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専門家コラム

日本企業の「グローバル人材育成」の一考察②

前回の日本企業を取り巻く現状分析に引き続き、人事部門や事業部門としてトップの要請・経営の要請である「グローバル人材の確保・育成」にこたえられているのか?どうこたえるべきなのかを 5回のシリーズで考えていきます。

2.日本企業の海外進出の歴史とグローバル展開の類型

ここでは、 日本企業の海外進出グローバル化の進展について考えたい。

日本企業の海外進出は 1960年代後半から、先発企業の現地市場開拓や資源立地型の海外展開から開始された。
その後 1970年代から、欧米諸国との貿易摩擦対応のための電機・自動車メーカーの対米進出など、輸出代替、すなわち市場確保型、円高対応型などの海外展開が増大した。

80年代初頭までは、一部の先進的企業除けば、日本企業にとって海外進出先といえば、欧米の先進国であり、成熟した欧米のマーケットで欧米系企業を相手に新規参入者として製品シェアの拡大 を進めることであった。
そして欧米諸国で人気のでた商品を、アジアその他の発展途上国の富裕層に販売し、市場を獲得して企業としての有効な収益源としての海外市場を活用することであった。

1985年9月のプラザ合意以降の急激な円高に伴い先進国市場での競争力確保のため、海外直接投資額が激増し特に NIES・ASEAN地区に集中し、香港、シンガポールなどにおける地域本社・拠点の構想などが進展し、海外進出による企業の国際化が本格化した。
その後、日本経済のバブル崩壊に伴い海外直接投資は低迷したが、1995年の急激な円高により海外直接投資は増大した。
1997年のアジア通貨・金融危機の発生により、日系企業は業績が低迷し撤退する企業も多くあった。
2000年代に入ると、2001年の中国のWTO加盟を受けて、対中国直接投資が爆発的に増大したのは記憶に新しいところである。
2005年ころから前述したように新興市場への展開が開始されて、大企業の海外進出に伴って、サポートインダストリーとしての海外進出など、中小企業にも広がっており ごく一般的な経営戦略の一部になってきた。

次に企業のグローバル化と、典型的な企業の海外進出について整理したい。
企業の海外進出は一気に進むものではなく、いくつかの段階を踏んでいくことが知られている。海外進出段階の分類はいくつかあるが、グローバル化した企業の統治形態を4つに分類した、1990年にクリス トファー・A・バートレットとスマントラ・ゴシ ャールの論文を紹介したい。

彼らは、調査した企業から4つの特徴的なタイプを発見した。

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【1】マルチナショナル型:フィリップスやユニリーバなど。分権的に経営される現地子会社の集合体で、中央にいるキーマンが行なうコントロールによって1つに結びつけられる。
【2】グローバル型:フォードや松下など。
集中的大量生産によるスケールメリットと新市場への販売チャンネルを獲得することを目指す。多くの日系製造業の強みはここにあると考えられる。
【3】インターナショナル型:技術重視に徹し、知識と専門的能力を後進地域に移転する。
【4】トランスナショナル型:他の3つのタイプの要素をすべて兼ね備え、さらに現地拠点を中央の出先機関として運営するのではなく、ビジネスチャンスをつかむ重要な武器として現地のノウハウを利用するというものだ。

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トランスナショナル型まで進化せず日本本社主導のグローバル型を目指す、日本企業にあっては、日本人社員を各国に派遣して適材適所に活用する事業運営が行われる。

その国の生活レベル、習慣や嗜好に合わせて製品仕様を作り込まなければならないなど地域特有の市場情報の入手が必要となる。
そのため、現地法人に駐在するスタッフはある程度地域に詳しいことが求められ、本社から派遣される人材は本社と現地法人を往復するような人事異動がメインとなる。

 

次回 3.日本企業の「グローバル人材育成」の現状と課題 へと続く

 

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※本稿は、株式会社 東レ経営研究所発行の雑誌「東レセンサー」2015年1-2月号に掲載した
文書を一部修正したものです。


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コラム執筆者
中村 好伸
中村 好伸(ナカムラ ヨシノブ)
リロ・パナソニック エクセルインターナショナル(株)顧問
グローバル人材・人事全般のエキスパート!入社以来一貫して人事部門を歩み、海外拠点の人事や人材開発も経験
海外赴任に関するお悩みごと、日本人の国際化と異文化理解、海外安全・リスク対応等グローバル人材関連の支援活動はおまかせください。
長年にわたる日本国内外での人事・教育部門責任者の経験を活かして、企業向けグローバル人関連の支援活動をいたします。
得意分野 労務・賃金、安全衛生・メンタルヘルス、人材採用、人事考課・目標管理、グローバル
対応エリア 全国
所在地 東京都/新宿区

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