ファシリテーション(5)
意見がまとまらない。前回は意見が出てこない場合の対処法の話でした。今回は意見がいくつも出てきてまとまらない場合について考えてみましょう。
仮にAとBとCという意見が出てきて、どれかに絞らなければならないといった場合、ファシリテーターの思考として「どれかにまとめなければいけない」と考えてしまいがちです。
しかし、いずれもまとめようがないから異なる意見となっているわけです。それよりも、まとめるという発想から一度抜け出て「自分達が必要とする意見が備えているべき条件」すなわち意見を絞り込むための評価基準について考えるようにします。
「それでは、意見をまとめていきたいと思います。まず意見を選ぶための評価基準を決めましょう」と話を切り出せば「費用」とか「立地条件」あるいは「簡便さ」などの意見が出てくるはずです。まずは評価基準をまとめて、それからそれぞれの意見を評価するようにします。評価基準をみんなでまとめていくことで、その基準でA,B,Cの意見を評価すれば納得感のある議論をすることができます。
また、ある案に「賛成か反対か」で議論が二分されることがあります。そうした場合には、一旦その案を白紙にして「新しい案をその場で作る」作業にエネルギーを向けたほうが生産的です。どうしたら今ある案がもっとより良いものになるか、その際に重要なのは反対意見よりも賛成する人の賛成理由です。賛成理由に沿った別のアイデアを、反対意見を参考にしながら作っていくように議論を進めることで解決の糸口を見つけていきます。
いかがでしょうか?これまで集団の英知をまとめていくことをファシリテーションの技術という形で紹介してきました。もっとたくさんお伝えしたいことはありますが、終わりのない話でもありますので、今回で一旦まとめとしたいと思います。
ファシリテーションを含めて技術は常に進化するものです。私自身も日々の仕事を通して立ち止まることのない成長を続けなければなりません。幸いにして様々な組織や人との出会いを通じて多くの知見を得る機会に恵まれています。今後も組織や人が良い方向に循環していけるお手伝いをあらゆる機会を通じて実践していくつもりです。
このコラムを読んで頂けた方とも、どこかでお目にかかれたら、そして新しい知見を一緒に生み出す機会が持てたら、と楽しい想像をしながら本テーマの結びとしたいと思います。
お付き合いくださり、ありがとうございました。よろしければ、今後書き進めるであろう他のテーマのコラムにもお付き合い下さい。
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400社4万人以上の指導実績があります。『人と組織の善循環』を拡げることが使命です。
研修プログラムも自ら開発し、講師として受講者が明日から実務で役立つツールの提供を心がけています。サラリーマンとしての経験とコンサルタントとしての経験をバランスさせ、理論に走らず受講者の立場や仕事内容に応じたアドバイスを心がけています
中西 真人(ナカニシ マサト) 株式会社M&RConsulting
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