デジタルスキル標準「データサイエンティスト」の人材とは
DX人材育成の指針として経済産業省・IPAが策定した「デジタルスキル標準」では、DX人材のタイプのひとつとして「データサイエンティスト」が定義されています。今回のコラムでは、この「データサイエンティスト」について触れたいと思います。
人材類型「データサイエンティスト」とは?
デジタルスキル標準の「データサイエンティスト」では、「DX推進において、データを活用した業務変革や新規ビジネスを実現するために、データ収集・解析する仕組みの設計・実装・運用を担う人材」という定義がされています。
データサイエンティストに求められる役割としては、自社の競争力向上につながるデータ活用を実現すること、DXにおけるデータ活用の業務を遂行し、他のDX人材と連携することが求められます。データサイエンティストのロールには、次の3つがあります。
1.データビジネスストラテジスト
事業戦略に基づいたデータ活用の戦略策定と実現を主導する役割を担います。具体的な業務としては以下のようなものが定義されています。
- 自社の事業戦略におけるデータ活用の是非の判断や、データ活用戦略を策定する
- データ活用戦略を実現するための計画を主導し、他のDX人材との連携してプロジェクトのマネジメントを行う
- 現場を巻き込みながらデータ活用方法の見直しを行い、事業や現場業務の変革を実現する
- 取り組みの成果・課題を把握し、次の取り組みにつなげる
このロールにおいては、ビジネス戦略策定や分析に関するスキルや顧客理解、データ活用やAI活用についてのスキルにおいては高い水準が求められます。一方で、具体的なテクノロジーにおいては役割や関連性の理解ができるレベルの知識で十分とされています。
2.データサイエンスプロフェッショナル
データ分析を通じて業務変革やビジネスの創出につながる知見を導出する役割を担います。具体的な業務としては以下のようなものが定義されています。
- AI・データサイエンスの専門知識を活用したデータ解析を行い、評価・分析を行う
- データ分析の結果から、業務改革・ビジネス創出につながる知見を導き出し、可視化を行う
- 現場でデータ活用するための仕組みづくりや、エンドユーザーへの教育・サポートを行う
- データ活用の運用状況やニーズを踏まえ、分析モデルの改善を行う
- AI・データサイエンスの新技術を把握し、活用の可能性の検証をする
このロールでは、顧客ニーズの検証や、データ分析、AI技術などのスキルに高い専門性が求められます。一方で、ビジネス戦略やAI以外の分野の開発系テクノロジーについては、説明ができるレベル、あるいは、役割や関連性の理解ができるレベルの知識で十分とされています。
3.データエンジニア
効率的なデータ分析をするための環境の設計や実装、運用を担います。具体的な業務としては以下のようなものが定義されています。
- 業務データなどを効率的に収集・解析を行うためのシステムを設計し、その実装を主導し、最適な稼働をさせる
- 状況の変化に応じて、リアルタイムかつ自動的にデータ分析ができる環境を構築する
- データ処理・解析に必要となるデータの加工やデータマートを作成する
- 他のDX人材が適切にモニタリングできるよう環境を整備する
このロールにおいては、データ活用への理解やシステム開発に関するテクノロジー、セキュリティに関する高いスキルが求められます。一方でAIの専門知識やビジネス戦略・ビジネスモデルなどに関するスキルは説明ができるレベル、あるいは、役割や関連性の理解ができるレベルの知識で十分とされています。
デジタルスキル標準で定義されているDX人材の役割や、具体的なスキルセットをまとめた資料もありますので、ぜひ参考にしていただければと思います。
- 資格取得
- 情報システム・IT関連
幅広い分野のIT知識をもつ講師
大手企業研修をはじめ、神奈川工科大学での講演など産学連携活動にも従事。さまざまな企業や業界団体と共同でIT人材を育成するIT分野のゼネラリスト。ECHONET2.0技術セミナーWGの委員。
有村 克己(アリムラカツミ) インターネット・アカデミー株式会社 講師
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