社員と上司でありがちな「こじれ関係」の原因
社員同士のトラブルというのは、どこの会社でも少なからずあるはずです。
働く人のメンタルヘルスの問題の多くが
「職場の人間関係」
をきっかけとしているのもご存じの通りかと思います。
新入社員を迎えるころになると
よく新入社員と指導係の職員などの関係が難しくなることはありませんか。
指導する立場と、新任者ですから、
関係が難しくなることも容易に想像できますが、
精神分析学という臨床心理学のなかの学派では、
「転移」
ということで説明する場合があります。
転移というのは、
ガンなどの病気の話ではなく
「感情転移」
と言ったりもします。
簡単に言えば
過去にあった人間関係のありようを
現在の人間関係の中に投影してしまうようなことです。
例えば
結婚した相手が、自分の親に似ているとかいう場合は
親子関係を、結婚相手に投影してしまっていることになります。
時々、芸能人の方のものすごい年の差婚などが報道されますが
少なからず、親子関係の転移があるのではと思われます。
結果的に、うまくいかずに関係が破綻してしまうような場合もよく見られますが
これは、親子関係と結婚関係は根本的に異なるためでしょう。
職場の中での、上司、職員関係で時々見られるのも、
「親子関係」の転移の場合もありますし
学校の先生と生徒のような関係とか
「社会人同士としてはなんだか妙だな」
と思ったときは「転移」を考えてみると良いでしょう。
ただ、会社のなかでちょっと困難なことがあります。
それは、こうした転移関係というのは、
解釈による「気づき」によって、改善する場合があるのですが
まちがっても
「その関係は、わたしとあなたとの関係ではなく、
あなたとお父さんの関係ではないですか?」
といった「解釈」ができないことです。
こうした解釈を、会社の同僚でやってしまいますと
ハラスメントのようになってしまいますので
言い方をすこし工夫して
「会社の社員と上司の関係としてはなんだか違和感を感じますね」
とか
「会社の同僚としての関係の在り方が望ましいですね」
といった、あるべき姿を提示することになります。
そうすると
「私のことが嫌いなんですか?」
とか
「信頼しちゃいけないんですか?」
といった言葉が返ってくるかもしれません。
そうしたら、
「転移が起きているんだな」
と承知しておくことで、人間関係のトラブルは大分避けることができるでしょう。
転移というのは、すべてが悪いものではなく
例えば、
メンタル的に落ち込んでいる社員が
恋愛関係ができたことによって、すっかり回復する、というような場合などを目にすることがあるでしょう。
こうしたことを
「転移性治癒」
というのですが、これは根本的に治ったわけではなく、
失恋したりするとまた元通りになることが多いです。
けれども、一時的には、治癒することもあるので
一概に悪いとも言えないわけですね。
私たちの人間関係は、
わたしとあなた
といった、目の前にいる人間とだけではなく
これまでにかかわった人たちの経験や心象をつねにはらみながら展開していることは
どこかで意識しておいてください。
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