明確なルールの人事評価制度なしに企業は成長できない
企業が継続的に成長できるかどうかは、主要業務のプロセスだけでなく、社員をマネジメントするプロセスが確立できているかどうかで決まります。
売上に直接関係する主要業務については、企業は比較的早い段階で業務プロセスを確立します。飲食店であれば、キッチンやホールにおける一連の作業の流れは、オープンから数ヶ月経てば、ある程度確立されるでしょう。
しかし、企業が成長するためには、その主要業務が継続的にきちんと回っていくように社員をマネジメントすることが必要です。
起業当初は、社長がすべての社員をマネジメントしています。ただ、社員数が増えてくると、社長が現場の細かなところまで把握できなくなってきます。
そこで、一般的には管理職を設置して、その人物に現場社員のマネジメントを任せることになります。
しかし、それだけではうまくいきません。彼らには部下の人事評価をする権限がないからです。
義務と権限はセットです。現場社員のマネジメントをする「義務」を与えるなら、現場社員の人事評価をする「権限」も一緒に与える必要があります。
さらに、その人事評価は、明確なルールに則ったものでなければ効果がありません。
人事評価には、単に仕事ぶりを事後的に評価するだけでなく、「こういう姿勢で業務に取り組んでください」「半年後までにあなたがやらなければならないことはこれです」といった、部下への指示という役割も持っているからです。
部下に対して、管理職側が求める内容を示し、それを実行できたかどうかがを評価することになるため、管理職側にとっては部下のマネジメントをするための強力なツールとなるわけです。
ただ、実際には、人事評価のルールが確立されていないために、管理職に対して、部下をマネジメントするのに十分な「権限」を渡すことが出来ていない企業も多いのです。
この状態では、よほど優秀なマネジメントスキルを持った人でないかぎり、部下のマネジメントはうまくいきません。
その結果、顧客へのサービスレベルの低下や退職者の増加など、マネジメントが行き届いていないことに起因する問題が発生することになります。
社長からすると、「あいつに部下のマネジメントは任せられない」ということで、管理職の入れ替えを図るものの、やはりうまくいかないことの繰り返しになります。そして、結局「うちの会社はまだ管理職を任せられる人材が育っていない」という結論になり、社長が直接現場のマネジメントをやることになります。
こうなると、社長が現場をマネジメントできるキャパシティを超えて、企業が成長することはできません。
企業が成長していくためには、マネジメント能力の高い優秀な人材が彗星のごとく現れるのを待つのではなく、そこそこの能力があれば部下のマネジメントができるような仕組みを構築していかなければなりません。
だからこそ、これから成長していこうとする企業には、強力なマネジメントツールの1つである人事評価制度を構築することが必要不可欠なのです。
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