グループ経営における人事制度の考え方

グループ経営における人事制度の考え方
ビジネスモデルや収益力の異なる事業会社別の人事制度をどのように整備していくべきか?
グループポリシーを起点に、事業会社の環境に合う制度を構築する
メンバーシップ型の考え方から転換する
親会社と子会社で構成されるグループ企業から、人事制度を見直したいという相談が増えています。
「グループで統一した評価制度を構築したい」「グループ間で自由に異動をさせたいので賃金水準を合わせたい」という相談内容が多いのですが、同一労働同一賃金や職務を軸にした人事制度への転換が進んでいる昨今の労働市場において、逆行した考え方であることをお伝えしています。
賃金水準は業界と職種によって決まると言っても過言ではありません。事業会社においては、環境も収益モデルも、労働市場の賃金水準も大きく異なります。そのため、無理に人事制度を合わせると稼ぎ頭となっている事業会社に所属している社員が不満を感じることが出てくる可能性があります。これまでのメンバーシップ型の雇用であればマッチする考え方ですが、現代においては「事業会社別」の人事制度を構築するほうが平等な制度であると言えます。
グループ間で共通すべき基準を設定し、グループシナジーに繋げる
事業会社別に人事制度を作る必要があるとはいえ、統一感が無ければグループシナジーの発揮が難しくなります。そのため以下の項目については統一基準として設置することが可能であるかを検討する必要があります。
1. 人事ポリシー、人材ビジョンを統一できないか?
2. 等級制度における管理職として求められる基準(マネジメントにおいて必要な考え方の統一)は統一できないか?
3. 評価項目(態度姿勢やマインド等の項目)は統一できないか?
上記の1~3が全て共通基準として設定できる場合には、考え方の統一は図りやすくなりますが、難しい場合には事業会社をさらにいくつかのまとまりを作った中で統一した考え方にまとめていくことが必要です。グループ間異動を検討する際にも、上記の項目が統一されているほど、異動の障壁は下がっていきます。また、賃金水準に関しては、各社の事業環境によって設定することが一般的です。異動によって賃金が下がる可能性がある場合には、本人に十分な説明をしたうえで、会社都合であれば一定期間の調整手当を設けることも必要になります。
タナベ経営では、経営コンサルタントとして各社の事業環境を見据えた人事構築を行っております。興味のある方は事例と共に情報交換をさせていただければ幸いです。
※本コラムは岡原が、タナベ経営の経営者・人事部門のためのHR情報サイトにて連載している記事を転載したものです。
【コンサルタント紹介】
株式会社タナベ経営
HRコンサルティング事業部 HR東京本部
部長代理
岡原 安博
入社後は、人事制度・教育体系の構築やマネジメント支援に従事。人事研究会に所属し、「社員が幸せになる会社」作りを研究し、コンサルティングに展開している。
主な実績
中堅運送業:人事制度再構築コンサルティング
地場金融機関:人事制度再構築コンサルティング
地場青果卸売業:人事制度再構築コンサルティング
中堅自動車部品卸売業:人事制度再構築コンサルティング
- 経営戦略・経営管理
- モチベーション・組織活性化
- 人材採用
- 人事考課・目標管理
- キャリア開発
創業60年以上 約200業種 15,000社のコンサルティング実績
企業を救い、元気にする。皆様に提供する価値と貫き通す流儀をお伝えします。
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企業の特色や風土、文化に合わせ、組織における人材育成、人材活躍に関わる課題をトータルで解決します。
タナベコンサルティング HRコンサルティング事業部(タナベコンサルティング コンサルティングジギョウブ) コンサルタント

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激変する社会情勢や社内環境を踏まえると、これからは理念やビジョンに沿った制度全体の再設計が急務です。
