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プロフェッショナルコラム

【確定拠出年金(DC)】なぜ加入者の意識が上がらないのか

リーマンショックからアベノミクスを経て、5年ほど前と比較すると確定拠出年金の運用はずいぶんよくなっていると言えるでしょう。2014年度末にはほぼすべての加入者の元本割れが解消されていました。

しかし、一方で加入者の利回りの格差が拡大し、確定拠出年金への取り組みの意識の差がより鮮明になったと言えます。 なぜそのような状況になっているのでしょうか。

それは「今まで十分な金銭教育を受けたことがなく、運用の知識も十分ではない加入者が突然運用の世界に投げ込まれた」という事だけではなく、「なぜ確定拠出年金に取り組まなければならないのか」という本来の目的を十分に伝えきれていないからだということ、さらに「投資」と「投機」との違いが理解できず、確定拠出年金による運用のリスク面だけが強調されているからだと推測されます。

確定拠出年金はその制度の仕組みや利点を理解していれば、効率よく運用成果を上げられる優れた制度です。しかし、その制度自体が自分自身の老後生活にどれほど大きな影響を持つのかを解っていなければ、前向きに取り組む姿勢が生まれないというのは当然の結果と言えるでしょう。「運用」の知識を付ける以前に、「なぜ確定拠出年金に取り組むのか、それが自分の人生にどういった影響を与えるのか」という根本の問いかけをしなければなりません。

そもそも目標のない運用は失敗しかありません。

運用を始める際にはその目的と目標を設定する必要があります。

60歳まで引き出しができない確定拠出年金において、その目的は退職後の生活資金設計に他なりません。長い方であれば30年以上もの長期間、時間分散効果を活かしたファンド運用を大きな節税メリットを享受しながら出来るわけです。これは現状では最長で10年しか非課税運用が出来ない(しかも債券投資が出来ない)NISA制度とは比較にならないほどの大きな利点と言えます。

確定拠出年金の継続教育を担当させていただく中で、私がまずは実感するのは大多数の加入者はインフレリスクを理解していないという事です。要するに定期預金は安全性資産だという誤解をほぼすべての加入者がしているわけです。

短期的な資金使途のためであれば定期預金は安全と言えますが、確定拠出年金のように長い期間、流動性を持てないということであれば定期預金は安全とは言えません。世の中にある唯一確実なことは「確実なことなど存在しない」という根本的なことを理解されておらず、定期預金に預け入れておけば確実に損をしないと勘違いをされているのです。

日本人は金融リテラシーが低いと言われます。さらに20年にも及ぶデフレのおかげで、インフレに対して非常に鈍感になっています。しかしながら、20年や30年という長期的な目線ではいずれインフレは起こると考えるべきという意見に異論がある方はいらっしゃらないと思います。

継続教育研修の前に、担当させていただく企業の加入者の運用状況が分かるモニタリング資料を拝見させていただく機会が多いのですが、ほとんどの20~30代の方は定期預金への拠出を主体とされています。

彼らが退職するころに大きく落胆する事の無いように、我々専門家だけではなく、制度を導入した企業、労組が積極的に啓蒙・教育を行っていただきたいと思います。


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コラム執筆者
塩見 太郎
塩見 太郎(シオミ タロウ)
株式会社FPコンサルティング 広報企画部長
年間相談件数200組、講演50回以上の実務家FP。
保険代理店業や証券仲介業の兼業をしない純粋な独立系FPとして、中立的な情報提供をします。
保険や住宅ローン、確定拠出年金から定年退職後の生活資産形成まで、論理的かつ分かりやすく伝える講演は定評がある。妻と4人の子どもとのワークライフバランスの実現を目指している。
得意分野 福利厚生、リスクマネジメント・情報管理、その他
対応エリア 全国
所在地 大阪市中央区

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