組織活性化のすすめ
ファシリテーションに関係する、あるいは「ファシリテーション以前」のお話かもしれません。
今回は、組織と、組織で働く私たちのお話です。
企業や団体で働く私たちは、個人ではなく他者と共に働いています。複数の人が共に働くことで個人では出しえない成果を収める、つまり「集まった人たちが組織として機能しながら持続的に成果をあげる」ことを目指しているわけです。
ところが、多くの企業・団体は次のような状態を抱えたまま目の前の仕事に当たっているのではないでしょうか。
・勝手気ままに活動しているだけで、同じ方向を向いている気がしない
・描いている未来がバラバラ、そもそも隣の人が何を考えているかわからない
・合意形成できたと思ったら、後から不満がでる
この状態で、「組織として働いている」といえるでしょうか。
組織として働く利点を最大限活かし、「集まった人たちが組織として機能しながら持続的に成果をあげる」状態を作るためには、どのようなことが必要なのか。
本コラムでは、「組織の活性化」を背景にいくつかの視点でこの問題を考えてみたいと思います。
【組織を考える問い】
私たちの問題は「テクニック」が解決するのでしょうか?
まず第1の問いとして、組織を機能させて効果を上げるのに「テクニックやスキル」がどのくらい必要なのか、特にコミュニケーションのスキルについて考えてみます。
実は、この問題を考えるにあたっては、私が担当している研修内で繰り返し発せられる声がきっかけにありました。
例えばファシリテーションの研修での一コマ。
よくある声が「あの人(上司だったり、部下だったり、同僚だったりします)が変わらないと、何も変わらない」という意見です。
研修に参加することによって「誰かを変えるスキルを得たい」、コミュニケーションの改善をテクニックで乗り切りたいという声です。
実はこれ、よく聞かれるものでもあります。
しかし、私たちは「他人を変える」ことの難しさをすでに知っているのではないでしょうか。
コーチング・ファシリテーションなどを学び、誰かを変えようと思って働きかけても、その意図が相手に透けて見えてしまうと、構えられてしまって効果が見られない。
スキルはもちろん重要ではあるのですが、それは「他人を変えられることを保証する」ものではないのです。
スキルを身につけたら解決できると思ったのに、スキルで解決するのはとてもハードルが高い。
この事実に気づくと、受講者はとたんにがっかりしてしまいます。
(コミュニケーションに関する研修は、こういった意味で浸透が難しいと言えますね)
「コミュニケーションのスキル」は必要だけれど、「それによって全てが解決するわけではない」。
新たに直面したこの問題に対して、私たちはどのように対処する必要があるのでしょうか。
私はまず、「覚悟を決めること」が重要だと思っています。
その覚悟とは、「自分が変わる覚悟」です。
つまり、コミュニケーションの問題を解決する方向は、「自分が変わらず相手を変える」ことではなく、「自分が変わって、結果として相手も変わる」ことを目指すことになるのです。
一つ、このことを考えるきっかけとして「他責」と「自責」という考え方を挙げてみます。
「他責」とは、物事の責任を全て「他者」に求める状態。ちょうど先ほどの「あの人が変わらなければ何も変わらない」と考えている状態です。
一方の「自責」は全ての責任を自分事にしている状態です。
原因は他者にある可能性が高い。そう思っても、「自分に責任があるとしたら何が起こっているのか」を考えられること。
これは、見方を変えることで初めて気づける部分です。
このように、固定された思考や視点だけでなく「見方を変えること」ができれば、私たちは他者との関係でお互いを理解しあえる可能性が生まれます。
まずはこの意識を持つこと、それを円滑にするのがコミュニケーションスキルなのですね。
この「理解しあう」サイクルが、私は組織にとって重要であると考えており、このサイクルこそが「組織活性化」につながると考えています。
今回のポイント
・コミュニケーションスキルだけで全ての問題を解決できるわけではない
・「理解しあう」サイクルを回していくことで、組織活性化を目指す
- モチベーション・組織活性化
- コーチング・ファシリテーション
- チームビルディング
- コミュニケーション
- ロジカルシンキング・課題解決
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早稲田大学アカデミックソリューションは、早稲田大学の関連会社として、組織の課題に合わせたカリキュラム編成と実践力を養う体験型学習を通じて、複雑で困難な時代に対応する「しなやかな人材・チームづくり」を支援します。
リカレント教育チーム(リカレントキョウイクチーム) 株式会社早稲田大学アカデミックソリューション コンサルタント、早稲田大学紛争交渉研究所招聘研究員
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