飲食店の店員が、半年毎に目標を設定するのは、現実的ではありません。
なぜかというと、飲食店の店員には、半年先のゴール(目標)よりも、一瞬一瞬の立ち居振る舞いをきちんとすることの方が重要だからです。
たとえば、
・「いらっしゃいませ」と明るくお客様に挨拶をする
・お客様が手を挙げたらすぐに気づくよう、常に店内のお客様の様子を気にかける
・注文をきちんと復唱して間違いのないように確認するなど。
目標管理制度では、こうした日常的な行動プロセスを網羅することはできません。
日常的な行動がきちんとしているかどうかを評価する方法としては、コンピテンシー評価というものがあります。
コンピテンシーとは、高業績者の行動特性のことです。
というとなんだか仰々しい表現ですが、飲食店で言えば、理想的な店員はどんな立ち居振る舞いをするのか、その行動をピックアップしてリスト化し、他の店員にもそうした行動を真似してもらいましょうということです。
人事評価の際は、日常的にどのくらいそれらの行動を徹底できているかを評価するようにすれば、みんなが理想的な店員に近づいていくはずです。
私は、今回例に挙げた飲食店の店員など、定型的な業務を行っている現場の社員についてはコンピテンシー評価のみで十分だと思っています。
そして、売上責任などがあって、明確なゴール(目標)を設定できる店長以上は、目標管理制度の対象とすればよいかと思います。
「目標管理制度を運用しているけど、現場社員には今ひとつフィットしていない」
「人事評価制度を構築しようとしているけど、どういう形にすればいいか分からない」
という場合に、参考にして頂ければと思います。
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