社会心理学に学ぶ
心理学と聞いて、皆さんは何を思い浮かべるでしょうか?心を深く知り、理解することで、人を助けたり、よりよい社会をつくることに活かそうとする学問で、基本は「一個人の心の過程」を対象にしています。
その心理学の中で、集団や社会について研究している【社会心理学】から、今回は、ハラスメントの要因や仕事に活かせる考え方をピックアップします。
まずは、ハラスメントが起こりやすい組織の特徴として【属人思考】というものがあります。
問題を把握解決するにあたって、問題の内容や意見の内容そのものよりも、「誰がやったか」「誰が言っているか」ということを重視するような風土の事です。
属人思考の高い組織では「社長ならば多少のハラスメントは仕方ない」「あの部長はもともとそういう言葉遣いをする人だから」等の思考に陥り、ハラスメントが報告されても、会社側の対応が遅れてしまう事も多々あります。
また、被害者側も「この組織でハラスメントを報告しても相談にのってくれないだろう」、「会社はハラスメントを隠そうとするだろう」、「対処しないだろう」という様に、相談しても解決に結びつかないだろうという諦めが発生しやすくなります。
次に、仕事で使える社会心理学の一つが【おとり効果】です。
下記は、大学生100人に行った雑誌の購買案内です。
1 Web版の年間購読・・・価格59ドル
2 印刷版の年間購読・・・・価格125ドル
3 Web版と印刷版の年間購読・・・・価格125ドル
其々の購入者は右の図の結果でした。
そもそも 2 を提示する必要は無かったのですが、3 を購入させる
為に「おとり」として 2 を提示しています。
これは、人は必ずしも合理的な判断をするわけではなく、『相対的に判断』しがちだという心理を突いた手法です。
最後に、欧米と東洋の自己観の差【文化的自己観】を見てみましょう。
欧米に多いのが「自分は他者から独立した存在」という考えで、所謂オンリーワン、ナンバーワンの思考。一方東アジアで共有されるのは「人は、他者や周りの物事との関係性があって初めて存在する」という考え。関わっている人間関係そのものや、他者との関係性を重要視します。
思考特性も、欧米人は物事自体の特徴に注目する「分析的思考」であるのに対し、東アジア人は、物事とその周辺の関りに注目する「包括的思考」だと言われています。
アメリカ人と、台湾・中国人の学生に左の3つのイラストを見せ、どの2つが近いかを尋ねた実験です。
アメリカ人・・・パンダと猿→動物というカテゴリー(分析的)
台湾・中国人・・猿とバナナ→猿はバナナを食べる関係(包括的)
海外の方々と共に仕事をする際に、何かヒントになると良いですね。
人は自分が思っている程、一般的でも合理的でもなく、集団の中で流されやすい点がある事を理解するだけでも、人との関わり方や考え方が広がるかもしれませんね。
- モチベーション・組織活性化
- 安全衛生・メンタルヘルス
- リーダーシップ
- マネジメント
- コミュニケーション
●東海エリアの官公庁・団体はじめ、大手・中堅・中小のメーカー・流通小売・販売・サービス業への講師・講演実績多数。
●職場活性化、定着率向上、職場のモチベーションアップ等に向け、マナー、メンタルヘルス、コミュニケーション、コーチングや心理学のエッセンスを取り混ぜ、効果の高い研修を実施。
平野 睦(ヒラノ ムツミ) 専任コンサルタント兼講師
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