AI時代に求められる社員の思考能力とは:実践活用術アイデア編
今回はAIを活用して、新規事業アイデアを創出します。AIを活用することで、無限のアイデアを作り出すことができますが、全てをAIにお任せすることはできません。架空のケーススタディを通じて、AI の使い所を紹介します。
AIを活用してケーススタディ「新規事業アイデア創出」に取り組む
メガネフィット(架空の会社)は、全国に約100店舗を持つ中堅の眼鏡・コンタクトレンズ店です。メガネフィットでは年に1度、新規事業アイデアコンテストが開催されます。
(募集要項)
- メガネフィットの新規事業プランの募集
- 眼鏡の販売ではなく、自社の強みを活かせる新しい領域に挑戦したい
- 2~3年後には収益化を目指し、3億円規模の売り上げを期待する
- これまでにない新しいビジネスプランを期待する
AIの使いどころ(1) アイデア発想
どのようなアイデアが考えられるだろうか。さっそくAIに問いかけてみよう。なお、今回はマイクロソフトのBing AIを活用します。
「あなたは、新規事業のアイデアを出すことが得意なコンサルタントです。眼鏡屋のこれまでにない新規事業アイデアを5つ考えてください。その特徴を簡潔にまとめてください。」
すると、AIはこんな回答をしてくれます。
- 眼鏡レンタルサービス:眼鏡を購入するのではなく、月額料金で様々なデザインやブランドの眼鏡をレンタルできる
- 眼鏡カフェ:眼鏡屋とカフェを組み合わせた新しいコンセプトの店舗
- 眼鏡サブスクリプションボックス:眼鏡屋が定期的にお客様に眼鏡やアクセサリーを送る
- 眼鏡修理サービス:眼鏡屋がお客様の壊れた眼鏡を修理する
- 眼鏡カスタマイズサービス:眼鏡屋がお客様のオリジナルデザインの眼鏡を作成する
便利な時代である。AIに依頼すれば、すぐにアイデアを作成してくれます。ただし、このアイデアの中でどれが面白いか目利きをするのは人間です。私は出てきたアイデアに満足できなかったので、再度AIに問いかけてみることにした。
「この5つのアイデアは既に存在するアイデアです。これまでにないアイデアを5つ考えてください。」
何度も依頼できる点がAIの良い点だ。すると、AIはこう回答してくれた。
「すみません、私は既に存在するアイデアを参考にして考えました。これまでにないアイデアを考えるのは難しいですが、もう一度挑戦してみます。以下の5つのアイデアをご覧ください。」
- 眼鏡トレーニングサービス:眼鏡屋がお客様の視力回復や目の健康をサポートする
- 眼鏡ゲームサービス:眼鏡にAR(拡張現実)やVR(仮想現実)の技術を組み込み、様々なゲームや体験を提供します
- 眼鏡シェアリングサービス:眼鏡屋がお客様同士で眼鏡をシェアできるようにする
- 眼鏡コミュニティサービス:眼鏡屋がお客様に眼鏡に関する情報や交流の場を提供する
- 眼鏡チャリティーサービス:眼鏡屋がお客様に社会貢献の機会を提供する
AIは過去のデータからアイデアを発想するため、これまでにないアイデアを創ることは難しいと認めつつも、このように回答をしてくれました。私は、この中で1のアイデアに可能性を感じました。アイデアの目利きは人間が行う必要があります。なお、どれが面白いかをAIに依頼すれば回答してくれるが、この目利きは人間が行った方が精度が高いと感じています。
AIの使いどころ(2) ビジネスプラン完成
具体的なビジネスプランを作っていきましょう。AIに依頼します。
「眼鏡トレーニングサービスが面白いと思いました。このサービスの具体的な内容を考えてください。誰に、どのような商品サービスを、いくらで提供するか、考えてください。」
AIの回答がこちらです。
・ターゲット:視力が低下している人や、目の疲れや乾燥などの不快感がある人
・商品サービス:眼鏡トレーニング用の特殊な眼鏡と、それに連動するスマートフォンアプリ。お客様の目の状態や動きを測定し、オンラインで視力トレーニングや目のマッサージなどの指導を行う。お客様はアプリで自分の目の状態や進捗を確認できる。また、眼鏡屋とオンラインでコミュニケーションを取りながら、目の健康に関するアドバイスやフィードバックを受けられる。
・価格:眼鏡トレーニング用の特殊な眼鏡は、初回購入時に1万円で提供する。その後は、月額料金として2,000円でサービスを利用できる。
ビジネスプランもAIが作成してくれた。ここで人間の出番である。このサービスは果たしてうまくいくのだろうか?その検証を行う必要がある。検証すべき点は主に2点ある。一つ目が「売れそうなのか?(売れるストーリー)」、2つ目が「出来るかどうか?(出来るストーリー)」である。
売れそうかは、顧客調査を行う必要があります。実際に顧客にヒアリングする、もしくは、アンケートを通じてニーズを確認します。もし可能であれば、既にサービスが存在しているかのようなパンフレットを店舗に置いてみて、興味を持ってくれるお客様がいるかを確認することです。誰も興味を持ってくれなければ、ニーズは無かったとリリース前に気づくことが出来ます。
出来るかどうかは、社内の開発部門との調整が必要です。必要となるヒト・モト・カネを確認します。外部リソースの活用となる場合には、その可能性を模索します。
AIの使いどころ(3) キャッチコピー完成
ビジネスプランを作成し、売れるストーリーおよび出来るストーリーの検証が出来たら、いよいよサービス案の完成です。ここで、必要となるのがキャッチコピーです。新サービスの魅力を伝えるキャッチコピーをAIに考えてもらいましょう。
「商品の魅力を伝えるキャッチコピーを5つ考えてください。」
- 目のトレーニングは眼鏡で!
- 視力アップに挑戦!
- 目も楽しみながら健康に!
- 目のプロがあなたの目を見守ります!
- あなたも眼鏡トレーナーになれる!
どのキャッチコピーが良いだろうか。このようにAIを活用することで、効果的かつ効率的に新規事業アイデアを考えることができます。
ただし、アイデアはアイデアでしかありません。最終的にリリースするかどうかの意思決定および実行を行うのは人間です。そこには思いが必要です。またうまく行かなった場合に、軌道修正する人間の力も必要となります。
このコラムは「月刊人事マネジメント12月号」に掲載された記事になります。
- 経営戦略・経営管理
- マネジメント
- ロジカルシンキング・課題解決
年間100日以上登壇!課題発見力を追求!
問題・課題発見領域における実力派講師。思考力研修ならお任せあれ!
丁寧な指導をモットーに活動。三度の飯より研修カリキュラム開発が好き。「考える力」の養成を中心に様々な教育コンテンツの企画開発から提供まで幅広く携わっている。お客様のニーズにフィットした研修を実施し、皆さまの成長をご支援します。
高松 康平(タカマツ コウヘイ) 株式会社スキルベース 代表取締役
対応エリア | 全国 |
---|---|
所在地 | 文京区 |