能力開発の本質
社員の能力開発への取り組みは、社員と企業の成長に不可欠なことです。
OJTや自己啓発に頼るだけの企業もありますが、
多くの企業では何らかのかたちで社員研修を実施しています。
この社員研修の目的は企業の経営課題によって様々ですが、
「ねらい」は社員の意識変革→態度変容→行動変容を促すか、
または社員の知識・スキル習得によって思考・行動変容を促すかに大別されます。
前者をねらいとする場合はグループ討議やロールプレイング主体の研修が多く、
後者の場合は講義や個人ワークが多くなります。
ねらいに合わせた研修スタイルがとられているわけですが、
能力開発の本質から、このことをもう少し掘り下げてみたいと思います。
意識変革→態度変容→行動変容を促す場合、大切なのは参加者自身の「気づき」です。
この「気づき」はどのように得られるかと言うと、研修中に受けた情報について
①本人の経験、知識との対比
②他者の話との対比
のどちらかまたは両方をすることによって得られます。
①については「振り返り」または「内省」によって、
②については、他の参加者または講師との会話によってなされます。
ただ、研修では、①の場合でもグループ交流の機会があって
他者と話をする機会がある(つくる)と言うことです。
つまり、重要なことは、「気づき」は、
他者からの影響を受けて生まれるように研修では仕組まれているのです。
なぜかと言うと、振り返りや内省だけでは「正しい気づき」ができない場合があるからです。
意識変革→態度変容→行動変容を促す場合、
自己流の間違いを正すのが研修における能力開発の本質と言えます。
知識・スキル習得によって思考・行動変容を促す場合、
大切なのは身に付いた知識・スキルを実践の場で活かすことができるかどうかです。
実践の場で活かすには、得られた知識・スキルと実践での業務を紐づけることが必要です。
したがって、講師には、そこまで参加者の業務に精通していることが求められます。
場合によっては、参加者同士で紐づけ方についての話し合いの場を設けてもいいでしょう。
知識・スキル習得によって思考・行動変容を促す場合、
業務の品質・生産性向上に結びつく知識・スキルを習得することが
研修における能力開発の本質と言えます。
社員研修を企画・実施される方々に、
社員の能力開発に直結する成果を生んでいただくためのヒントになれば幸いです。
- モチベーション・組織活性化
- 安全衛生・メンタルヘルス
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大手人材育成企業で本部長・執行役員を歴任。企業の人材育成における幅広い知見と講師経験による実践知を持ちあわせている。
昨今の企業における経営課題を解決するための本質である「個と組織の関係性を最適化する」をテーマに、企業の組織開発に力を注いでいます。従業員の意識変革と態度能力向上を図ることによって、従業員がいきいきと働ける職場つくりを基本にしています。
伊藤 宏之(イトウ ヒロユキ) 株式会社アイアンドオン 代表取締役社長
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