リモートワークのメンタルヘルス、今こそ「ここちよさ」を
【ヒューマン・タッチ レター vol.47】
みなさん、こんにちは。ヒューマン・タッチ森川です。
コロナ影響下、リモートワークは緊急避難的に実施・継続されてきました。
しかし、緊急事態宣言が解除された今も、また、これからも、
「リモートワーク」が「ニューノーマル」として、
その効果や必要性が声高に言われています。
「リモートワークを選択」して、希望して取り組んできた人たち以外の
多くの人達が、「リモートワークの継続を強いられている」、ともいえる現状です。
組織の視点からではなく、個人の視点から、この体験を整理すると、
4月からの2か月間は、「新型コロナウイルス感染予防」という
全国的、全世界的な大義の元、
「おうち時間の楽しみ方」「新しい生活様式の構築」キャンペーンの中、
ある種イベント的に「リモートワーク」が実施されてきました。
「いつか終わりが来る」であろうイベントの中で、
今の体験を楽しもう、こんな空気感もあったと思います。
しかし、今後はこの生活(勤務)様式が
「ニューノーマル」になる可能性が高くなってきています。
職場での個別面談を通して、
「ニューノーマル」に「ついていける人」と、「ついていくのが難しい人」
が2極分化してきているように感じます。
「ついていくのが難しい人」にはリモートワークでストレスフルになりダウンする人
だけでなく、リモートワークを逃げ道にして評価が下がり、
結果組織から必要とされなくなるだろう人も含みます。
個人的な推測も含みますが、以下整理してみました。
■■「ついていける人」
【業務面から】
・業務の範囲が明確で、すでにその業務について知識と経験を十分に有している人
・成果や結果をある程度明確にできる仕事をこなしている人
・自分の業務能力を自ら向上させる(セミナーや資格取得)ことがうまい人
・自分の労働の対価としての給与をイメージできる人
(働いた時間や成果と給与の関連を客観視できる人)
【パーソナリティーの面から】
・まず「考える」人よりも「動く」「動きながら考える」人
・自分の気持ちを客観的に表現し、SNSやメールを使って発信することがうまい人
・自分の「ここちよさ」を実現する環境を会社以外にも持っている人
■■「ついていくのが難しい人」
【業務面から】
・業務の範囲があいまいで、あれもこれも器用にこなせ、それが評価につながっていた人
・成果よりもプロセスを評価してもらう仕事をこなす人
・自分の意見よりも、上位者の意見を尊重し、上位者の取組を補完する発言が多い人
・社内で相対的に求められる業務をこなして、評価されていた人
・残業時間がなによりも絶対的な価値観の人
【パーソナリティーの面から】
・人との交流が苦手なので、1人で仕事ができることが楽しいと考える人
・自分よりも相手の気持ちを優先しすぎる人
・まず「動く」「動きながら考える」人よりも「考える」人
・感情的な言葉を出しやすい人
・仕事上の関係を、プライベートにも持ち込もうとする人
・自分の「ここちよさ」をすべて会社(人間関係、仕事)に依存している人
地理的にも、文化的にも、均質な社会を形作ろうとする力が働きやすいこの国では、
終身雇用の中で、家族を作り、物質的にも精神的にも幸せな生活を営むことは、
皆に刷り込まれた「ここちよさ」だったといえるかもしれません。
和歌山の田舎で生まれた団塊ジュニアとしては、半分は身に染みて理解できます。
しかし、グローバルな世界となり、情報は一瞬で駆け巡り、
古い体質は「悪」として取り残される世の中です。
なんとか新しい取り組みにもステップを踏んで取り入れてきた日本でも、
「ウイルス」との戦いでは「リモートワーク」という
グローバルスタンダードから外れるわけにはいかなかったようです。
いやおうなく、「リモートワーク」という「形式」「手段」のみ取り入れてしまった今、
個人の「ここちよさ」や「価値(何を大切に生きてきたか、生きていくか)」を
整理する機会が少なかった(その必要がなかった?)私たちは、制度についていく
ことに違和感を感じていたり、上述したような2極分化が生じてくるのではない
でしょうか。
今まで以上に「ここちよさ」や「価値」を作っていくことが大切になるのだと思います。
ただ、私たちは「ここちよさ」や「価値」を持っていないわけではなく、
身近で常にそばにある当たり前のものとして、
普段は意識していなかっただけではないかとも感じます。
ですので、「ここちよさ」や「価値」を整理して、言葉にして、認識して、感じていく
作業こそがリモート時代の「セルフケア」につながるのではないでしょうか。
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森川 隆司(モリカワ タカシ) 株式会社ヒューマン・タッチ 代表取締役 臨床心理士 公認心理師

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