職場の発達段階
【ヒューマン・タッチ レター vol.84】
みなさんこんにちは。ヒューマン・タッチの森川です。
「発達段階」ということばをお聴きになったことがある方は多いと思います。
最も有名なのは、エリクソンの8つの発達段階です。
私たちには、「乳児期」「幼児前期」「幼児後期」「学童期」「青年期」
「成人期」「壮年期」「老年期」の8つの発達段階があり、
それぞれの段階での発達課題が存在し、それらをクリアしていくことで成長し、
次の段階に進んでいくという考え方です。
今回ご紹介するのは、人間の発達段階ではなく、職場の発達段階です。
職場に発達段階があるのか??
と思われる方もあると思います。
アメリカの心理学者ブルース・ウェイ・タックマンによると、
職場(集団)にも「形成期」「混乱期」「規範期」「遂行期」「解散期」という
5段階が存在するとされています。
■「形成期」
組織が結成された最初の段階であり、メンバーが初めて集まり、
組織の在り方や目標などを模索している段階
■「混乱期」
組織の在り方や目標などを巡って混乱や意見の対立などが生じる段階
■「規範期」
チームとしての見解が共有されて関係性が安定する段階。
役割分担や協調が生まれ、行動様式の規範が確立する段階
■「遂行期」
チームが成熟して十分に機能し、成果を挙げることができる段階
■「解散期」
目標達成を経てチームを解散する段階
と言われています。
1人1人に発達の段階があるように、集団にもこのような段階があること、
改めて興味深いですね。
個人の発達段階と同じように、
集団であってもそれぞれの段階での課題を解決できなければ、
次のステップに行くことは難しくなります。
年間100か所以上の事業場にセミナーのためにご訪問させていただき、
皆さんとお話させて頂いておりますが、
職場の風土といいますか、発達段階といいますか、職場ごとに様々であることは感じます。
ある職場では、初めてのお客様に対しても仕事の手を止めて、
こちらに向けて挨拶いただくこともありましたし、
ある職場では、業務の押し付け合いに巻き込まれる事もありました。
いきいき職場づくりでは、1人1人が生き生きと働くための環境整備を、
従業員の参加型で検討し、実践し、評価していくプログラムです。
効果が高い改善方法と言われていますが、一方で、
職場の発達段階に応じた取り組み方が必要とも言われています。
例えば、「混乱期」でとどまっている職場に対して、
全員参加型の改善手法を押し付けてしまえば、
「なんで忙しい自分が、こんな会に出ないといけないのか」
「そもそも悪いのは○○なんだから、あいつを何とかしろ!」
「管理部門で勝手にやってくれ」
との罵詈雑言で、会は進まないでしょうか。
一方、「規範期」に入っている職場であれば、個人の意見が尊重される土台から、
改善案が積極的に出されて、
改善の実験もスムーズに進むのではないでしょうか。
私たちも、発達段階に合わない取り組みは、
ストレスに感じたり、失敗したりすることは体験的に理解できますよね。
組織でも同じことが起こるわけです。
具体的には、「混乱期」で求められる取組は、改善案を検討したり実践する前の取組み、
すなわち、組織の目的や役割を共有し、指揮命令系統を確認して、
運営自体を整理しコミットしていくことになると感じます。
まずは職場の発達段階を見定めて、必要な働き替えを実施していくことが大切ですね。
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森川 隆司(モリカワ タカシ) 株式会社ヒューマン・タッチ 代表取締役 臨床心理士 公認心理師

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