「なぜ人と組織は変われないのか」
この問いは、人材育成に携わる私達にとって、そして経営者にとって永遠の課題です。
このタイトルに惹かれ、年末年始に「なぜ人と組織は変われないのか」
ロバート・キーガン&リサ・ラスコウ・レイヒー(著)を読みました。
変化対応がこれほどまで各社で必要とされる中、
変化を成功させることはなかなかできないと多くの人が感じています。
この本は変化に向き合い、変革を実現するためのメカニズムを
理論の展開だけではなく、実践方法や事例を元に描かれています。
多くのポイントがありますが、人材育成に携わる者として印象に残った指摘の一つに、問題に向き合う時、
「技術的な課題」なのか、それとも 「適応を要する課題」なのか、分けて考えているか、というものです。
これは、リーダーシップ論の研究者であるロナルド・ハイフェッツの指摘です。
「技術的な課題」
これは問題解決のためにどのような技術やスキルを習得すべきかが明確になっている課題のことです。
例) プレゼンが下手な営業、メールを書くスピードが遅い、部下のコーチングができない
「適応を要する課題」
一方でこちらは、問題解決のために、自分自身や組織の思考様式や行動を変えることが必要なもののことです。
例) 日々自分を環境に適応させていく姿勢がない、 自責ではなく常に他責、活気のない組織風土
解決策は分かっていても実践できていないことは社内に多くあります。
例えば、管理職の権限移譲がうまくいかない、といった身近な職場の問題を解決するには、
人材育成担当としては、例えばコーチングスキルを身に付けさせる、といった「技術的な課題」に目が行きがちですが、
本当のソリューションは、管理職自身が、自分自身を変化に適応させる必要があることを認識し、
その妨げとなっている考え方や価値観、 行動習慣は何かを見極め、それを変えていく、「適応を要する課題」かもしれません。
組織パフォーマンスを最大化するために、解決すべき課題が上記のうちのどちらの二つなのか?
これからの人材開発部門は、それを常に念頭に置いた上で、
人材育成計画を立てていくことが求められているのではないでしょうか。
「適応を要する課題」を解決するのは容易ではありません。
しかし、人は必ず、自分を成長させることは出来ます。
私たちも、一人ひとりの成長を加速化させるようなきっかけ・仕組み作りを支援していきたい、そう感じた一冊でした。
400ページ超のかなり骨太の本ですが、一読の価値があるかと思いますので、よろしければぜひ。
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「グローバル&自立型人材育成」をミッションとし、プログラムの企画・開発・コーディネートを手掛け、講師としても活躍!
海外のトップビジネススクール(HBS・LBS・IMD等)、国内外のトップトレーナー(HRDコンサルタント、コミュニケーション・異文化・語学スペシャリスト等)との協働で、400社以上の企業向け人材育成に携わっている。
福田 聡子(フクダ サトコ) グローバル・エデュケーションアンドトレーニング・コンサルタンツ株式会社 代表取締役社長
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