ドイツ企業と日本企業のマネジメントの違いとは

~筑波大学名誉教授 田中洋子先生に教わる~
「マネジメントシェアリング研究会」第4回
こんにちは。株式会社ジェイフィールの重光です。
1月から始まったマネジメントシェアリング研究会は先日、4回目が開催されました。
ここで、丁度、予定回の折り返し地点となります。
今回は、ドイツの企業・労働史、日独労働政策が専門で、筑波大学名誉教授でもある田中洋子先生をお招きし、各チームが事前に用意した質問を、田中先生に答えていただく会となりました。
ジョブシェアリングやマネジメントシェアリングの先進国であるドイツ企業の事例について、各チームとも先生に伺いたいことが満載で、持ち時間の20分では足りないようでしたが、各チームの質問事項は主に以下5つの項目について要約されます。
1.日本とドイツのマネジメントの違い
2.ドイツ企業でマネジメントシェアリングが生まれた理由、きっかけ
3.マネジメントシェアリングをする人達の相性、マッチング方法
4.マネジメントシェアリングをしているマネジャー2人の責任の所在、業績評価
5.マネジメントシェアリングの効果・成果
今回のコラムでは1.の「日本とドイツのマネジメントの違い」についてご紹介します。
今でこそ、ドイツはジョブシェアリング、マネジメントシェアリングの先進国とも言えますが、企業文化の点では以前から日本とドイツは似ていると、田中先生は言います。
ドイツ企業でも、転職でポジションを上げていくのではなく、一度就職した会社で長く働き、内部昇進をしていく慣習があるようです。又、マインドの面でも「うちの会社は・・・」というように、自分の属する組織に対する帰属意識が高く、社員同士の家族的なつながりも強いようです。
しかし、仕事のやり方と責任のあり方は日本企業とは全く違うようで、最も大きな違いは「何層にも重なるヒエラルキー」「中間管理職」の存在がなく、メンバー一人一人に裁量が与えられ、各人が責任を持って自分の業務を遂行しているようです。
そして、その一人一人の集合体を「チーム」とし、チームリーダーは日本で言うマネジャーとしての役割ではなく、コーディネーターとして、各人がスムースに仕事が出来るよう、メンバー構成や仕事配分を考えているようです。日本企業のように、メンバーに決裁権がなく、まずは課長に聞き、課長が部長に聞き、部長が本部長の決裁を仰ぐ、というような何層にも渡る確認作業がない分、業務遂行のスピード感があるのと同時に、メンバーの働き甲斐も高いと言います。
この働き方は、1980年代後半から1990年代に政府主導で企業に導入されたそうで、当時のドイツ企業も今の日本企業のような働き方をしていた際、管理職、特に女性管理職が家庭と仕事の両立が難しく、業務上で時間のかかる項目を徹底的に見直した結果、多層のヒエラルキーによる確認作業が不要との結論に至ったようです。
自律する個人の集合体による、自律的なチームが業務を遂行することで、個人の働き甲斐も、企業の業績も向上したと言います。もちろん、ヒエラルキーを削減すればすぐに改善されるというほど単純ではないと思います。個人に分散した仕事を集めた時、一つの成果に向けたまとまりがないと困りますよね。ドイツのマネジャーは、自分のタスクを抱えることなく、マネジメントに専念しているそうです。メンバーが一つの方向に向かうガイドをしながら、個々の状況に合わせた支援やコーディネートを行う。これがドイツのマネジャーの姿だと学びました。
このように個々人が自律し、裁量があるからこそ、ライフタイムの中で、育児や介護などで仕事だけに時間を取れないときに、仕事を他の人と分担するジョブシェアリング、マネジャーの仕事を分担するマネジメントシェアリングが出来るのかもしれません。
次回のコラムでは、皆の質問が集中した
2.ドイツ企業でマネジメントシェアリングが生まれた理由、きっかけ
3.マネジメントシェアリングをする人達の相性、マッチング方法
について解説させていただきます。
- モチベーション・組織活性化
- マネジメント
- コーチング・ファシリテーション
- チームビルディング
- コミュニケーション
良い感情の連鎖を起こすことで人と組織の変革を支援するコンサルティング会社「ジェイフィール」の取締役
ジェイフィールでは3名の取締役でマネジメントシェアリングを実施中。ミンツバーグ教授との出会いからリフレクションラウンドテーブル(R)を日本に導入。 第1回HR Award 受賞。主な著書「ミンツバーグ教授のマネジャーの学校」他
重光直之(シゲミツ ナオユキ) 株式会社ジェイフィール 取締役 / 経営チームメンバー

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所在地 | 渋谷区 |