育児・介護のためのテレワーク等が来春努力義務化!支援策を解説
【目次】
1. テレワークとは
1.1 テレワークの定義と種類
1.1.1 在宅勤務
1.1.2 サテライトオフィス勤務
1.1.3 モバイル勤務
1.2 日本におけるテレワークの実施状況
2 なぜ今テレワークが求められているのか
2.1 企業を取り巻く外部環境
2.1.1 労働人口の減少・都市部への流出
2.1.2求職者の意識の変化
2.1.3 育児・介護休業法の改正によるテレワークの努力義務化
2.2 企業の内部環境
2.2.1 労働者のテレワーク志向の高まり
2.2.2 物価高に伴うコスト削減の必要性
2.2.3 事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)の重要性の高まり
3 テレワーク導入のステップとポイント
3.1 よくある失敗の原因
3.2 テレワーク導入のステップとポイント
4 テレワーク導入を後押しする国の支援策
4.1 補助金・助成金
4.2 パンフレット・ガイドライン
4.3 テレワーク総合ポータルサイト
5 テレワーク導入・運用に関する相談先
5.1 地域窓口
5.2テレワークマネージャー
令和2年、世界的に猛威を振るった新型コロナウイルス感染症の拡大防止を契機として、日本でも大企業を中心にテレワークを導入する企業が増加しました。そして、コロナ禍が収束した現在では、テレワークを部分的に継続実施する企業と、原則出社へと方針を転換する企業で二極化しています。読者の皆様の中にも、いずれの方針を取るべきか、悩まれている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
一方で、令和6年5月に公布された改正育児・介護休業法には、3歳未満の子どもを育てる労働者や家族を介護する労働者に対するテレワーク等の導入の努力義務化や、テレワーク等を含む育児期の柔軟な働き方を実現するための措置の義務付けなど、テレワークに関連する制度改正が盛り込まれ、令和7年4月以降段階的に施行されます。法改正への対応だけでなく、減少し続ける働き手に「選ばれる」企業になるためにも、「テレワークで働く」という選択肢を用意しておくことは重要なポイントになるでしょう。
そこで、本記事では、今こそテレワークが求められている背景についてご説明するとともに、テレワーク導入時のポイントや無料で利用できる相談窓口などについて詳しくご紹介します。
1 テレワークとは
1.1 テレワークの定義と種類
テレワークとは、総務省によって「ICT(情報通信技術)を利用し、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方」と定義されています。また、テレワークを「働く場所」という観点から区分すると、大きく以下3種類のテレワークがあります。
1.1.1 在宅勤務
在宅勤務は文字通り、勤務者の自宅を就業場所とする働き方です。「終日在宅勤務」と「部分在宅勤務」があります。
1.1.2 サテライトオフィス勤務
サテライトオフィス勤務は、本社オフィスから離れたところに設置したワークスペースで就業する施設利用型の働き方です。
サテライトオフィスには、自社や自社グループ専用で利用する「専用型」と、複数の企業や個人事業主が共用する「共有型」があります。
1.1.3 モバイル勤務
モバイル勤務は、移動中の交通機関や顧客先、カフェ、ホテル、空港のラウンジなどを就業場所とする働き方です。休暇で訪れた場所で仕事をする働き方で、「働く」を意味する「work」と、「休暇」を意味する「vacation」を組み合わせてできた造語である「ワーケーション」もモバイル勤務として分類されます。
国土交通省「令和5年度テレワーク人口動態調査」によると、最近では、テレワークと出社を組み合わせた「ハイブリッドワーク」が拡大傾向にあります。作業に集中したい日は自宅でテレワーク、アイディア出しなど対面でのコミュニケーションが有効な業務は出社して行うなど、テレワークと対面の長所を兼ね備えた働き方が支持を集めているといえます。
1.2 日本におけるテレワークの実施状況
日本では、令和2年4月の第1回緊急事態宣言の発出を契機にテレワークの普及が進みました。テレワークの実施率は大企業(資本金1億円以上)では約83%、中小企業(資本金1億円未満)では約50%にまで上がりましたが、その後は下降傾向にあります。また、大企業と中小企業とでは、実施率に約2倍の差がある状況が続いています。
【企業規模別のテレワーク実施率】
(出典)(株)東京商工リサーチ「新型コロナウイルスに関するアンケート調査(第2~6、8、10、14回)」を基に総務省作成
次に、都市部と地方部のテレワーク実施率の違いを見ていきます。総務省「令和5年 通信利用動向調査」を基に算出した数値によると、都市部(南関東、近畿、東海の3大都市圏を含む地域)における令和4年のテレワーク導入率は56.0%であるのに対し、地方部(都市部以外の地域)では38.2 %に留まっており、約1.5倍の差があることが分かりました。
以上の結果から、都市部の大企業ほどテレワークの実施率が高く、地方部の中小企業ではテレワークの実施が少ないことが分かります。
これを受けて、令和5年6月に閣議決定された「デジタル社会の実現に向けた重点計画」では、令和7年度にテレワーク導入企業の割合を全国で55.2%(南関東・近畿・東海地域では60.2%、それ以外の地域では45.4%)とすることを目標に掲げました。
2. なぜ今テレワークが求められているのか
コロナ禍が収束した今、なぜテレワークが必要とされ、国は導入を推進しているのでしょうか。その理由について、企業を取り巻く外部環境と、企業の内部環境の視点から考えてみます。
2.1 企業を取り巻く外部環境
まずは、企業を取り巻く外部環境を読み解きながら、テレワークの必要性について考えてみましょう。
2.1.1 労働人口の減少・都市部への流出
内閣府「令和6年度版高齢社会白書」によると、日本の生産年齢人口(15~64歳)は、2050年には5,540万人となり、2020年のおよそ7割程度にまで減少することが予想されています。また、総務省「自治体戦略2040構想研究会第二次報告」によると、三大都市圏への人口集中もさらに進むことが予想されており、地方部における人材不足は厳しさを増すと考えられます。
一方で、テレワーク環境を整備することができれば、AIやデザイン、デジタルマーケティングなど、地方部での採用が難しい傾向にある専門人材への柔軟な業務委託が可能になります。テレワークは、人口減少社会でも多様な働き手を確保するためのひとつの手段であるといえるでしょう。
2.1.2 求職者の意識の変化
コロナ禍を経てテレワークが一般的に認知されるようになった結果、求職者の働き方に関する意識も変化しました。(株)学情が令和8年卒業(修了)予定の大学生・大学院生を対象としたアンケート調査によると、回答者の約7割が「テレワークの制度がある企業への志望度が上がる・どちらかと言えば志望度が上がる」と回答しました。
また、令和3年にパーソルキャリア(株)が運営する転職サービス「doda(デューダ)」の会員を対象に実施したアンケート調査では、調査対象者の半数以上が「テレワークの有無は応募の意向に影響する」と回答しています。
2.1.3 育児・介護休業法の改正によるテレワークの努力義務化
令和6年5月に改正育児・介護休業法が公布され、令和7年4月より段階的に施行されます。
事業主には、3歳以上小学校就学前の子どもを養育する労働者が柔軟な働き方を実現できるようにするための措置(「始業時刻の変更等」「テレワーク等(10日以上/月)」「保育施設の設置運営等」「就業しつつ子を養育することを容易にするための休暇(養育両立支援休暇)の付与(10日以上/年)」「短時間勤務制度」の中から2つ以上)を講じ、労働者がその中から1つを選択して利用できるようにすることが令和7年10月から義務付けられます。
他にも、3歳未満の子どもを育てる労働者が短時間勤務が困難な業務に従事している場合、代替措置として事業主が講ずることが求められる措置の中にテレワーク等が追加されます。また、3歳未満の子どもを育てる労働者や要介護状態の対象家族を介護する労働者に対してテレワーク等を導入することが、新たに努力義務として事業主に課されます。(いずれも令和7年4月から)
2.2 企業の内部環境
次に、企業の内部環境からテレワークの必要性について考えてみましょう。
2.2.1 労働者のテレワーク志向の高まり
求職者だけでなく、企業で働く従業員にとっても、働き方の選択肢としてテレワークがあることは魅力的です。国土交通省「令和5年度テレワーク人口実態調査」によると、直近1年間にテレワークを実施した人の約85%が、通勤時間の削減や時間の有効活用を理由として、テレワークの継続意向があると回答しました。
厚生労働省「令和4年度 仕事と育児等の両立支援に関するアンケート調査」によると、育児による離職者500人のうち約3割が「テレワーク制度を利用できれば仕事を続けられたと思う」と回答しています。また、同省「令和3年度 仕事と介護の両立等に関する実態把握のための調査研究事業 労働者アンケート調査」によると、介護による離職者945人のうち約3割が「在宅勤務制度を利用したことはないが、利用したかった」と回答しています。
従業員がライフステージの変化によらず仕事を続けられる環境づくりのために、テレワークという働き方を選択できるようにすることは有効な手法です。人手不足で新規採用が難しい状況が続く中、育児や介護による離職を防ぐことは、従業員のみならず企業にとっても大きなメリットがあります。
2.2.2 物価高に伴うコスト削減の必要性
昨今の物価上昇により、企業にとっては固定費の削減も喫緊の課題となっています。テレワークの導入により、全従業員が出社するためのオフィススペースを確保する必要がなくなるため、オフィスを縮小し固定費を削減できるほか、オフィスの光熱費や通勤に要する費用などの削減も可能になります。
2.2.3 事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)の重要性の高まり
近年、新型コロナウイルス感染症をはじめとする感染症や激甚化・頻発化する自然災害によって事業の継続が困難になるケースが増加しています。平常時から事業継続計画を策定しておき、緊急事態への対応力を向上させることがますます重要になっています。
例えば、地震や洪水などの自然災害の影響でオフィスが利用できなくなった場合でも、テレワーク環境を整備しておけば事業継続が可能となる場合もあります。事業継続性の観点からも、テレワークの重要性が高まっています。
人口減少社会においても働き手に選ばれる企業であるために、また物価高騰や災害など様々なリスクの中で事業を継続していくために、育児・介護休業法が改正されるこのタイミングでぜひ、テレワークの導入・推進を検討してみてはいかがでしょうか。
3. テレワーク導入のステップとポイント
続いて、テレワーク導入のステップとポイントを説明します。まずは、よくあるテレワーク導入における失敗のパターンを見ていきましょう。
3.1 よくある失敗の原因
テレワーク導入に失敗する原因として、以下の4つの「不足」が挙げられます。
- 従業員への説明・理解醸成の「不足」
テレワークを導入するにあたり、従業員との事前の十分な合意形成や事前説明を行わず、経営者の独断で推進してしまうケースです。
現場で業務を行う従業員のニーズを汲み取らずに業務プロセスを変えたりテレワーク用のデジタルツールの導入を進めたりしても、現場にテレワークが浸透せず形骸化してしまうことになりかねません。
特に、デジタルツールの新規導入の際には、従業員に対して使い方などの説明を十分に行わないと、かえって業務効率が低下してしまうこともあります。
- 従業員のコミュニケーションの「不足」
テレワークの導入により、オンラインでのコミュニケーションが増えると、会話で補われていた細かい情報やニュアンスが伝わりづらいため、誤解が生じたり、コミュニケーション不足に陥ったりする場合があります。新人教育の難しさも指摘されています。 - 労務管理の「不足」
在宅勤務の場合、労働時間と生活時間の境界があいまいになり、オーバーワークにつながるリスクがあります。各人の状況が見えづらくなるため、メンタルヘルス面のサポートが不足する、一部のメンバーに負担が偏る、成果や勤務態度が適切に評価されないなどの問題が起こり得ます。 - セキュリティ対策の「不足」
オフィス外から社内のネットワークやシステムを利用することになるため、セキュリティ対策が不十分だと情報漏洩が発生する可能性があります。公共の場でオンライン会議を行う場合、悪意のある人物に話の内容を盗み聞きされる、PC画面を見られるなどの被害を受け、トラブルにつながってしまうこともあります。
3.2 テレワーク導入のステップとポイント
上記の失敗事例を踏まえると、テレワーク導入に向けてどのような準備や検討が必要になるのでしょうか。ここからは、一般的なテレワーク導入のステップと、そのポイントをご紹介します。
Step.1 テレワーク導入の経営判断・現状の理解
- 経営トップによる意思決定
テレワーク導入は目的ではなく、働き方のアイゼンや業務効率化のための手段です。自社では何のためにテレワークを導入するのか、経営トップが従業員に対し明確に表明することが最初のステップです。
- 現状把握・業務分析
各部門に対してヒアリングを行い、テレワーク対応可能な業務を洗い出します。現場があるなどの理由でテレワーク実施困難に見える業務でも、よく確認してみると「工事や製造の現場で報告書の作成まで行っている」「店先で請求や発注の処理を行っている」など、テレワーク可能な作業を内包しているケースも多くあります。
Step.2 推進体制の構築
- テレワーク推進プロジェクトチームの組成
テレワークの導入は、一部門で完結するものではないため、部門横断型のタスクフォースを組成して推進することが望ましいです。
経営企画部門、総務・人事部門、情報システム部門、テレワーク導入対象などを巻き込んでいきますが、導入対象部門のトップにリーダーになってもらうことがポイントです。
Step.3 導入範囲・各種ルールの決定
- 導入範囲・テレワーク形態の決定
テレワーク導入対象業務の特徴も踏まえ、テレワーク勤務を適用する対象従業員や、テレワーク形態(在宅勤務・サテライトオフィス勤務・モバイル勤務のいずれにするか、ハイブリッドワークを取り入れるかなど)を決定します。 - 労務・人事関連規程の検討
テレワーク勤務に適した勤怠管理方法やテレワーク勤務時の費用負担などについて検討し、就業規則に追加を行うか、もしくはテレワーク勤務規程を策定します。 - 評価方法の見直し
業務の遂行状況を適切に管理して人事評価を行わなければ、従業員のモチベーション低下につながりかねません。実績・業績をベースにした評価制度への変更を検討しましょう。
また、定期的に評価者と面談できる機会を設け、従業員の目標設定や進捗状況、課題などを把握することが望ましいです。 - コミュニケーションルールの策定
「定期的にチームメンバーで集まってカジュアルにコミュニケーションを取る」「評価者との定期面談は可能な限り対面で行う」など、対面コミュニケーションの良さを生かしたルールを設定します。
特に新入社員は、組織文化に馴染むまではコミュニケーション不足に不安を感じることが多いため、定期的に対面で接する機会を設けるとよいでしょう。
メンタル不調への対応のために、定期的なストレスチェックや産業医面談、外部相談窓口の設置を行う場合もあります。
Step.4 テレワーク実施環境の整備
- 必要に応じたデジタルツールの導入
テレワークの導入にあたって、「文書の電子化」は不可欠です。まずは、テレワークを導入する業務の特徴によって、電子化する文書と紙のままにする文書を峻別します。次に、機能面や費用面、セキュリティ面などの条件を分析して、導入するデジタルツールを検討します。 - セキュリティ対策の検討
テレワーク用端末の支給(私用端末の利用禁止)、セキュリティソフトの導入、アクセス制限、作業ログの管理など、必要なセキュリティ対策を検討します。
Step.5 トライアル導入・検証
- テレワークのトライアル導入
ある程度の準備が整ったら、お試しでテレワークを導入してみましょう。特定の部門で週1日テレワークをやってみて、改善の余地がないか探りながら徐々にテレワーク日数を増やしたり、対象部門を広げたりするなどのやり方があります。 - 効果測定の実施
トライアル導入の結果を定量・定性の両面から総合的に評価し、本格導入に向けた改善点の洗い出しを行います。
定量評価項目としては、固定費の削減幅、残業時間、顧客対応コスト、人材確保業務処理件数などがあります。定性評価項目としては、従業員アンケートを通じて収集した働き方への満足度や、オンラインでのコミュニケーションの満足度、情報セキュリティ意識の徹底度などがあります。
4. テレワーク導入を後押しする国の支援策
ここまで、テレワーク導入のステップとポイントを見てきましたが、「思ったより大変そうだな‥」と思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。だからこそ、国が様々なサポートメニューを提供しています。ここからは、実際にテレワークを導入するにあたって活用できる補助金や、ガイドラインなど、国の支援策についてご紹介します。
4.1 補助金・助成金
厚生労働省では、良質なテレワークの導入により、労働者の人財確保や雇用管理改善等の観点から効果をあげた中小企業事業主を支援する「人材確保等支援助成金(テレワークコース)」を提供しています。
本助成金は、1.テレワーク用通信機器等の導入・運用などに対して経費の50%を補助する機器導入助成と、2.就業規則・労使協定の作成変更や外部専門家によるコンサルティングなどに対して経費の最大25%を補助する目標達成助成に分かれています。本補助金を有効に活用することで、費用負担を抑えてテレワークを導入することが可能です。詳細は「ダウンロード資料」をご確認ください。
仕事と育児・介護が両立できる「職場環境づくり」に取り組む中小企業事業主を支援する「両立支援等助成金」にも、令和6年4月から「柔軟な働き方選択制度等支援コース」が新設されました。育児中の従業員の柔軟な働き方を可能にするための制度(始業時刻の変更等、育児のためのテレワーク等の導入、短時間勤務制度、保育サービスの手配・費用補助、子の養育のための有給休暇)を2つ以上導入し、従業員が制度を利用した場合に都道府県労働局へ申請できます。詳細は「ダウンロード資料」をご確認ください。
4.2 パンフレット・ガイドライン
テレワークに関するパンフレットやガイドラインは、すでに様々なカテゴリのものが整備されています。「ダウンロード資料」にも掲載していますので、まずは気軽に情報収集してみましょう。
4.3 テレワーク総合ポータルサイト
総務省・厚生労働省は、テレワークに関する様々な情報発信を行う場として「テレワーク総合ポータルサイト」を運営しています。
本サイトでは、上記で紹介した補助金やセミナーに関する情報のほか、テレワークを実際に導入した企業の導入事例や、次章で紹介する相談先・相談方法などを紹介しています。
5. テレワーク導入・運用に関する相談先
自社の状況・ニーズに合ったテレワークの導入や補助金の活用などについて、専門家に個別に相談したいという方もいらっしゃるかと思います。総務省・厚生労働省では、「地域窓口」と「テレワークマネージャー」を設置し、無料で相談対応を行っています。ぜひお気軽にお問い合わせください。
5.1 地域窓口
地域窓口には、全国の商工会議所や基礎自治体が運営する相談窓口が登録されており、テレワークに関する全般的な相談に対応しています。テレワークに限らず、デジタル化や離職防止などのテーマで、無料で参加できるセミナーを実施している窓口もあります。お近くの地域窓口は「テレワーク総合ポータルサイト」にてご確認ください。
(https://telework.mhlw.go.jp/info/about/access.html)
5.2 テレワークマネージャー
テレワーク導入に関する専門的なアドバイスや事例紹介、コンサルティングをご希望の場合は、テ レワークの専門家であるテレワークマネージャーに無料相談ができます。 テレワークマネージャーは、ICT 導入や労務管理などに強みを持つ資格保有者(中小企業診断士、 IT コーディネータ、社会保険労務士等)などが登録しており、3 回まで無料で相談することができます。
テレワークマネージャーへの個別相談を行った企業の声を「令和3年度テレワークマネージャー相談事業事例集」より一部抜粋して紹介します。「コンサルティングを受ける」となると、身構えてしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、まずは現状や相談者の思いを丁寧にヒアリングするところから始まります。利用者の満足度も高いものなので、ぜひ活用を検討してみてください。こちらも「テレワーク総合ポータルサイト」より申し込みができます。
- 「テレワークを活用して多様な働き方を行うために、必要な就業規則やセキュリティ規程の整備等について知りたいという趣旨で相談をしたが、テレワークマネージャーからは、その他にもテレワークに利用できる補助金等についても幅広く情報提供があり、今後のテレワーク活用や人財確保等のための環境整備に向けて参考になるアドバイスをいただいた。」(製造業A社)
- 「テレワークを導入し在宅勤務を長く続けると、組織全体のコミュニケーション不足や若手の精神的な孤立から始まり、長期的な目線で見た時の人材育成など、様々な問題が出てきた。 支援を受けたところで、本格的な目標管理の手法を導入し始めたのだが、社内の活気や前向きな空気を肌で感じているところである。継続して取り組むことで、会社の新たなる文化や風土を形成していきたいと思う。」(情報通信業B社)
- 「支援を受ける前は、自社共有サーバーの設置等の必要性を感じ、大掛かりな費用の支出を予定しなければならないのかと思っていたが、現在あるツールや安価なクラウドサービスを使う仕組みでほぼ解決できることが分かった。また、リモートデスクトップの仕組み等、新たな情報を取得することができ、多くの選択肢があることを理解した。」(建設業C社)
- 「当社は小売業であるため、これまでテレワークには不向きな業種と考えていた。しかし、テレワークマネージャー に相談したことで、業務を切り出すことでテレワークを実施することが可能であることに気づくことができた。 また、ICTツールを紹介頂き、ICTツールを活用することで業務の効率化やテレワーク環境の構築ができるとともに従業員が使用するハードルを下げることもできることが分かった。今後は補助金の活用も視野に入れながら環境の 構築を進めていきたい。」(卸売・小売業D社)
以上、本記事では、テレワークの概要からテレワーク導入のポイント、無料で利用できる相談窓口などをご紹介してきました。
テレワークは、コロナ禍の緊急対応であるという印象をお持ちの方もいらっしゃると思いますが、昨今の深刻な労働力不足などの状況を踏まえると、今後は時間や場所に制約されない働き方としてのテレワークの重要性が高まっていきます。
一方で、テレワークの導入は、単純にデジタルツールを導入すれば済むというようなものではなく、様々な変革を伴います。そのため、国も、補助金・助成金だけでなく相談窓口の設置など様々な施策を準備して後押ししています。
従業員が安心して働き続けられる環境を整えるため、 人口減少の中で貴重な働き手に選ばれる会社になるため、今こそ、テレワークの導入にチャレンジしてみませんか。
- 労務・賃金
- 福利厚生
- 安全衛生・メンタルヘルス
- 人材採用
- リスクマネジメント・情報管理
テレワーク・ワンストップ・サポート事業(総務省請負事業)
テレワーク導入に関する総合的な支援を無料で受けられます
有限責任監査法人トーマツ(ユウゲンセキニンカンサホウジントーマツ) Quality first
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