試合と練習(OJTを問う)
僕は空手家でもあるのでスポーツの話題は大好きです。
ブログでも何度かスポーツに絡めたお話しをしていますね。
スポーツなどの競技では、正式な試合に出て相手に勝つためには、
相応の練習をするのがあたりまえです。
試合に勝つためには相手よりもより多くの練習
より効果的な練習を行わなくてはなりません。
最近メディアを賑わせている
リオオリンピック選手を取り上げた番組でも
彼らの練習風景などを見られた方も多いかと思いますが
すさまじいものがありますよね。
練習ではミスや試行錯誤があってもよいですが、
試合では相手に勝つためにミスなく実力を十分に出し切らなければ
勝利という成果が上がらないのです。
このスポーツにおける試合と練習の感覚と
ビジネスにおける感覚は極めて大きく異なります。
ビジネスにおいては競合会社に勝ったり、
業績が伸びることが勝利ということになりますが、
この勝利に向けての実際の活動は、試合と練習が混在しているともいえます。
OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)は、実戦で鍛えるということですので、
練習しながら試合するようなものでしょうか。
確かにスポーツの世界では試合などのように
限られた特別な場面が設定されます。
ビジネスにおいては長い勤務時間がすべて試合のようなものですので、
試合に出て別な時間で十分な練習をしようなどとはできませんね。
スポーツでは膨大な練習時間に対して試合時間は非常に短いですが、
ビジネスでは練習を十分に行うだけの時間的な余裕はなく、
そのため実戦の中で練習もしなければなりません。
新卒で入社した社員は十分な知識・スキルがありませんので、
最低限の実戦活動ができるようなトレーニング必要です。
多くの企業では最低限のトレーニング(新人研修)をして、
すぐに実務に投入します。
そして新人は実際に経験しながら成果を出させながら学ばなければならないのです。
実戦投入後は毎年評価を受け、個別に指導され、
またたまに行われる集合研修で最低限の知識・スキルを学びます。
ビジネスマンとして成長するために、
換言すれば試合に勝つためには、
仕事をしながらいかに学ぶかということが重要なのです。
この最低限の教育で実戦に投入するという育成方法は、
本当に効率的であるのかが疑問です。
成長するかしないかは本人のスタンスや配属された部署によって大きく異なり、
育成のスピードに大きなムラが発生します。
確かに最低限の教育のあとは実戦で成長するということは、
自己責任という意味では重要です。
しかし組織として見たときに試合に勝てるビジネスマンを多く確実に育成しようとしたならば、この方法の効果が疑われます。
十分な練習を積んだ者しか実戦に出さないほうが、
組織のパフォーマンスを上げるという意味では効率的なのかもしれません。
そのため管理職は自組織の成果を上げるのと同時に、
練習の指導もしなくてはならないという重荷(役割)を負っているのです。
働く側にも試合と練習が混在している中での甘えも発生します。
OJTは知識・スキルが十分でない社員を実戦に投入するということになりますので、
どこまでが試合でどこまでが練習化が分からないという感覚になります。
練習中だからできなくて当たり前であるような感覚です。
OJTは大切です!
ベテランからの指導は短期間で人のパフォーマンスを上げることができる
有効な手段だからです。
しかしOJTに頼りすぎるもの大いに問題があります。
もっといえば最近の企業はあまりにもOffJTを軽視しすぎていますし、
自己学習、自己研鑽に対する意識付けも強烈さが少ないように感じます。
十分な練習を積んだ社員ばかりであれば、
常に試合に勝てる組織になれるはずです。
業務は試合であるとするならば、
会社が十分な練習を提供するか自主トレを強力に推奨することが必要かもしれませんね。
人事コンサルタント 金森秀晃
- 人事考課・目標管理
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人事コンサルタント。1級キャリア・コンサルティング技能士。「飛躍シナジー理論」に基づく、わかりやすく、修正しやすい人事システムを提供します。
医療・介護・薬局業界を中心に研修・人事評価制度の構築を行い、導入実績は500法人を超える。年間300件以上の研修を実施、リピート率は脅威の91.7%。被評価者納得度90%以上を誇るZACの人事システムは、延べにして370件以上が導入。
金森 秀晃(カナモリ ヒデアキ) 株式会社ZAC 代表取締役社長
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