人材が定着する組織づくり~定着率を高める為に取組むべきこと~
令和4年10月28日、厚生労働省は平成31年3月に卒業した新規学卒就職者の離職状況を公表。高卒就職者が35.9%、大学卒就職者が31.5%という実態が明らかになりました。また、令和3年雇用動向調査結果の概況をみると、離職率は13.9%。人材不足から採用難易度が高まる今日、離職率に大きな変化は見られず、改めて離職防止や人材の定着は、重要な経営課題になっています。
みなさんの会社では、離職率の改善のために、何か取り組まれていることはありますか?人事の方々とお話してみると、「気になっているが採用だけで手一杯」「何に取組むべきか分からない」「人事に退職の話が来た時には手遅れ」など、問題意識はあるものの、離職防止・定着率向上への対策ができている企業は少ないようです。
パーソル総合研究所×CAMP「就職活動と入社後の実態に関する定量調査」を基に、新入社員に目を向けると、何らかの入社前のイメージとの齟齬・悪いギャップ(リアリティ・ショック)をうけた人は、76.6%に及ぶ、というデータがあります。具体的には、給与や昇進・昇格などの報酬・昇進面金銭面、上司や先輩、同僚との人間関係や社風、仕事のやりがいや裁量など様々な面でギャップを感じている方が多いようです。当然のことながら、面接だけでその企業の全てを理解することは難しく、新卒・中途問わず、悪いギャップを感じてしまう方は、一定数います。
一方、人事側の問題意識はどうでしょうか。私たちパーソルキャリア株式会社HRSpannerグループのアンケート調査では、「配属以降は配属先任せになり、人事がフォローできていない」ことを問題視した方は、約40%を占め、配属後は人事にとってブラックボックス化していると言えます。この他にも、「課題が分かっても対策を講じることができていない」「離職率を改善しようとする方針がない」「離職率を測定できていない」なども人事の問題意識として上位にランクイン。離職防止や人材の定着の観点では、十分な対策を講じることができていない実態が明らかになっています。
新入社員は入社後に悪いギャップを感じているが、人事によるフォロー・ケアは行われていない。ギャップを解消できるかどうかは、配属先と本人次第。これでは、離職防止や人材定着は実現できません。
「リアリティ・ショック」は、最悪の場合、離職につながります。この解消のために最初に取り組むべきことは、人事が主体的に入社者に関わり、現状を知ることです。入社1ヶ月後~2か月目までを目安に、配属先での状況や良い・悪いギャップを確認し、悪いギャップはコミュニケーションで埋めていく必要があります。新入社員の感じているギャップに関して、新入社員と人事の対話で解消できることもあれば、配属先の上司やメンバーの協力が必要な場合もあると思います。人事が必要に応じて配属先に働きかけを行いましょう。
特に人事の方が、配属先への働きかけを行っていただきたいのは、コミュニケーション頻度や期待役割と貢献領域の明確化の領域です。配属先において、気軽に相談・雑談できる環境を整えることや、新入社員が自身の役割を理解し、貢献できることが明確になった状態をつくることは、自律型人材の育成にもつながります。期待役割や貢献できることを、新入社員と上司・配属先でしっかりすり合わせできるように支援していきましょう。
改めて、皆さんの会社では、これまでお伝えしてきたようなことは、実践できていますか?もしも、「配属以降、フォローができていない」と感じている場合は、ぜひ入社者と対話する機会を設けてみましょう。新入社員は、「入社前に、何を期待・重視していたのか?」、「自社はその期待に応えることができているか?」、「もしも応えられていないとしたら、人事としてどんな支援をしてあげられるだろうか?」。新入社員に向き合い、対話を重ねていくことが、人材が定着する組織づくりを支えます。
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武田 雄(タケダ ユウ) パーソルキャリア株式会社 HRアナリスト部サービス企画グループ兼サービスシード部HR Spannerグループ
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