【障がい者雇用】精神障がい者の採用にあたっての留意点③
昨年4月1日より「障害者差別解消法」および「改正障害者雇用促進法」が施行されました。
民間企業においても、障がい者に対して「不当な差別的取扱い」は禁止され、
過度な負担のない範囲で「必要かつ合理的な配慮」を行うことが求められます。
このコラムでは、障がい者雇用において、企業の皆様が抱える現状の課題を検討し、
具体的解決策に向けた手がかりについてお伝えしていきたいと思います。
前々回のコラムから精神障がい者の「採用」に焦点を当て、
採用時に確認すべき5つのポイントについて述べていきました。
今回はその二つ目のポイントとなる
「就労準備性の状況:安定して就労できる状況にあるか」という点で
考えていきたいと思います。
精神障がい者の雇用の大きな課題として、早期離職の課題があります。
離職要因としては、「症状の悪化」、「業務のミスマッチ」、「職場の対人関係」が
主に挙げられますが、その中で最も多いのが「症状の悪化」といわれています。
そして、この症状悪化の背景には、
来月のコラムで後述する本人の「疾病・健康管理」の取り組み状況の他に、
就職に向けて十分な準備活動をしてきたかどうかが挙げられます。
競技に例えれば、大会本番に向けて十分な準備体操やトレーニングをしてきたか
ということになりますが、
こうした事前準備活動が不足しているといざ競技に入った時に
怪我をしやすくなるということになります。
精神障がい者の障害特性として、易疲労性といって疲れやすい特性があり、
疲労が蓄積することで再発を招きやすくなるため、
就労に必要となる「体力」と「脳力」の準備活動をしっかり行っているかは
採用面談時に必ず確認したいところです。
最近は就職前に就労移行支援施設を利用する精神障がい者も増えていますが、
こうした施設に休まずに通い、
十分なトレーニングをしている方は就労に向けた準備性は整っているという
判断の目安になるでしょう。
もしそうした施設を経由することなく、失業期間が長いケースについては、
「現在の日常生活をどのように送っているのか」、
「就職に向けてどんな準備活動をしてきたか」といった質問をして、
就労準備性について丁寧に確認していくことが大切になります。
次回は採用面談時の確認のポイント③
「疾病・健康管理の状況:日頃から健康維持に向けた取り組みをしているか」について
考えていきたいと思います。
- 安全衛生・メンタルヘルス
- その他
公認心理師/臨床心理士/精神保健福祉士/社会福祉士/産業カウンセラー/キャリアコンサルタント
2009年度日本うつ病学会奨励賞受賞
精神科クリニック、障害者職業総合センター等で集団精神療法、デイケア、就労支援の他、スクールカウンセラー、千葉県医療技術大学校非常勤講師、千葉県庁健康管理室相談員を歴任。その後、EAP事業会社にて復職支援を中心にメンタルヘルス対策支援に従事。
中田 貴晃(ナカダ ヨシアキ) エグゼクティブコラボレータ―
対応エリア | 関東(茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、山梨県) |
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所在地 | 渋谷区 |