人事評価区分の組み合わせをどうするべきか
人事評価の区分として使われるのは、だいたい次の4つです。
1.能力評価
社員の保有する知識・技術・熟練度など、仕事を遂行していく上で必要な能力(職務遂行能力)を評価するものです。
2.情意評価
社員の勤怠状況、仕事への取り組み姿勢、やる気などを評価するものです。
3.業績(成果)評価
与えられた仕事の成果について、質や量、目標の達成度などをもとに評価するものです。
4.コンピテンシー評価
自社における成績優秀者の行動特性を分析、抽出して作成したコンピテンシーディクショナリーをもとに、成果につながる行動をどの程度実行したかを評価するものです。
10年以上前に人事制度を構築した企業の場合は、1の能力評価を現在も使用している可能性が高いのですが、人事制度の改定をする際に廃止するケースが多いです。
理由は、能力評価を採用している企業は、「能力があっても発揮しない」社員を多数抱えることになってしまっているからです。
能力評価では、各評価項目の定義が「~できる」という表現になります。たとえば、「企画・計画力」という評価項目では、その定義が「問題点を把握し、その解決のための方策を見出し、実現のための段取りを組み立てることができる」などの表現になります。
その場合、「やればできる」けど「やらない」社員は、評価が高くなり、下げることができないのです。
そのため、「給与が高くても働かない」あるいは「危機意識がない」社員を多数抱えている企業は、なんとかしてそうした状況を打破しようと、人事制度を改定するときに、能力評価を廃止しています。
私が人事制度の改定をお手伝いする企業も、そのようなケースが多いです。
そして、ほとんどが能力評価からコンピテンシー評価に移行しています。
ただし、コンピテンシー評価に移行するためのコンピテンシーディクショナリーを作成することが、結構大変な作業になります。
そこで、時間もお金もあまりかけられない場合には、能力評価の定義を「~できる」という表現から、「~している」という「行動評価」の表現に変えることをお勧めしています。
たとえば、前述の企画・計画力では、「問題点を把握し、その解決のための方策を見出し、実現のための段取りを組み立てている」という表現に変えます。
こうすると、単に潜在的に企画・計画力を持っているだけではダメで、能力を具体的に顕在化させてはじめて評価されることになります。評価の際は、どのような行動として発揮されたのかを、具体的な場面を挙げながら評価することになります。もし、具体的な行動が評価期間中に見られなかった場合は、能力を発揮しなかったものとみなして、評価を低くします。
これだけでしたら、すぐにできます。
重要なのは、潜在能力を持っている社員には、それを発揮してもらう大枠の仕組みを用意することで、各評価項目については、毎年改正して少しずつより実態に即したものに変えていけばいいのです。
また、情意評価は行動評価に包含できるため、従来の能力評価及び情意評価は、行動評価という形で統合されます。
現在は、この行動評価と業績評価の2本柱を組み合わせた人事評価制度が、一般的に多く用いられています。
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