人事担当者に必要な「互いを認め合い、活かし合う」姿勢
弊社では技術系企業に特化したダイバーシティ経営の推進支援に取り組んでいますが、
何より自分自身が多様な価値観や思考を認め合い、活かし合おうという
ダイバーシティ&インクルージョンの意識でいることに注力しています。
それでなくとも、今は世の中がどんどん変化して
先行き不透明なVUCA時代(※)であり、その変化に柔軟に
対応するためには、とても重要なことだと考えているからです。
※VUCAとは、V(Volatility:変動性)、U(Uncertainty:不確実性)
C(Complexity:複雑性)、A(Ambiguity:曖昧性)の4つの単語の
頭文字をとった造語で、「先行きが不透明で、将来の予測が困難な状態」
を意味します。
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■「互いを認め合い、活かし合う」姿勢の重要性
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会社は人で成り立っている、ということは
誰もが知るところだと思います。
その「人」の力を認め、引き出し、活かし合って
成長を促す関りについて真摯に向き合い取り組み続けることが
人材育成に携わる方にとって最も重要なことの1つではないかと
私は常々考えています。
なので、私は「互いを認め合い、活かし合う」という姿勢は
特に、人事部に所属する方が意識するべきものと思っています。
*
仕事上、様々な人事部の担当者様にお会いする機会がありますが、
先日も、女性活躍推進担当に任命され人事部に配属になったばかりの
女性担当者の方とお話しするタイミングがありました。
彼女は、会社や上司に対する不平不満が溜まっていたようで、
「会社の方針はブレていて、こっちは振り回されて困る」
と話の中で何度も愚痴をこぼしてるような状態でした。
私は話を聞きながら、彼女の中に
「互いを認め合い、活かし合う」
という姿勢や意識が十分醸成されていないことを感じました。
そこで、彼女が人事部へ配属される前にどんな仕事をしてきたのか
聞いてみると、企画や戦略策定業務にバリバリと取り組み、
アグレッシブに邁進してきたことを語ってくださいました。
確かに、コンセプチュアルスキルが高く、自ら仕事を
推進する力を彼女から感じ、素晴らしいと思いました。
その一方で、自分ひとりで全てやってしまいがちで、
誰かの意見を取り入れたり、チームで協力して
互いの力を引き出し合う機会がほぼなかったため、
ヒューマンスキルの醸成が十分でないまま、
「仕事もバリバリこなす女性社員だから、
女性活躍推進担当にして大いに活躍してもらう」
という会社側の判断で人事部へ配属されたのかもしれない、
と思った次第です。
もし、彼女が人事として大切な
「互いを認め合い、活かし合う」姿勢を十分醸成した状態で
女性活躍推進担当として配属されていたら、不平不満ではなく、
もっと別の形で、会社や上司と上手く関係性を構築できていたかもしれません。
彼女の更なるヒューマンスキルの成長のためには、
自らの課題に気づき、「互いを認め合い、活かし合う」ことの
重要性を学んでいく必要があると思いました。
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■部下やマイノリティの立場から、上司の力を引き出す
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もちろん、会社や上司が現場社員の力を引き出したり、
組織のマジョリティから、マイノリティへの理解促進を意識することは
社内のD&I推進には大切な取り組みの1つであることに違いありません。
一方で、部下やマイノリティの立場の人たちから、
会社や上司の力を承認し、活かすような関りがあっても
良いと思いますし、それは想像以上の組織変革をもたらす可能性をも
秘めているのではないかと私は考えています。
私も大組織で働いていた頃は、朝令暮改は日常茶飯事で
意見が変わるたびに振り回されてしんどかったこともありました。
しかし、「なぜ意見が変わったのか?」と自ら把握しようと行動できる
ようになってからは、経営的な視座・視点が少しずつ醸成され、
先回りの対応ができるようになっていったのです。
例えば・・・
上司の意見が急に方針転換されていたら、
直近で上位役職者たちとの会議がなかったか
スケジュールを確認。
↓
その会議に出席していたメンバーを把握し、
最も影響力が高そうなメンバーに目星をつけたら、
その人に近い方から、できる限りの情報収集を行う。
↓
周辺情報から、自分の上司がなぜ意見を変えたのか
状況が解明される。
*
このように自ら情報取集することで、上司の立場を
理解することができるようになり、結果として
上司の視座・視点で状況把握できる、ということに
つながっていきました。
状況変化に応じて、どのように会社が判断するのかが
分かると、自分の立場であれば何を求められているのか
明確になり、徐々に経営的視点も醸成されることを
身をもって体感することができました。
逆に、上司の立場で
「部下が言うことを聞かない」
と悩んでいる際には、部下の視座・視点に降りることに
なるかもしれませんが、現場社員の立場に立って
「どんな景色が見えているのだろう」
と考え、気づきを部下との関わり方へ反映していくなどの
行動をとっていくことができるのではないかと思います。
これら双方の取り組みは、
「互いを認め合い、活かし合う」
というダイバーシティ&インクルージョンにも
つながっていくのではないかと私は考えます。
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■視座・視点を広げる質の高い場を提供する
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冒頭でお伝えした通り、D&I推進支援に
取り組んでいる自分自身が、常に
「互いを認め合い、活かし合う」
ということを大切にするため、
真摯に他の人からのアドバイスを聞き入れ、
多様な思考を把握しようとという姿勢を
持ち続けることを常に意識しています。
ダイバーシティ推進に関わる方におかれましても、
「互いを認め合い、活かし合う」という姿勢がないと
その視野の広がりも限定的となってしまい、
真のダイバーシティ&インクルージョンを
組織にもたらすことも難しくなってしまうのではないでしょうか。
さらに、現代はVUCA時代です。
会社を取り巻く状況も、自分が置かれた立場も
日々目まぐるしく変化している世の中にあり、
情勢を正しく把握し、自らの視点・視座を広げるための
インプット・アウトプットを怠らず、常にアップデートし続ける
ことも非常に重要であることは言うまでもありません。
当社が提供するリーダー育成プログラムにおいても、まず最初に取り組む1つが
●会社の方向性と課題感を把握する
ということです。
受講者一人ひとりが、それぞれの視座・視点で課題感を
捉えてもらい、課題解決に向けた知識やスキルをインプットし
現場実践(アウトプット)を通して、自分スタイルを確立しながら
同時に視座・視点を高める取り組みを長期プロジェクトで実施します。
これらの取り組みは、上司の巻き込みも必須であるため、
常に会社の動向を把握しながら、様々な変化にも柔軟に
対応する力も自然と養われていきます。
もちろん、提供プログラム自体も、その軸は変えずとも、
世の中の状況や会社全体の方向性の変化に合わせて
より効果の高いプログラムを再構築して提供し続けています。
本プログラムは、関わる全員が常にPDCAを回しながら、
世の中の変化に柔軟に対応し、より会社成長につながる成果を高めることに
コミットして進めているのです。
人の成長に終わりはありません。
部下育成・社員育成に携わる、管理職や人事部といった
立場にある方には、常に部下・社員の視点・視座を高めることに
つながるような、質の高いインプット・アウトプットの場を提供することに
ついて、意識して取り組んでいただけたらと思います。
- 経営戦略・経営管理
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◆技術系企業D&I突破口となる次世代リーダー・女性管理職を育成
元NTT女性管理職10年、約500名のSE部門における人事育成担当3年の豊富な現場経験を持つ。これまでのべ5,000人以上の技術系企業のリーダー・管理職育成に携わる。専門は技術系企業に特化したD&I推進コンサルティング。
細木聡子(ホソキアキコ) 株式会社リノパートナーズ代表取締役/技術系ダイバーシティ経営コンサルタント/(公財)21世紀職業財団客員講師/中小企業診断士
対応エリア | 全国 |
---|---|
所在地 | 千代田区 |
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