今、私たちに必要な「夢を語る」練習
皆さんは、社会人になってから会社の経営に関わる数字の読み方を学んだことはありますでしょうか。
売上の数字、利益率の計算、予算の積み上げなど、仕事をする上で大切な知識です。
数字の感覚や管理は、企業活動の中でとても重要であることは言うまでもありません。
皆さんが目標を立てる際に数値を指標とした目標を立てるのは、達成度合いがわかりやすいからです。
一方で、数字では表せない「本当にありたい姿」や「達成したい夢」はどうでしょう。
夢を語ることは、簡単なことなのでしょうか。
定量的に表せないことは、表現が難しい
私はコーチングの場面や組織活性に関するワークショップの中で、「どのような状態になりたいか?」という質問をよく投げかけます。
今の延長、積み上げの目標も大切ですが、それをひとまず置いておいて自由に発想してもらうことにチャレンジしてもらうのです。
一見誰でもできそうですが…実は多くの方がこれに苦戦します。
例えば、年収が増えている、出世して立場が上がっている、高級品を手に入れているといった夢は比較的簡単に思い浮かべることができます。
先ほどの経営数字と同じように、指標としてわかりやすいからです。
※こういった「人と比較して満足を得るもの」を「地位財」といいます。
これ以外に、例えば「健康である」とか「安定している」といったフレーズが出て来ることがあります。
もう少し仕事に寄せると、「チームが仲良くやっている」や「いい雰囲気で仕事をしている」、「活力がある」などです。
※他人と比較しなくても満足を得られるものを「非地位財」といいます。
これらの表現は、先の地位財的なものに比べると少し毛色が違ってきます。
指標としては解釈の幅があり、「人によって解釈が違う」、さらに言えば「本人も十分なイメージが出来ていない」場合があるのです。
「どのような状態になりたいか?」という問いに対して、このままでは不十分であるといえます。
定量的に測れないものは、徹底して「具体化」する
では、解釈の幅が出るような曖昧な表現は、どのように改善していくといいのでしょうか。
一つの指針は「具体化」にあり、以下の点をクリアしていきます。
・細部のイメージをつくる
大まかなイメージだけではなく、できるだけ細部までこだわってイメージを作ります。
この時、質問のフレームとしてよくある「5W1H」を参考にするとわかりやすいです。
・自分や他の人たちが動いているイメージを、動画的に思い描く
細部まで作ったイメージを、静止画ではなく動画のように「動いている状況」にして思い描きます。
どんなコミュニケーションをとっているのか、実際に話しているであろうセリフをあわせて考えてみるとより具体化します。
・感情面による意味付けをする(どんな気持ち・感情で行動しているのか)
動いている人たちが、どんな思いを持って行動し、どんなことを感じているのか、内面を考えることで、場面イメージに意味づけを行います。
具体化するには、細かい部分を思い描いたり言葉の選択肢を広げたりすることが求められるため、
専門知識が求められたりはしないものの、「慣れ」は必要です。
これは意外と盲点で、私たちは「いつでもできる」と思いながら、いざ実際に夢を語る場面ではなかなか上手く言葉が出てこないのです。
だからこそ、数字の読み方を学ぶのと同じように「夢の語り方」を練習する必要があると考えています。
ちなみに「夢を語る」ことは一人でももちろんできますが、誰かの助けを借りながら行うのがより効果的です。
自分にとっては盲点になっていることを、他者の視点があぶりだしてくれます。
具体化はのスキルは、問題発見の場面や部下指導の場面など、いろいろなところで応用ができます。
会社の中で時間をとる価値は十分あると考えています。
【今回のポイント】
・夢を「具体的に」語る練習を、意識的に取り入れる
- モチベーション・組織活性化
- コーチング・ファシリテーション
- チームビルディング
- コミュニケーション
- ロジカルシンキング・課題解決
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早稲田大学アカデミックソリューションは、早稲田大学の関連会社として、組織の課題に合わせたカリキュラム編成と実践力を養う体験型学習を通じて、複雑で困難な時代に対応する「しなやかな人材・チームづくり」を支援します。
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