正しいなぜなぜ分析とは │ 習うより慣れよ
現代のビジネスシーンにおいて、問題解決力は重要なスキルとされています。
特に、部下や後輩に対して「なぜなぜ分析」の導入を推奨し、組織全体で問題解決力を向上させたいと考えるリーダーは多いのではないでしょうか。
「なぜなぜ分析」は、問題の原因を段階的に掘り下げることによって、根本原因にたどり着くための有効なツールであり、使いこなすことができれば、短期間で成果を上げられる可能性があります。
しかし実際には、この手法を用いても、期待通りの結果が出ないケースが少なくありません。
原因が特定できなかったり、根本原因を突き止めたつもりでも、しばらくすると同じ問題が再発してしまうことが多々あります。
今回は、チームや組織の風土や体制にまで目を向け、再発防止体制を強化するためのお話です。
正しいなぜなぜ分析で、問題に取り組む文化や風土を革新!
ツールには、正しい使い方があるのです。
「なぜなぜ分析」の正しい使い方
多くの方が、「なぜなぜ分析」を誤って使っているケースがあります。
なぜなぜ分析は、正しい方法で取り組まなければ効果を発揮しないツールであり、扱い方を誤ると根本原因にたどり着けず、かえって混乱を招くことがあります。
言い換えれば、なぜなぜ分析には「取扱説明書」があるのです。
この取扱説明書に従い、適切な手順を踏むことで初めて、その効果が発揮されます。
私は、これまで数千人のビジネスパーソンに対し、なぜなぜ分析の使い方を伝えてきました。
彼ら彼女らは、この手法を学び、実践を繰り返すことで着実に問題解決力と改善力を高めています。
では、「なぜなぜ分析」を効果的に使いこなすためには、どのようなことに注意すればよいのでしょうか。
なぜなぜ分析が効果を発揮しない理由とは?
まず、なぜなぜ分析を行っても成果が出ない、あるいは期待通りの結果が得られない理由について、考えてみましょう。
多くの場合、分析の際に「なぜ?」を繰り返すだけで満足してしまい、深掘りが十分に行われていません。
「なぜなぜ分析」を、ただの形式的な質問として使ってしまうと、根本的な原因にたどり着く前に答えを出してしまうため、分析の深さが足りず、再発防止に繋がらないことがあります。
また、他者に「なぜ?」を問う際、相手が真剣に考えずに、表面的な答えを返してしまう場合もあります。
例えば、上司が部下に「なぜ?」を問いかけても、部下がその場しのぎで答えてしまうことが多く、根本原因にまで、迫ることができないというケースもあります。
加えて、なぜなぜ分析を行う際には、複数の視点や要因を考慮することも重要です。
1つの「なぜ?」に対して、1つの答えしかないとは限りません。
問題の背後には、複数の要因が絡み合っていることが多く、それぞれの要因を丁寧に探ることで、初めて全体像が見えてくることがあります。
これらの理由から、「なぜなぜ分析」は簡単なツールではなく、習得には練習と経験が必要です。
「なぜなぜ分析」の基本的なルール
なぜなぜ分析を効果的に使いこなすためには、いくつかの基本的なルールに従うことが大切です。
例えば、まず最初に「問題とは何か?」を明確に定義する必要があります。
この定義が曖昧だと、「なぜ?」を繰り返しても的外れな原因にたどり着いてしまい、本質的な解決にはなりません。
また、分析の過程で浮かび上がる「なぜ?」に対して、その都度、「他の要因はないか?」と自分に問いかけ、異なる視点を探ることも大切です。
問題に対する視野を広げ、複合的な要因を把握することで、分析の精度が格段に高まります。
私自身、この「取扱説明書」に従ってなぜなぜ分析を行うことを推奨し、受講者に繰り返し練習してもらっています。
例えば、初めてなぜなぜ分析に取り組む方には、30回程度の反復実践を求めています。
多くの方がこのプロセスを通じて問題解決力を身につけ、さらには改善力の向上にもつなげています。
正しい方法を繰り返し実践することで、問題解決のスキルは確実に磨かれます。
しかし、正しいやり方を理解しても、すぐに効果が出るわけではありません。
これもまた「習うより慣れよ」という言葉の通り、まずは実践を積み重ね、失敗と反省を経て初めて自分のものにできるスキルです。
意識改革のプロセスとしての「なぜなぜ分析」
なぜなぜ分析を通じて見えてくるものの中には、自分が見落としていたことや足りない知識、無意識の偏見などが含まれています。
分析を進めることで、表面的な答えではなく、より本質的な原因を突き止める際、自分自身に向けた「なぜ?」が浮かび上がることもあります。
このプロセスは、単なる問題解決だけでなく、自分自身の意識を改革するきっかけとなります。
例えば、「なぜこの情報を知らなかったのか?」や「なぜこう考えてしまったのか?」と自問することで、自分の思考や行動に新しい視点をもたらし、改善に向けた意識が自然と高まります。
なぜなぜ分析は、部下や後輩の意識を引き上げるだけでなく、自分自身にも学びと成長の機会をもたらすものです。
自己の内面に向き合い、日々の業務の中での気づきを得ることで、問題解決力と同時に自己成長力が鍛えられます。
変動の時代を生き抜く
さらに、このような意識改革を組織全体で促進することで、VUCA(変動性、不確実性、複雑性、曖昧性)の時代に強い組織文化を築く土台が整います。
個々のメンバーが自律的に問題を発見し、分析し、解決する力を持つことで、チーム全体が成長し、予測不能な変化にも柔軟に対応できるようになります。
実際に試してみませんか?
なぜなぜ分析を使いこなすには、ただ表面的に使うのではなく、正しい取扱説明書に基づいた手順を踏むことが重要です。
このような「取扱説明書」に沿ったなぜなぜ分析を学びたいとお考えの方には、ぜひ私のセミナーをおすすめしたいと思います。
具体的な方法やコツ、そして数千人に指導してきた実績をもとに、効果的な分析手法をお伝えします。
自己成長や問題解決力の向上に関心のある方、部下や後輩の指導にお悩みの方は、一度足を運んでみてください。
きっと、新たな気づきと成長の糸口が見つかることでしょう。
問題の明確化
なぜなぜ分析の第一歩は、解決すべき「問題」を正確に定義することです。
曖昧な問題定義は、的外れな原因分析を招き、根本解決に至りません。
まずは「何が問題なのか?」を、具体的に言語化することを徹底しましょう。
深掘りと多視点の探求
「なぜ?」をただ繰り返すだけではなく、複数の要因を考慮しながら丁寧に掘り下げることが重要です。
一つの答えに満足せず、「他にどのような要因が考えられるか?」と自問する姿勢が、分析の精度を高めます。
実践を通じたスキルの習得
なぜなぜ分析は習うより慣れよ。
繰り返し実践を重ねることで、問題解決力が磨かれます。
最初は30回程度の反復を目標にし、失敗や反省を通じて自分のスキルとして習得していきましょう。
ツールには、正しい使い方があるのです。
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坂田 和則(サカタ カズノリ) マネジメントコンサルティング2部 部長 改善ファシリテーター・マスタートレーナー
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