感情労働としてのテレワーク
【ヒューマン・タッチ レター vol.99】
みなさん、こんにちは。株式会社ヒューマン・タッチの森川です。
前回は、コロナ後の働き方、特に在宅勤務と、出社しての勤務について
話題提供をさせていただきました。
上記いずれの形態になっても、オンラインでの商談や打合せについて
は確実に継続されるものと感じています。
社外利用だけでなく、在宅勤務が一定数残る会社であれば、 社内コミュニケーションのツールとしても活用の頻度は上がってくるのではないでしょうか。
「オンラインツールでのコミュニケーション不足を感じる」とは、 多くのお客様からのお声です。
「打合せの前後に雑談の時間を作る」
「15時からは人事部主催の自由参加の「お茶会」を毎日開催する」
「朝会を毎日実施するようにしている」
「一人一人発話の時間を与えてその時間は本人以外はしゃべらない」など、
コロナ禍多くの工夫が実施されています。
なぜオンラインツールではコミュニケーションの不足を感じるのでしょうか。
「伝えづらい(伝えようとしていない)」
「理解しづらい(理解しようとしていない)」
のではないでしょうか。
実際に対面している時には、無意識的かもしれませんが、 例えば仕事上の困った状況を上司に報告相談する場面では、 目を伏せがちにして、言葉も弱々しい感じで「ちょっと問題発生です…」と話しかけるかもしれません。
オンラインでのやり取りで、上記場面を想像すると、
・音声が途切れる
・音声が遅延する
・表情が見えない(画面OFFの場合)
・相手が困っている(忙しい)状況かどうか、言葉以外から理解しづらい
・そもそも複数の参加者がいる場合が多い
・気持ちや感情を言葉だけで表現することが下手(トレーニング受けていない)
・気持ちや感情を推察(理解)することが下手(トレーニングを受けていない)
・気持ちや感情を取り扱うことが怖い(サポートがない)
・相手の反応が見えない
「伝えづらさ」「理解しづらさ」の要素が満載ですね。
こうなると、オンラインでのやり取りは どこか形式ばってしまい、そもそも自分の感情を伝えたり、理解や共感したりする場ではない、と考えてしまうのかもしれません。
オンラインでの職場でのコミュニケーション、特に感情面のやり取りをするには、難しさがあるのだと思います。
テレワークは「感情労働だ」との考え方も出てきています。
「感情労働」とは、「自らの感情をコントロールして、相手の中に肯定的な感情を作り出していく」ことです。
まさに私達カウンセラーや、接客業のみなさんの業務と通ずるところがあるという考えです。
感情労働で大切なコミュニケーション手段のひとつに「傾聴」に代表される「受容」と「共感」という考え方があります。
「受容」:相手のことを、良い悪いは判断せずにひとまず受け止める
「共感」:あたかも自分事であるかのように、という感覚で理解する
これらの作業が、オンラインでのコミュニケーションではより必要とされてくる、ということかもしれません。
特に「共感」の作業には、クライエント(部下)の発話だけでなく、表情やしぐさなど、多くの情報を得て、その「気持ち」を推察(理解)して、理解(しようと)していることをきちんと「伝える」必要がります。
ここで問題となるのは、上記の課題です。
逆に言えば、オンラインでのコミュニケーションを意味あるものにするには、上記課題を解決する方法を試してみることは意味があるのではないでしょうか。
・通信環境を整える
・皆が落ちついて話が出来る、仮想空間を作り出す
・リアルな表情だけでなく、アバターなどの表情も活用する
・言語以外の、身振りや手ぶり、特に相槌などを少し大げさにでも活用する
・ワンオンワンミーティングを設定する
・自分の気持ちをその場に応じてきちんと伝える研修を実施する(アサーショントレーニング、アンガーマネジメントなど)
・相手の気持ちをきちんと理解する研修を実施する(傾聴訓練など)
・「感情労働」に対する負担を軽減する、専門職からの支援を充実させる
・相手の反応を可視化するツールを導入する
いろいろな実験のなかで、新しいコミュニケーションの形が見えてくるように
私達も精進していきたいと考えています。
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通算500社以上のコンサルティング、900件以上の復職面談、年間100件以上のセミナーをこなすメンタルヘルス対策専門コンサルタントです。
メンタルヘルス対策の仕組みづくり、個別休職復職支援、ラインケアセミナー、セルフケアセミナー、全員面談、ストレスチェック、職場環境改善、災害・自死等の危機対応など、「こころ」の視点から、「いきいき職場づくり」をトータルに支援いたします
森川 隆司(モリカワ タカシ) 株式会社ヒューマン・タッチ 代表取締役 臨床心理士 公認心理師
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