「会議設計書」を使った会議の準備
当社では、会議ファシリテーションの研修を実施する際に、「会議設計書」というツールを使用しています。
「会議は事前の準備が大切」とは何度か申し上げているものの、では実際にどのような準備が必要なのか、その指針になるようにという意図で作成したものです。
この会議設計書、上手く使えば効果的な事前準備をすることができるようになります。
今回のコラムでは、この「会議設計書」を実際にどのように使うかについて書いてみます。
ポイントは、以下の4点です。
・プロジェクトの最初はしっかり、定例は折を見て作成しましょう
・目的と目標(会議のゴール)は必ず明確にしましょう
・終了時間を記載しましょう
・内容をメンバーと共有しましょう
一見、難しそうに見えるけど…
この会議設計書を実際にご覧いただくとわかるのですが、項目がかなり細かく設定されていて、記載量も多くなっています。
実際に研修でこの資料を配付すると、受講生の皆さんに動揺が広がることがあります。
かなり大変…これをやらなければいけないのか…ファシリテーターって面倒くさい…
そういった印象をお持ちになるかもしれません。
もちろん、これらを全て記入してもらったほうが良いことは確かです。
記入見本をあわせて掲載していますので、そちらを確認いただきながらまずはやってみる、が基本ではあります。
ただ、「必ず、毎回、全部」考えてもらうことが必須であるとは考えていません。
会議設計書が目指すもの
そもそもこの設計書は、会議の準備ができるようになるとともに、「会議を俯瞰して考えることができる」ことを目指したものです。
例えば新しくプロジェクトを始める際は、「プロジェクト全体の中でこの会議はどういった位置にあるのか」を考える必要があります。
このときに、「全体管理=大きな目的と最終的なゴールは何か」と「会議詳細=最終的なゴールのために、この会議ではどこまで行くのか」を考えることで、その会議のデザインをすることが可能になります。
プロジェクトの初期には、多少時間がかかっても丁寧に設計書を作成したほうが進めやすいです。
最初にポイントが共有されれば、次回以降は「会議詳細」を決めるだけで省力化できます。
また、定例で行っている会議の場合はどうでしょうか。
定例の会議は議題やメンバーがある程度固定していることもあり、どうしても途中で「本当にこの会議は必要だろうか」と疑問を持ちがちです。
そこで、定例で行っている会議の「会議の詳細=定期的に行っている中で、どうしても必要な(欠かすことの出来ない)要素は何か」と「会議メンバー=この会議で参加メンバーが負っている責任は何か」を改めて考えてみることをお勧めします。
もしかしたら、全員でやらなくてもいいステップや、役割が明確でないメンバーが出てくるかもしれません。
定例で行っている会議の場合、「改めて会議の意味を考える」ツールとして使ってみてください。
会議設計書を書くことによって会議を俯瞰して見ることができるようになり、「目の前にある会議のありたい姿」が明確になります。
最初は大変であっても、コツさえわかれば段々と自分たちにとって必須な項目が絞り込まれていきますので、気負わず何度か書いてみるのがお勧めです。
会議設計書を使うポイント
では、設計書を実際に使用する際のポイントを抑えていきましょう。
ポイントは以下の3点です。
①目的と目標(会議のゴール)は必ず明確にしましょう
会議の悩みで多いのが、「結局何の集まりだかわからない」ということです。
これは目的・目標のうち「目標(会議のゴール)」が明確でないケースが非常に多いです。
「何のために集まったのか」は考えられている場合が多いものの、「どうなったら終わりなのか」までイメージできていないのです。
ファシリテーターにとって、「ゴール」はとても重要です。
ゴールがわからなければ、手順も時間配分も決められません。
まずはここを明確に記載するのが第一歩です。
②終了時間を明記しましょう
最近は会社で会議の時間の目安を定時していることがあったり、会議室の予約時間が決まっていたりするケースが多いので、自然と終了時間を決めていることがあると思います。
ところが、終了時間を「根拠をもって」説明するのは意外と難しいです。
終了時間は、①で挙げた「ゴール」と密接な関わりを持っています。
どこまで決めなければいけないのか、一つの議題にどのくらいの時間をかけるのか、会議全体の手順(の仮説)がイメージできていなければ決められません。
「この時間までにここまで決めれば終了」というメッセージが伝えられるように、明確な終了時間を決めておきましょう。
③内容をメンバーと共有しましょう
会議設計書の内容は、ファシリテーターだけが知っていればいいというものではなく、「メンバーに共有する」ことを念頭に置いています。
「会議主催者との確認」「メンバーへの通知」がチェック項目に入っているのはそのためです。
そもそも、会議はファシリテーターが一人で頑張る場ではありません。
メンバーに協力してもらい、会議に「本気で参加する」状態を作る必要があります。
そのために、ファシリテーターが行った準備を共有しておく必要があります。
特に経験の浅いファシリテーターは、準備すること自体が自信に繋がりますし、準備している姿が見えるとメンバーの信頼を得やすくなります。
何度も繰り返しますが、「会議は準備が大切」です。
ぜひ、会議設計書を上手く使って、準備の達人を目指してください。
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