つまらない「コンプライアンス研修」
■コンプラアンスに厳しくなる世の中
近年、企業を取り巻くコンプライアンスに対する目は厳しくなっています。
特に大企業や有名企業であるほど、何かあった際の影響も強くなります。SNS等の普及で、そのような情報は瞬く間に世間一般に拡散されるようになりました。どんなに小さな問題でも広く喧伝されてしまうだけでなく、意図せぬ形で尾ひれをつけられて企業や商品・サービスのブランドイメージを傷つける場合も少なくはありません。企業側でも様々な対策を行っていますが、できることと言えば社員や関係者への周知徹底・教育が基本になるのではないでしょうか。
つまり「研修」です。コンプライアンス研修、リスク研修、ハラスメント研修などの研修を実施している企業も少なくないと思います。
■コンプライアンス研修における企画側の課題感
ですが、人事部・管理部・法務部・リスク管理部等の研修を企画する側の担当者に話を伺うと、コンプライアンス研修は効果が薄く見えることが多いようです。他の研修とは異なり、なかなか参加者の参加意欲が高まらない、参加しても熱心に聞く、参加することがない…などの理由が挙げられます。つまり、参加者にとっては「つまらない研修」と映りやすい研修であるということです。
ではなぜ「つまらない研修」であると思われてしまうのでしょうか?
コンプライアンス研修の対象となる方々(管理職だけでなく一般社員含め)は、皆さんいい大人です。定義の解説や事例紹介などを行う研修は彼らにとって
- 「赤信号をわたってはいけませんよ!」
- 「人のものを盗ってはいけませんよ!」
と言われているようで、「当たり前のこと」「わかっている」となりやすいことが「つまらない」と思ってしまう要因です。実際の社内の事例や厳罰が下されたという話を顧問弁護士さんに紹介されても、どこか他人事で「自分とは関係のない世界の話だ」と映ってしまうようです。
■つまらない研修をどう変えていけばよいか?
「他人事」で「つまらない」コンプライアンス研修に、より効果を持たせるためにはどうすればよいのでしょうか?
まず、この手のリスク・コンプライアンス事故が特別な事象ではないこと、普通の人、即ち我々にも当たり前に起こりうることを伝える必要があるでしょう。できれば定量的、客観的に示してあげると良いと思います。
その上で自分事になってもらう工夫が必要です。そのために、「人間ドック」の例が一つのヒントになるのではないかと考えます。
例えば、最近メタボ気味で何かしら対策が必要な人がいたとします。この人に外部から「運動したらいいのでは?」「食事で脂っぽいものは控えるように」と言っても、本人は「昔、体育会系で運動やってたし大丈夫」「食事も自分で考えている」と聞く耳を持ちません。
ですが、彼が人間ドックに行くとこのような結果が出てきました。「身長172・体重85・BMI28.7、血圧140、血糖値...」。そして「血圧〇〇以上血糖値▲で、飲酒習慣が週1以上の人は、標準的な人に比べて成人病の発症リスクが3.5倍です」とあります。こうなると、「3.5倍のリスク」に対して無視できる人はそう多くはありません。どんな人でも、結果に対してそれ相応の受止め方をして、行動変容に対して前向きに取り組む姿勢が出てくるのではないでしょうか?
このように客観的な自己データのフィードバックという観点で捉えると、従来の「つまらない」「他人事」なコンプライアンス研修が、「興味深い」「自分事」な研修に生まれ変わる可能性があるのではないでしょうか。
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本田 宏文(ホンダ ヒロフミ) 株式会社マネジメントベース 代表取締役
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