外部(公開型)研修とインハウス研修、どちらの効果が高いのか?
AIの登場で「右脳」の働きに注目が集まる
ビジネスで活躍できる人材とは、「右脳」と「左脳」をバランスよく使える「ハイブリッド型人材」であるといわれます。
この場合の右脳とは、感性や気づきなどをつかさどる働きのことです。
また左脳とは、論理的思考やデータ解析などをつかさどる働きといえるでしょう。
右脳と左脳を両方とも発達させて、脳の使い方がより高度になればなるほど、その人はビジネスパーソンとして高い実力を備えることになるわけです。
今後、AIの発達が進むにつれて、人間の左脳の働きはAIでかなり補えるようになることが予想されます。
ということは、人材育成においては右脳をしっかりと伸ばしていく、という観点が重要になってきます。
「右脳」を効果的に鍛える方法とは
右脳を鍛えるには、次のような方法があります。
(1)一流に触れて感動する
(2)内省し、自分と向き合う
(3)「サプライズ体験」をする
どんな分野でも「一流のものに触れる」と人は感動するものです。
その感動は、大いに右脳を刺激してくれます。
文豪と呼ばれる作家の小説を読んだり、誰もが知る一流の美術品を鑑賞したり、一流といわれる料理を食べたり、一流のサービスを受けたりしたときに受ける感動によって、自分自身の感性が磨かれていくのです。
また、1日の終わりに、その日の出来事や、その日に考えたり感じたりしたことを振り返る時間をつくることも大切です。
たとえ5分間でも、こうした内省の時間をもつことで、右脳が刺激され、気づく力が高まったり、自分を客観視したりできるようになるでしょう。
3つめの「サプライズ体験」とは、いつもと違うことをしたり、初対面の人に出会ったりすることだといえます。
その際に緊張したり、どうしたらいいのかを臨機応変に考えたりすることでマンネリが打破され、右脳が大いに鍛えられるのです。
アウェイの外部(公開型)研修はサプライズ体験になる
社員研修において右脳を刺激するという意味では、講師を招いて社内で行なうインハウス研修よりも、社員を派遣する外部研修のほうがより効果的であるといえるでしょう。
インハウス研修は、特定の課題にフォーカスしたカリキュラムで学べるというメリットはありますが、日頃から慣れ親しんだ人たちと一緒に参加することもあって、やや緊張感に欠ける部分があります。
スポーツでいえば「ホームスタジアムでの試合」といったところでしょうか。
これに対して外部研修に1人もしくは少人数で派遣されると、たくさんの人と初めて顔を合わせることになり、緊張感が高まります。
こちらはいわば「アウェイの試合」です。
参加するだけで「サプライズ体験」となるため、高いレベルで右脳が刺激されます。
異業種交流を通して右脳が刺激され、視野も広まる
外部研修には「異業種交流」の意味合いもあります。
普段は知り合う機会のない業種業界で活躍する人たちとふれあうことで、たくさんの発見をすることができます。
一つには、自分の会社では当たり前、常識だと思っていたことが、他の会社ではそうではない場合がある、ということがわかります。
自分が井の中の蛙だったことに気づくだけでも、大いに右脳が刺激されます。
あるいは、普段は会社に対して不平・不満を感じていた人でも、他の業界の厳しさを知ることで視野が広まり、まだまだ頑張ろうと思えるかもしれません。
他の業界で行なわれているビジネスの手法を聞いて、自社の業務を改善するヒントになることもあるでしょう。
外部研修には、研修そのものの学びに加えて、こうしたさまざまなプラスアルファの効果が期待できるのです。
インハウス研修に行き詰まりを感じる場合、あるいはマンネリ化して顕著な効果が得られない場合、人材育成を担当される方には、ぜひ外部研修を選択肢に入れて検討されることをお勧めします。
特に若手社員研修においては、「右脳」がしっかりと鍛えられ、これからの時代の変化に柔軟に対応できる人材を育てる効果が期待できます。
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的場正晃(マトバマサアキ) PHP研究所 研修企画部長
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