自動化、DX化で注意すべき点│原理原則の理解
自動化の闇
自動作成ソフトや、DX技術の進化により、業務の効率化や工数削減が進んでいます。
しかし全てを自動化し、人の判断や知識を排除することには疑問が残ります。
今回は、自動化の闇についておはなしします。
自動化やDX化を進めるとき、何に注意をすべきかについてお伝えします。
実際の製造現場での起きた問題です。
あるメーカーでは、全自動表面処理機を導入し、生産性が向上しました。
しかしその裏側では、製品の一部で不具合が発生していました。
初期の変色問題は小さな初期故障と片付けられ、生産性向上の効果が高く評価されました。
しかし、設備トラブルが発生し、製品に異物混入が起きるなどの問題が発生。
変色問題も慢性化してしまい、とうとう全自動ラインの後に、選別工程を設けることに。
生産性向上どころか、工数が増えてしまったのです。
陥りやすい「自動化バイアス」
そして、その問題について私へ相談があり、メンバー達と一緒になって問題解決に挑みはじめました。
すると、原因追求の過程で、自動化によりメンバー達が製品の製造プロセスを理解していないことが、浮き彫りになりました。
装置の動作原理、その背景にある条件や法則。
装置内の反応原理、その背景にある条件や法則。
つまり、物づくりを行うための「原理原則」について、全くと言っていいほど理解していなかったのです。
「これは、自動化バイアスに陥っているな。」と私は判断しました。
自動化バイアスとは、「人間の判断や介入が必要ないシステムであればあるほど、そのシステムは安心である。」という意識です。
この意識は、もし不具合が発生しても、問題を正しく捉えられなくなるなどの弊害が発生します。
メンバー達のバイアスを極限まで小さくするために、次のことを絵に描きながら理解するよう会議を進めました。
改善のために、製造プロセスの理解を深めるための取り組みをはじめたのです。
プロセスの理解を深めるための取り組み
会議と言うより、勉強会で楽しかったそうですが・・・・
・装置の動作原理
・装置の動作原理を成り立たせる条件/法則
・加工原理
・加工原理を成り立たせる条件/法則
最終的には、熱風ヒーターの配線被覆が劣化し、異物が飛散したことで、変色等の不具合原因になったと判明し、問題は解決しました。
この事例から、自動化が進んでも、人の思考や理解を大切にする必要があることが示されました。
業務の自動化は進む一方で、その背景にある原理や原則を理解した上で運用することが重要です。
これにより、問題が発生した際に迅速かつ適切に対応できるようになります。
自動化は効率化に貢献しますが、人間の知識や洞察力もマネジメントしながら活用することが大切です。
ちなみに、原理原則を描くために、装置の観察を繰り返したそうです。
その時、役に立ったのが”装置の清掃で得た気付き”だったそうです。
自動化に適切に応じるための知識/経験、そして、意識の育成も大切なのです。
これからも、自動化、DX化を人財育成からサポートしたいと思います。
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坂田 和則(サカタ カズノリ) マネジメントコンサルティング2部 部長 改善ファシリテーター・マスタートレーナー
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