プロが教える!研修効果を最大限に引き出す方法
ChatGPTに代表されるAI技術が次々と誕生し、現代のビジネス環境は常に変化を続けています。このような状況下で生き残りを図るため、企業は社員教育や研修に力を注ぎ、リスキリングやリカレント教育が社会トレンド、バズワードとなるほどです。
一方で、研修を実施しても、期待した効果が得られないという企業側の声を耳にする機会も増えてきました。「研修テーマが受講者のニーズに合っていなかった」「実践的なスキルや知識が身につかなかった」など、研修企画や設計でのミスマッチが主な原因です。
そこで、本コラムでは、研修の効果を最大限に引き出すために必要な3つのポイントを解説します。より効果的な研修の実施につなげていただければ幸いです。
1. 研修の目的を設定する
当然のことと思われるかもしれませんが、研修の目的を設定することは、受講者が何を習得すべきかを理解し、研修内容に対する期待値を上げることにつながります。
目的を定める際には、具体的かつ明確な表現にしましょう。例えば「営業力を向上させる」ではなく、「営業における交渉スキルを磨き、受注率を○%向上させる」のようにします。後者のケースでは、受講者が抱える課題と組織の目標がリンクしており、より具体的に受講効果をイメージすることができます。
2. ニーズに合わせたカリキュラムの設計
受講者のニーズに合ったカリキュラムは、積極的な研修参加と習得するスキルや知識に対する興味関心を高めることにつながります。
ニーズを把握するための一般的な方法はアンケート調査です。受講者の業務内容や職務経験、スキル・知識レベルなどを把握し、それに合わせたカリキュラムを設計しましょう。
ここで注意したいのが、受講者だけでなく「上司」のニーズも把握することです。下の図をご覧ください。
この表から分かるように、研修前の上司の働きかけが研修の成否を分ける鍵と言っても過言ではありません。上司が、「研修に参加させる意味」「研修で何を学ぶのか」「研修受講後に期待する行動・活動」などを前向きに伝えているかによって、研修効果は驚くほど変わります。上司が研修に気持ちよく送り出せば、受講者は高いモチベーションで研修に参加してくれることでしょう。それが結果的に研修効果を高めることになるのです。
3. 実践的なロールプレイを先に行う
研修は、現場で最大限のパフォーマンスを発揮するための「練習の場」という役割も担っています。理論や考えを学ぶインプット型の研修もありますが、ビジネススキルの修得を目的とする研修であれば、「経験」というアウトプットに比重を置くようにしましょう。
実践的なロールプレイをやらせてみて気づきを促した後に、講義や解説をして理論に入っていく研修設計があります。この研修設計は、E(Experience:経験)→A(Awareness:気づき)→T(Theory:理論)の流れに沿って学習を進めることからEATモデルと呼ばれます。「研修とは理論を教え、その後に実践をさせるもの」というのは思い込みでしかないのです。
なお、ロールプレイは実務に即したシチュエーションを想定して実施すると効果的です。受講者が実際に直面する可能性のある業務上の課題や問題点を演習で経験することで、現場に戻ったときにすぐに学習したスキルを発揮することができます。
まとめ
研修効果を最大限に引き出す方法をみてきました。「研修の目的が曖昧」「上司からの支援がない」「理論ばかりの研修である」といった状況だと、期待する効果は得られません。まずはここに挙げた3つのポイントを重点的に意識して、研修企画やカリキュラム設計をしてみてください。当コラムがより効果的な研修実施のお手伝いになれば嬉しく思います。
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年間200冊の読書量に裏打ちされた豊富な知識で、お客様の課題を解決に導く
2017年より株式会社ヒップスターゲートに参画。前職での人事経験を活かしてお客様への提案活動に邁進。現在は営業部門責任者として、オンライン研修の営業、社内勉強会の普及、後進育成に心血を注いでいる。
遠藤 孝幸(エンドウ タカユキ) 株式会社ヒップスターゲート セールスマネジャー
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