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人事施策を評価する:(4) 応用行動分析学的アプローチ

はじめに

TIS株式会社の西村友貴です。人的資本データ利活用に関するコンサルティングサービスを提供しています。

本コラムでは、人事施策を評価し、施策の改善や社内外への開示に活かすための方法について解説します。

次の通り、全5回のコラムを公開する予定です。

 

人事施策を評価する:(1) 重要となる4つのアプローチ

人事施策を評価する:(2) KPI・コストのモニタリング

人事施策を評価する:(3) 因果推論的アプローチ

人事施策を評価する:(4) 応用行動分析学的アプローチ

人事施策を評価する:(5) 予測妥当性検証

 

今回は「(4) 応用行動分析学的アプローチ」の内容になります。

 

因果推論的アプローチが適用できない場面

前回のコラムでは、「(3) 因果推論的アプローチ」について解説しました。

因果推論的アプローチは、施策の効果を知りたいときに、別の変数の影響をなるべく排除して捉えるための分析方法論でした。この方法論は、施策の対象集団/非対象集団の変数を扱うということが前提になっています。

しかし、実際の人事施策の中には、集団レベルではなく各個人にアプローチするような取り組みもあります。例えば、内定者フォローや新入社員に対するオンボーディング、高ストレス者へのサポートなどです。

こういった個別介入の場合には、因果推論による集団の分析を適用することができません。この場面において適用されるのが、応用行動分析学的アプローチです。

 

応用行動分析の意義

応用行動分析では、各個人の行動にフォーカスします。個人に介入することを前提に、増やしたい行動(場合によっては減らしたい行動)を観察・測定し、その行動の増減を確認するアプローチです。

施策の評価といった場合に、行動ではなく、サーベイの結果などから施策の効果を捉えることも多いと思います。しかし、パフォーマンスの向上や組織変革は、個人の行動変容の積み重ねによって実現されるものですので、行動自体を観察・測定することの意義を忘れてはいけません。「個人の行動を変えるために効果的なのは、具体的にどんな介入なのか」を探りたいとき、個別介入事例から行動の変容度合いを確認するのが最も適した方法です。

本コラムでは、個別介入事例から効果を捉えるためのアプローチ方法をご紹介します。次の図は、そのアプローチにおいて重要な2つのポイントを表したものです。

それぞれの考え方について説明いたします。

 

ABC分析で行動のメカニズムを探る

1つ目のポイントは、行動を増やすため方法や行動変容に至らない原因を探るための方法についてです。

応用行動分析の一つの方法論として、ABC分析があります。これは、先行状況(Antecedent)、行動(Behavior)、結果(Consequence)の頭文字をとったもので、行動が強化もしくは弱化されるメカニズムを3要素で説明するというものです。

研修などを通じて望ましい行動を強化したい(行動回数・頻度を増やしたい)場合の例を考えてみましょう。

例えば、長期間で実施する若手社員研修の中で、ある新人に望ましいタスク管理行動「業務状況を可視化する」「上司に相談する」を身につけてほしいとします。ここで、この行動のメカニズムをABC分析で考えます(図の左側参照)。

まずB(行動)「業務状況を可視化する」「上司に相談する」の前提となる場面A(先行状況)としては、「業務量が多い」「進捗が悪い」などが挙げられます。そして、C(結果)としては、ポジティブなものだと「上司にほめられた」「業務調整をしてくれた」、ネガティブなものだと「上司に無視された」「業務調整を断られた」などが挙げられます。

ABC分析では、ポジティブな結果Cが得られた場合、同じ先行状況Aになったときに行動Bをとりやすくなる(行動が強化される)と考えます。反対に、ネガティブな結果Cが得られた場合には、同じ先行状況Aになったときに行動Bをとりづらくなる(行動が弱化される)と考えます。

上記の例で考えると、もしある新人が「業務状況を可視化する」「上司に相談する」という行動Bをなかなかとろうとしない場合、単純にその行動を学んでこなかった可能性もありますが、過去に「上司に無視された」「業務調整を断られた」というネガティブな結果Cを経験し、行動Bが弱化されてしまっている可能性も考えられます。

行動Bをなかなかとろうとしない対象者には、行動を強化するように介入することが重要になります。同様の先行状況Aを用意し、対象者が行動Bをとったらポジティブな結果C「上司にほめられた」「業務調整をしてくれた」を与えてあげるのです。これが、ABC分析における効果的な介入になります。

また、このアプローチは問題行動を弱化したいときにも役立ちます。

例えばある社員が、同僚がミスをした(先行状況A)ときに、同僚に対して大きな声を出して怒る(行動B)とします。もしこの行動Bを減らしたい場合には、「直後に上司から個別に注意される」「行動評価において減点される」などのネガティブな結果Cを与えてあげるといった介入をするとよいでしょう。

以上のように、行動のメカニズムに関してABC分析を行い、対象者の行動の問題点や必要な介入を具体的に言語化することが1つ目のポイントです。

 

行動を測定し、介入前後で比較する

2つ目のポイントは、行動の変容度合いを確認して介入の効果を捉えるための方法についてです。強化もしくは弱化したい行動(目標行動)の回数や時間・頻度などを観察・測定し、時系列で推移を可視化します。そして、その推移を介入前後で比較することで、介入の効果を捉えるのです。

例として、図の右側のグラフで、従業員1の目標行動回数の介入前後の傾向を比較してみましょう。介入する前の傾向(ベースライン)は、行動回数が1~3で変動しています。介入している間には、行動回数が5回以上に増えています。そして介入後を見ると、行動回数が増えたまま維持されています。この傾向の変化から、「介入をしてから行動が変容した」とみなすことができるわけです。

ただし、行動回数の傾向の変化が、介入効果によるものなのか他の要因によるものなのかは、このグラフだけではわからないという点には注意が必要です。この問題点に対処するための方法の一つとして、「複数の従業員に対して時期をずらして介入し、それぞれ介入前後の変化を捉える」というやり方があります。

図の右側のグラフを例に考えてみましょう。従業員1と従業員2それぞれの行動回数のグラフが示されています。介入したタイミングを比較すると、従業員1には先に介入しており、従業員2には遅れて介入しています。

もし、介入効果ではなく時期による影響(同時期に起きた別の要因による影響)で行動変容が起きる場合には、介入したタイミングに関係なく、従業員1と従業員2両方が同時期に行動回数の傾向が変化するはずです。しかし、このグラフをみると、同時期に変化しているわけではなく、2人とも介入をしてから傾向が変化しています。このことから、「介入によって行動変容が起こった」可能性が高くなるわけです(介入以外の要因によって行動変容が起こった可能性が低くなったと言えます)。

今回は従業員2人の場合で説明しましたが、さらに対象者数を増やしていって同様の傾向(介入してから変動するという傾向)が再現されれば、「介入によって行動変容が起こった」という結論の信頼度が増していきます。

以上のように、行動の観察・測定結果を時系列で可視化し、介入前後で比較することが、個別介入効果を評価するための代表的なアプローチになります。

 

 

さいごに

施策評価の応用行動分析的なアプローチとして、ABC分析による行動メカニズムの言語化と、行動傾向の介入前後比較をご紹介しました。

このアプローチは、研修・育成場面はもちろん、品質向上・リスクマネジメントの実践場面やサービス業における接客場面など、様々なビジネス場面で活用されており、検証事例もあります。皆様の組織での効果検証に活用するだけでなく、外部の検証事例などを参考にして自社に合う施策を策定するのも良いでしょう。

 

次回は、「人事施策を評価する」シリーズの最終回です。「(5) 予測妥当性検証」について解説します。

  • 経営戦略・経営管理
  • モチベーション・組織活性化
  • キャリア開発
  • 情報システム・IT関連

人的資本データの分析・可視化・利活用を通じて、従業員のウェルビーイング向上と企業価値向上をサポート

人的資本経営の実現に向けた施策策定やシステム導入の支援を担当。人事・人材データ分析サービスを通じた組織課題の可視化、採用・育成戦略の改善支援等の経験を持つ。

西村 友貴(ニシムラ ユウキ) エンタープライズサービス事業部 経営管理サービス第2部 チーフ

西村 友貴
対応エリア 全国
所在地 江東区

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