ハラスメントとマネジメント
ハラスメントを取り巻く現状
昨今、企業を取り巻く外部環境は目まぐるしく変化をしています。
「働き方改革」を旗印に様々な法改正が行われている中、特に企業のリスク管理の一つとして重要視されているのが「ハラスメント」ではないでしょうか。
2020年に大企業が、そして2022年4月には中小企業でも、いわゆる「パワハラ防止法」の措置を講ずることが義務化されたことで、ほとんどの企業が社内規定を見直し、相談窓口を設置するなど、制度としては整ってきているのが現状かと思います。
しかしながら、ハラスメントに関する相談事案の件数は減るどころか年々増加しているということはご存じでしょうか。
厚生労働省の最新データによると、相談件数は14年連続で100万件を超えており、2021年度には過去最多の相談件数を記録しています。
このデータから、ハード面を整備しても、それを扱う側である人や組織といったソフト面が変わらない限りは、職場の改善が難しいことが読み取れます。
こちらの厚生労働省のデータは「現在の職場でパワハラを受けた」「過去3年間に勤務先でパワハラを経験しなかった」という2つの層の回答を比較しています。大きく開きがある項目がいくつかありますが、その1つに「上司と部下のコミュニケーションが少ない/ない」があります。
既に多くの方がご存じかとは思いますが、ハラスメントは自分主体ではなく相手主体となって境界線が決まります。たとえこちらが良かれと思ってやったことであっても、相手が不快に感じた時点でNGとなってしまうのです。
ではその境界線をお互いに認識して少しでも明確にするには何をすればよいのでしょうか。
それは、厚労省のデータからも分かるように、そして使い古された言葉ではありますが、日々の良質なコミュニケーションを積み重ねた先にある「信頼関係の構築」しかありません。
とはいえ、近年は上司が部下に対して過度に気を遣いすぎ、相手への配慮ではなく「遠慮」となってしまい、雑談することですら難しい、という声も多く聞かれます。
その延長線上では、遠慮がマネジメントの弱体化にも繋がっており、いわゆる「叱れない上司」が増え、結果として最近のバズワードである「ゆるい職場」が形成されています。ハラスメントを恐れた過剰な配慮が、様々な弊害を引き起こしている一例といえます。
部下と信頼関係を作るには
一つのポイントとして上司と部下との関係性を縦ではなく横にすることが重要です。
具体的には「管理職:上から目線」から「支援職:横から目線」に視点を変えることが有効です。そして上司として部下を適切に支援していくために必要なことは、次の3点です。
- 部下一人ひとりをよく観察する
- 状況に合わせたサポートとフィードバックをする
- 部下の私生活にも配慮し寄り添う
ここで重要なのは、部下の状況を把握しようとして上司が一方的に聞き出すのではなく、上司からも自己開示をすることで部下が話しやすい雰囲気をつくることです。日々の声がけや共感、気配りといった配慮や、相手への関心を示すことが信頼関係構築の第一歩となるのです。
そうして信頼関係が構築されると、部下に対して配慮はするけれども仕事では遠慮をしないという、程良い緊張感を伴った良好なコミュニケーションができるようになります。
遠慮をしないということは当然、厳しいフィードバックもあり得ます。
褒めることは大切ですが、あくまでフィードバックの一部であり、叱るべきことは叱ることが結果的には部下に響き、部下からの信頼につながります。
そのためにも部下を日々よく観察し、感情ではなく結果やプロセスの事実を適切なタイミングでフィードバックすることが上司には求められます。
まとめ
ハラスメントを恐れるあまりに上司が部下の顔色を窺いすぎることが、結果としてマネジメント力の低下、ひいては企業としての競争力の低下を招きます。
上司と部下が良質なコミュニケーションを通じて信頼関係を構築することで、ハラスメントを過度に気にすることは無くなります。結果的にマネジメントが機能することで「強いチーム」に進化し、上司も部下も働きやすい職場風土が醸成されます。
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