ストレスチェック集団分析結果の活かし方
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ストレスチェック集団分析結果の活かし方
~定性データとの合わせ技で職場の現状を浮き彫りにする方法~
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ストレスチェックの集団分析の結果をどう解釈して、どう組織改善につなげたらいいかよくわからないというお声を頂くことがあります。
結果の解釈を困難にする要因の一つに、「データ上にズレ(矛盾)が見られる」ことが挙げられます。
皆さんは、以下のようなデータ上のズレに遭遇したことはないでしょうか。
・高ストレス者率は高いが、集団の健康リスクの数値には課題が見られない
・集団の健康リスクの数値は悪いが、高ストレス者率は低い
・現場で男女問わず一律の仕事の配分だが、データ上に男女差がみられる
データ上では見えない組織課題を確認するためには、定量データと定性データを統合して、考えていくことが有効です。
ストレスチェックの定量データのスコアは平均値であるため、おおよそ、組織の全貌を掴むことができるメリットがある一方、組織課題が形成したプロセスや文脈は漠然とした仮説になってしまいます。
定性データからは、課題の背景、対象者の心理や性格など数字で表すことが難しい情報を得ることができるため、両方を組み合わせることで、定量データから推測されていた仮説の裏付けができたり、見えていなかった課題について広げて分析していくことが可能になります。
組織課題に応じて職場でよく使う定性データの取得方法は面談によるデータの収集です。
面談対象者については大まかに下記の2層が考えられます。
1.管理職層
組織の規模によって、階層毎に管理監督者がいますが、面談対象者を選定する際には注意が必要です。
例えば、ストレスチェックで「上司支援」の項目にリスクがあるとみられた場合、「上司」が具体的に誰を指しているのか注意する必要があります。
該当部署の直属の上司か、上司の上司か、チームリーダーか、出向先の上司か、組織構成によって、複数人の上司がいる場合やそもそも上司不在の場合もあります。
管理職との面談を通して、管理職目線で組織課題の把握ができるメリットがありますが、一方で、面談対象者として取り上げられた管理職は組織からネガティブ評価をされたと受け止めやすくなり、マイナスの影響が生じてしまう可能性があることにも留意する必要があります。
2.従業員層
規模が大きい集団の場合は、属性(例えば、年齢別、性別、職種別など)からランダムに面談対象者を選定すると良いと考えられます。
規模が小さい集団であれば、全員面談をお勧めします。
例えば、ストレスチェックの「仕事の量的負担/コントロール」「上司支援」「同僚支援」といった項目に関して、オープンクエスチョンの形で面談を行うことで、実際どのような状況なのかを集団の各メンバーからヒアリングすることができます。
従業員との面談を通して、詳細な実態が把握できるメリットがある一方で、個別の意見に引っ張られて偏った理解になってしまわないように注意する必要があります。
「データ上にズレ(矛盾)が見られる」場合は、定量データと定性データを組み合わせることで、より客観的な視点を保つことができ、組織の現状を正確に把握することに繋がります。
一方、定性データの集め方や統合したデータの分析/解釈の仕方には注意点も多いため、専門家を活用することも1つの方法と思われます。
(コラボレーター 張 磊 )
- 安全衛生・メンタルヘルス
公認心理師/臨床心理士/キャリアコンサルタント
【専門領域】産業精神保健、復職支援、海外赴任者支援、在日中国人メンタルヘルス支援
東京大学心理教育相談室、日本家族カウンセリング協会での臨床経験を経て、東京大学学生相談所に勤務。2011年よりEAP事業会社にて、中国におけるメンタルヘルス事業の立上げ、運用体制の構築及びEAP業務全般に従事。現在は休職者の職場復帰を支援。
張 磊(チョウ ライ) コラボレータ―
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開催日:2023/06/23(金) 15:30 ~ 17:00