これからはじめる健康経営
こんにちは。株式会社グッピーズで医療・介護・福祉に特化した人材サービス(中途採用、新卒採用等)と、健康管理アプリを活用したヘルスケアサービスの事業本部長を努めている木村と申します。
毎月、弊社が手掛けている人材と健康という両事業から見えてきた課題とその対策についてお伝えできればと思います。
今回は「これからはじめる健康経営」というテーマについて考えていきたいと思います。
・そもそも健康経営とは
健康経営とは「企業が従業員の健康に配慮することによって、経営面においても大きな成果が期待できる」との基盤に立って、健康を経営的視点から考え、戦略的に実践することを意味しています。(NPO法人健康経営研究会より)
当然のことながら、たとえ出勤したとしても、心身に不調を感じていると仕事に集中できず、能力やスキルを発揮できず労働生産性が低下する可能性もあります。
また、疾病や体調不良が原因で欠勤することも考えられます。
このように健康状態が悪いと、労働の質が下がり、結果として企業の業績に影響を及ぼすことは容易に想像が出来ます。
こういった状態に陥らないために、従業員を企業が成長する上での重要な資源と捉え、従業員の健康増進に対する投資を戦略的に行い、業績の向上を実現できるような環境作りが現在求められています。
・健康経営がもたらす効果
アメリカにおける先行研究によれば、健康に関連する企業の総コストのうち、医療費や薬剤費の直接費用は24%を占めるに過ぎず、労働生産性の損失は、75%を占めるといわれています。 その中でも最大のコストは何らかの疾患や症状を抱えながら出勤し労働生産性が低下している状態である「プレゼンティーズム」だといわれています。
そして驚くべきことに東京大学の研究によれば、このプレゼンティーズムによる損失は日本全体で19兆円、社員1人当たりで年間30万円と言われています。したがって企業が健康経営を押し進め、従業員の健康増進に投資をするとプレゼンティーズム損失の改善に繋がり、従業員1,000名の企業に当てはめると年間3億円のコスト改善の効果が出ると言われています。
また、健康経営の効果は労働生産性が向上するだけではありません。従業員の疾患や疾病率が下がり、医療費の軽減にもつながりますし、人材の定着率の好転や企業のブランドイメージの向上に伴い新卒採用への好影響も与えると考えられます。厚生労働省の令和2年雇用動向調査結果によると「給料」、「人間関係」に次いで「労働時間等の労働条件が悪かった」が離職理由として入っている事から、健康経営を推進することで労働条件が改善され人材の定着率が上がる事は容易に想像できます。そして株式会社学情が2023年3月卒業(修了)予定の大学生・大学院生を対象に実施したアンケートによると、就職活動の企業選びにおいて、重視することは「仕事内容」、「一緒に働く社員との相性」に次いで「福利厚生の充実」が入っています。福利厚生とは従業員が生き生きと働きやすい環境を作るという側面があることから、健康経営に注力している企業が新卒にとって就職先として候補に上がることは妥当な考えと言えます。
健康経営がもたらす効果は「プレゼンティーズムの改善」だけではなく、離職抑制と新卒採用力強化に繋がることから投資する価値が非常に高いといえます。
・健康経営をはじめよう
では健康経営を始めるためには具体的に何をすればいいのかを見ていきましょう。
1,健康経営を経営理念の中に明文化する
経営トップが健康経営の意義や重要性をしっかり認識するとともに、その考え(理念)を社内外にしっかりと示しましょう。企業として健康経営に取り組む姿勢を従業員や投資家等、様々なステークホルダーにメッセージとして発信するとなお良いです。
2,従業員の健康保持・増進に向けた組織体制の構築
専門部署の設置や人事部など既存の部署に専任職員、兼任職員を置くなどの対応方法があります。また、取組の効果を高めるため、専門資格を持つ職員を配置したり、担当する職員に対しての研修を実施するなども重要です。
全社が一丸となり健康経営に取り組むよう、企画立案の段階から、役員会での討議事項とする等の体制を整備し、経営トップ及び経営層全体において、その取組の必要性等を共有しましょう。
3,健康上の課題の把握
企業自身や健保組合等の保険者が保有する自社の従業員の健康状態のデータを整理し、課題を抽出しましょう。例えば、定期健康診断の結果や長時間労働の状況、特定健康診査やストレスチェックの結果などについて洗い出してデータ化する、という取り組み方法があります。このような基礎データを基に医療費を下げる、メンタル不調者を減らす、生活習慣病の罹患を予防するなどの目標に向けた施策を考えることが出来ます。そのほか、企業が独自に従業員の日常的な健康や身体活動に関するデータを取得して、健康づくりに生かすことも効果的です。
4,計画の立案と実施
自社の健康課題が把握出来たら、それに対応した保健事業を計画するとともに、取組成果の評価と計画の改善を効果的に行うことができるように、あらかじめ評価指標を設定し、成果の目標を立てましょう。
例えば、特定保健指導の実施率に課題がある場合は「目標実施率を45%に設定し運用の改善や工夫を行う」や、喫煙率に課題がある場合は「社員の禁煙を支援するため、禁煙外来の費用補助、産業医による社内禁煙外来、禁煙セミナー、喫煙所閉鎖などを実施し、喫煙率を10%改善する」などが考えられます。
・健康経営優良法人について
健康経営を始めたら次は健康経営優良法人の認定を取得しましょう。健康経営優良法人認定制度とは、優良な健康経営を実践している大企業や中小企業等の法人を顕彰する制度です。当制度は、大規模の企業等を対象とした「大規模法人部門」と、中小規模の企業等を対象とした「中小規模法人部門」の2つの部門により、それぞれ「健康経営優良法人」を認定しています。「健康経営優良法人」に認定されると、従業員や求職者、関係企業や金融機関などから「従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる法人」として社会的な評価を受けられます。それにより「ホワイト企業」イメージを醸成出来るので人材確保に有利になったり、 企業イメージが向上したり、自治体や金融機関などのインセンティブが受けられたりなどのメリットが得られます。
・まとめ
これまで健康経営について説明してきました。「健康経営」に取り組むことは業績や人材確保など企業に多くのメリットをもたらします。健康経営に取り組むことはこれまで説明してきた通り決して難しい事ではありませんので、出来る事から始めて第一歩を踏み出して下さい。
- モチベーション・組織活性化
- 福利厚生
- 安全衛生・メンタルヘルス
- 人材採用
- コミュニケーション
【人材とヘルスケアの両サービスで社会の課題をGoodな発想で解決します。】
メディアで培った企画力、発想力と当社の社会課題解決力をミックスして、
企業が抱える問題をヘルスケアを軸にGoodな発想で解決したいと考えています。
木村 仁士(キムラ ヒトシ) 株式会社グッピーズ 取締役事業本部長
対応エリア | 全国 |
---|---|
所在地 | 新宿区 |