データ分析で成果が出やすい研修とは
こんにちは。Pythonエンジニア育成推進協会の吉政でございます。今回もPythonの人材育成に関して私見を述べたいと思います。お陰様で当協会のPython3エンジニア認定データ分析試験も開始して2年9か月で受験者数が1万人を超えました。受験いただいた皆様、推進していただいた皆様、ありがとうございました。
◆データ分析の研修は何故、一社研修が多いのか
長年、様々な認定試験の業務に携わってきた経験の話になりますがデータ分析の研修は1社研修の比率が多いです。一人ずつばらばらで受講するケースもありますが、部門単位でまとめてという受講のほうがはるかに多いように思えます。その理由は以下であると考えています。
1)データ分析を1社研修で行うと、クローズドなワークショップを行えるため
2)部内でデータ分析の知見にあるていど共有できていないと、会議が非効率になる為
※この件は次項で詳しく述べます
1)の話は私の実体験の話でもあるのですが、データ分析は座学だけでは、本質的な理解が難しいと考えています。私は長年、大手企業のマーケティング職級外部審査を担当していました。審査を受ける社員はそれなりの研修を受けてきており、ある程度、用語やマーケティングツールの使い方を理解しています。しかし、実際に事業企画を作ってみると、定量的な仮説と検証のロジックがきれいに流れないことが多かったです。座学で説明を受けて、言葉で理解しても、実際の分析力を養うには至らなかったということでした。データ分析はやはり実際の課題をもとにしたワークショップが一番、現実味もあり理解しやすいと考えています。一社研修で行うワークショップは、受講者がその会社に限られるため、かなり踏み込んだワークショップを展開できます。これこそがデータ分析の学習効果を高める方法の一つであると考えています。
◆社員・部員全員がデータ分析の研修を受けないと、効率的な会議が成り立ちにくい
これは前述の「データ分析は1社研修が多い理由の2)」の話です。データ分析の研修を受ければわかりますが、日常業務で使わないキーワードや考え方も多く、そもそも研修に参加していない方は、考え方や言葉を理解していないことが多く、データ分析を活用した会議で発言しにくいです。一方で、考え方や言葉を理解していないのに、発言をしてしまう人がいると、その方の発言で、会議時間が伸びたり、違った判断になったりすることが多いので気を付けたいです。実際にある話ですが、高い役職の方やベテランの方ほど、その理解に差が多く、研修を受けていなくても独学でかなり理解できている人もいれば、それっぽい発言をするけど、全く理解していないようなケースも散見されます。特に、部門長が後者の場合は、全体に影響をあたえるので、ワークショップを行う研修を部門長を含めて部門全体で受けるべきと考えています。
また別の観点から説明しますと、現場の業務は現場の観点と管理者の観点の両面で仮説を立てることが必要です。あるあるの話ですが、管理職が中心に決めると、データ入力が複雑しすぎて、データ入力業務の負担が多くなり、36協定等で労働時間の制限があるため、必然的に生産的な労働時間が減り、業績が出にくくなったり、会社のスピード感が減少し、会社全体の競争力が減少します。
そして、データ分析やデジタル化の話は、一度決めると長く続くことが多いので、前述のデータ入力の重さがその会社の文化になってしまいます。生産的な労働時間が多くなったり、スピード感が出にくい文化が定着してしまうと、修正が難しくなり、トップ交代、外部の資本参加、かなり優秀なコンサルタントの投入を行わなければ、解決できなくなります。一方で管理職が参加しないデータ分析は、見える化を実現しにくくなるため、管理職が参加しないデータ分析の会議もよくありません。そうならないように、管理職と現場の観点でデータ分析を進める必要があります。つまりデータ分析の研修は現場と管理職の部門全員の研修参加が重要だと考えています。
この話はもっと深く話すべき内容なので、また別の機会で解説したいと思います。
- 資格取得
年間登壇約20回、連載数15本以上、顧問先14社を持つマーケッター。著書「ITエンジニア向け企画力と企画書の教科書」大手企業の職級査定審査員
日本を代表する大手企業を中心にマーケティング支援を実施。日本のIT業界の発展のためには教育が重要であると考え、LinuxやXML、PHP、Ruby on Rails、Python、IPv6の検定試験を立ち上げ、運営組織の代表を歴任する。
吉政忠志(ヨシマサタダシ) 一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会 代表理事
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