ミドルマネジャーのためのメンタリングコラム(5)
心が弱っている部下を救う上司の接し方:“危機対応のメンタリング”とは!
あなたの部下は大丈夫?
職場において仕事の内容や人間関係の問題からくる精神的なストレスで悩む人がどんどん増えています。あなたの周りを見わたして次のような部下が居たら要注意です。
1.急に生産性が落ちている社員
2.ヤル気を失くしている社員
3.迷い、不安を感じている社員
4.自信を失っている社員
5.体調がずっと優れない社員
上記の状態が長く続き、精神疾患を患う人も少なくありません。考えられる要因としては、経営環境の変化のスピードの加速化、人間関係の希薄化、業務に必要な知識・スキルの多様化と変化・・・等があげられますが、各職場でどんどん深刻な状態になって行っているのは間違いありません。
そんな中、今、多くの組織で“メンタルヘルスの向上”が求められています。うつ病などの精神疾患で通常の勤務ができなくなるケースも少なくありません。
簡単に言ってしまうと、“元気の無い人”が激増しているのです。“健常”と“病気”との切り分けは、とてもファジーであり、そのことがソリューションを難しくしているとも言えます。
しかし、マネージャーの支援の仕方によっては、状況をかなり良くすることが可能となります。今回は、とてもシンプルな二つのカンフル剤投与的方法を紹介しますので、是非、試してください。
視点を過去から未来に転換せよ!(視点を変える質問)
元気を失ったりしている状態の人間は、往々にして自分の過去に焦点を当てていることが多いのです。つまり、彼らは、多くの時間を現在から過去を分析することに費やしているのです。なぜ上手く行かなかったのだろう。どうして自分だけがこんな目に・・・と。この状態にある部下に対して、未来からの視点を持たせることによって心理的なパラダイムシフトを起こすことができるのです。こんな質問をしてみてはいかがでしょうか。
「10年後の自分から見たらどんなアドバイスをすると思う?」、「将来、あなたが課長になっていたら今の状態はどのように評価する?」、「5年後、どんな仕事の仕方をしているのが理想的?」等々。
思考停滞のカンフル剤はこれ!(視野を広げる質問)
落ち込みが大きくて、手が付けられなくなっている社員に対しては、視野を広げる質問をなげかけて下さい。例えば、「オセロで四隅を相手に取られてあなたが勝つ可能性は?」というような質問です。四隅を相手に取られると絶対に負けると思われているオセロですが、絶対絶命と思われる状況からどうやって起死回生、這い上がってくることができるかという問いでもあります。大抵の人は、即座に勝つ可能性は無いと答えます。
そこで、「オセロ板を広げる」という解答を示して下さい。実際のゲームでは物理的にオセロ板を広げるのは不可能であっても、仕事や人生という領域では、いくらでもその心理的範囲を広げることは可能なのです。この“どんなに行き詰っても大丈夫!”という感覚をその人に伝えることが、パラダイムを変化させることにつながります。
いかがでしょうか。元気な時にはあまり意味を持たないものであっても、状況が変わると、“目からウロコ”の状態をつくることが可能になります。これも相手のニーズを知り、それに応えるという原理原則の応用なのです。
今年もコラムをご購読いただきありがとうございました。2016年も続けてコラムを書かせていただきますので、どうか引き続きよろしくお願いします。
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人(個人と組織)の元気と本気を創るメンター/コンサルタント
企業の人材育成と学校教育の両分野で価値のブレイクスルーを通してモチベーションを高める独自の手法を用い、研修、講演活動などを行っている。 コンサルティング分野では、メンター制度導入、ミッションマネジメント、などを行っている。
大野雅之(オオノマサユキ) 株式会社統合共育研究所 代表取締役 メビウス人財育成グラジュエートスクール 学長
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