ツイートする

『日本の人事部』HRクラブ 開催レポート

【第11回テーマ】

人事業務の効果的・効率的な運営について
~ニチレイグループにおける制度運営、組織運営

『日本の人事部』は、2011年7月22日(金)に、第11回「HRクラブ」を開催いたしました。

今回のゲストは、株式会社ニチレイ人事部長、株式会社ニチレイプロサーヴ 執行役員人事サポート部長の箕浦聡司氏。
第1部の講演では、ニチレイが取り組む人事業務の効果的・効率的な運営について、これまでの変遷や現在の取組み状況、今後の課題などを中心に解説していただきました。続く第2部では、箕浦氏がファシリテーターとなって、参加者同士によるディスカッションを実施。
本レポートでは、当日の「HRクラブ」の模様を、ダイジェスト形式でご紹介いたします。

PhotoPhotoPhoto


【第11回 開催概要】

■ テーマ
人事業務の効果的・効率的な運営について
~ニチレイグループにおける制度運営、組織運営
■ 開催日時
2011年7月22日(金)18:30~20:30
■ ゲストスピーカー
株式会社ニチレイ 人事部長
株式会社ニチレイプロサーヴ 執行役員 人事サポート部長
箕浦聡司氏

<箕浦 聡司氏 プロフィール>(みのうら さとし)1983年日本冷蔵(現ニチレイ)入社、1993年より人事部門において、労務、給与業務集約などを担当し、コース別人事制度導入、シェアードサービス会 社設立、持株会社体制移行などに参画、2008年からニチレイ(持株会社)及びニチレイプロサーヴ(シェアードサービス会社)の人事担当責任者を兼務。

ニチレイグループでは、いかにして効果的・効率的な運営を行なってきたのか

Photo 入社以来、その大半の年月を人事・労務関連の仕事に費やしてきたという、箕浦氏。まずは、ニチレイグループの概要からお話しいただきました。持株会社であるニチレイのほか、加工食品事業のニチレイフーズ、水産・畜産事業のニチレイフレッシュ、低温物流事業のニチレイロジグループ、バイオサイエンス事業のニチレイバイオサイエンス、そして、シェアードサービスを行なうニチレイプロサーヴという五つの事業会社を核として、グループが構成されているそうです。

箕浦氏は、人事業務を効果的・効率的に運営していく上では、「どんな場面で効果的・効率的ではないと感じるか」を明確にしておくことが重要だといいます。特に「経営トップの思いやメッセージが見えない」「目的の説明がないまま運用が行なわれている」といったことは、一番あってはならないそうです。社員にとって理解しにくく、不満が出てくるような状況では、運営が間違った方向に走りかねないからです。

続いて、同グループが人事業務を効果的・効率的なものにするために、どのようなプロセスを経てきたのか、その歴史を詳しく振り返っていきました。

成長を促す経験の要素■業務革新運動(1996.4~1999.3)
 業績低迷と子会社経営の失敗などがあり、損益分岐点比率の引き下げや、労働生産性のアップを目標に設定。管理部門の人員を削減し、給与計算業務を本社に集約するなどの施策を実施。

■人事サービスのシェアードサービス化(1999.4~2004.3)
 連結会計制度の進展と資金の一元管理、業務集約時の汎用パッケージソフトの導入を背景に、市場価格での人事・給与関連業務の提供、業務メニューと料金表による一元的な業務受託、さらには外部からの受託も目指す。

成長を促す経験の要素■持株会社体制移行への対応(2004.4~2006.3)
 2005年4月に持株会社体制に移行。グループ全体の戦略を担う持株会社と、業務執行を担う事業会社に分社化。事業会社それぞれが責任と機動性を発揮できる体制へ。

■持株会社体制以降後の対応(2006.4~)
 人事業務を含めた支援業務について、持株会社と事業会社とシェアードの役割分担の明確化を模索。また、グループのマネジメントシステムを明確化し、従業員の働きがいの向上につなげる組織運営を目指しているそうです。

第1部の最後は、同グループの「今後の課題」について。「持株会社とシェアードサービスの一体運営により、『サービス』として業務に取り組むことで一定の成果が上がってはいるが、意思決定のプロセスが煩雑化している」「事業会社とのコミュニケーションにおいて『壁』が払拭できていない」「組織管理が煩雑となり、管理コスト(時間、資源)がかかっている」など、さまざまな課題があるそうです。

本当に現状でいいのか、もっと効果的・効率的な仕組みにできるのではないかと、模索していくことが重要だという箕浦氏の言葉で、第1部は締めくくられました。1時間という限られた時間でしたが、参加された皆さまは、ニチレイグループの取り組みについて、詳しく理解することができたようです。

参加者は業務効率化をどう考えているのか

Photo続く第2部では、3~4人ずつのチームに分かれてディスカッションを実施。箕浦氏には、ファシリテーターとしてご参加いただきました。ディスカッションのテーマは「貴社では、経営者や各リーダー(事業や部門の責任者等)、人事スタッフ(もしくはシェアードサービス会社)から、人事業務(給与計算、社会保険、福利厚生等)の効率化について、どのような要望がありますか」と、「貴社では、人事業務を最適化、効率化するために、どのような工夫をしていますか」。ディスカッション終了後には、チームごとにディスカッションの内容について発表していただきました。

(以下、発表の内容から一部抜粋)

「効率化やコストダウンを目的にシェアードサービスを行なっている。しかし、業務を外に出すことで、本来、人事担当者が行うべき業務ができなくなるという問題もある。経験させることも大事であり、場合によっては、シェアードサービスを行なう企業が、人を受け入れる必要もあるだろう」


Photo「業務の効率化は重要だが、効率化ばかりを目標としてはいけない。一人ひとりに『ありがとう』と感謝の言葉をいう機会も重要だ。それが、大きなインセンティブになることもある。メールなどで済ませてしまうことのないよう、コミュニケーションと効率化のバランスをとることが大事だ」

「海外に人事業務をアウトソーシングする場合、経費削減ばかりを目指していてはうまくいかない。その国の制度や文化を、しっかりと把握しておかなければならない。日本は法律や制度が複雑で、正確さが求められるが、他の国でそれがきちんと理解されるとは限らない」

以上で、2時間に渡る「HRクラブ」は終了。さまざまな業界・キャリアの人事ご担当者の方々が参加されましたが、今回も積極的なディスカッションが行なわれました。終了後は今回も、居酒屋にて懇親会を実施。引き続き、参加者同士による活発な情報交換が行なわれました。

【参加者の声】

≪講演の感想≫

  • 自社の課題を考える一助となりました。
    (株式会社阪急阪神ビジネスアソシエイト/藤田 頼雄様)
  • 「ここで困っています」「これで悩んでいます」という人事部パーソンなりの生々しい気持ちを語ってくださったので、大変満足しています。(医薬品/人材育成担当)
  • なぜシェアードサービスに踏み切ったのか、また、分社化・再編の経緯をお話しいただき、大変参考になりました。(特例子会社/経営企画)

≪ディスカッションの感想≫

  • シェアードサービスを起点に、人事総務そのものを議論することができたので、大変有意義でした。(金融 /採用マネージャー)
  • 他社の事例をうかがい、目からうろこが落ちるようでした。(アパレル/採用担当)

【HRクラブ第12回開催のご案内】

第12回は、2011年9月2日(金)18:30から、ゲストに株式会社リクルートオフィスサポート 取締役 経営企画室長 岩泉匡洋氏をお迎えして開催する予定です。テーマは「特例子会社(障害者雇用)における人材活用の実践」。参加ご希望の方は、下記からお申込ください。