「プロ講師」としての自覚を持つ。
私が研修講師という仕事を始めて、もう15年以上が経過します。
最初に行った講義は後継者向けの「簿記3級」の解説だったのですが、大失敗でした。
たった2時間の講義なのに途中から冷や汗がでて、「早く終われ!!」と心の中で
叫んだことを思い出します。
「簿記3級のテストは楽勝だったし、この解説ぐらいならできるだろう」と安易な
気持ちで、かつ、準備も不十分なまま講義を行いました。しかし、教える側に立って
はじめてわかったのです。
「自分は簿記を全く理解していない」ことに。
簿記の試験で受かるためには、よく出る問題をどう答えれば良いのか、そのパターン
や仕分けのカタチ等を覚えれば何とかなります。そのため、私は簿記の内容自体を
しっかりと理解していなかったのです。その状態で研修を行うと何が起こるのか。
「受講者の質問に答えられない」のです。
受講者:「何で減価償却しなくてはいけないんですか」
私:「それは、とにかくこの式を覚えれば良いんだよ」
受講者の質問から逃げている、最低な回答です。
それからしばらく、講師という仕事を避けていました。
しかし、いつまでも避けていては成長しません。幸い、研修施設で研修企画や運営の
仕事をしていましたので、数多くのプロ講師のやり方を直に見ることができました。
そこで「これは良い!」と思った手法を吸収し、何回も自分でリハーサルと経験を
繰り返し、今では「プロの講師」としての自覚と自信をもって臨んでいます。
「プロ講師とは何か?」と質問されることがありますが、私は
「講師としての専門知識と技術を持ち、講師という仕事に対して自ら厳しい姿勢で臨み、
成果を出せる者」だと勝手に定義しています。
ある知り合いの研修講師が笑いながら「この前、二日酔いで研修に出講して、午前中
気持ち悪くて大変だったよ」と私に話したことがありました。私は叱りました。
「相手に失礼でしょ!それじゃ講師失格だよ!!」
私も日本酒が大好物です。しかし、研修の前日は我慢します。カレーもです。カラオケも
大好きな野球観戦もやりません。それは、喉の状態を少しでも良くしたいためです。
生もの(刺身や寿司など)も万が一お腹を壊すこともあり得るのでダメ。
なので、新潟や青森に研修に行くと「美味しいものが食べられていいな」と言われますが、
残念ながら研修前はコンビニ弁当やうどん、ファミレスなどが大半です。
(その代り、研修が終わって次の日がオフの場合は、たくさん飲みます!食べます!)
もちろん、これは私自身のルールでしかありません。
プロとしての自覚を失わないためにあえて自分に課しているのです。
話が少し変わりますが、研修講師は研修の時間だけ話をしてお金がもらえて良いな、
と思われている方もいらっしゃるかもしれません。が、それは大きな間違いです。
中には「テキストを読んでいるだけ」のアマ講師もいますが、私たちプロ講師は
テキストが無くても講義ができます。それだけ何回も内容を読み込み、理解し、
自分の言葉で講義ができるのです。そのための準備が大変なんです。
どれだけ内容を理解すれば良いのか。私は一つの基準をもっています。
それは、「どんな質問でもしっかりと答えられるレベルになるまで」です。
そのことをふまえ、私が設定している「プロ講師」の定義です。
「質問を怖がっている講師はアマチュア。質問を楽しめる講師がプロ」
長文、最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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「研修設計のノウハウを広めています」
効果的な研修や人材育成を行なうためのワークショップ開催や資料提供、ファシリテーター派遣を行っています
今までに設計した研修は2000件以上。その満足度は90%以上いただいております。
真剣に人材育成に取り組んでいる企業・自治体や担当者様のパートナーとして
全力で支援し、人材育成で組織を元気にしたいと考えています。
飯島 宗裕(イイジマ ムネヒロ) 一般社団法人日本研修コーディネーター協会 代表理事/人材育成コンサルタント・日本酒コンサルタント
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