自社の特性を踏まえたD&I推進のポイント
特に、男性管理職比率8割超といった技術系企業において
D&I推進に取り組む際には、自社の特性を踏まえた課題を
的確に把握することが重要であると考えています。
これまで当社の取り組みとして実施してきた
技術系企業の実態についての調査結果から
技術系企業ならではの課題を分析すると、
主に以下の特性があることが分かっています。
(1)男性管理職比率8割超といった技術系企業
<課題>
・新3Kが根強く残っている
→男性が多い職場でこれまでのやり方で成果も出してきたので
現状維持で良いと考えがち
・アンコンシャスバイアスが酷い
→男性が多い職場で女性を始めとしたマイノリティーに対する
理解が乏しい
<起こりうる事象>
女性社員の成長や活躍を阻害してしまう
(例)
・上司が仕事を任せない
・女性社員は保護する対象とされる
・セクハラとなるのが怖くて言いたいことを言わない(=育成しない)
(2)IT系企業でSES事業を行っている会社
<課題>
・お客様先に常駐している社員の帰属意識が低い
→お客様先に常駐している社員への会社からの情報共有や
育成・サポートが手薄になりがち
<起こりうる事象>
お客様先に常駐している社員の評価・育成が公正にならず、
モチベーションの低下と帰属意識の更なる低下を促す
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■自社の課題解決の方向性を見極める
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自社ならではの課題感を的確に把握できたら
それらを踏まえた解決の方向性を検討しながら
D&I推進に取り組まれるかと思います。
当社がこれまで関わらせ頂いてきた
組織改革・女性活躍推進プロジェクトにおいて
試行錯誤しながらも確実に風土改革が進んでいる
技術系企業様の取り組み手順をまとめてみました。
<定石を踏んだ組織改革手順(例)>
1)トップ(経営層)の意識改革及びトップダウンでの組織改革
2)管理職の意識改革及びダイバーシティマネジメントスキルを醸成
3)社員全員に対してD&I意識付けと教育
4)新3Kを解消する働き方改革
1)トップ(経営層)の意識改革及びトップダウンでの組織改革
経営層のコミットメントの有無が、組織改革の成功を
左右すると言っても過言ではないと考えます。ボトムアップだけでも
組織改革は進みますが、経営層の意識醸成が不十分だと
なかなか思うように進みづらいのが現状です。
2)管理職の意識改革及びダイバーシティマネジメントスキルを醸成
組織の連結ピン(※)の機能を持つ管理職からスキル・マインド醸成
することが、最も効率的かつ効果的な組織の変化をもたらすことに
つながります。特にアンコンシャスバイアスへの対処に取り組むことで
組織内の公正な評価・育成の実現を推し進めることが可能となります。
3)社員全員に対してD&I意識付けと教育
1)、2)を経て、「組織が本気で変わろうとしている」と
社員一人ひとりが感じ取れるような環境が構築し始めたら
アンコンシャスバイアス、ハラスメントの本質的な理解促進も
可能となります。
4)新3Kを解消する働き方改革
新3K「きつい・厳しい・帰れない」という現場課題を
根本的に解消していくための取り組む重大性を、組織に携わる
一人ひとりが認識して自分事として取り組むことで、
真の働き方改革の実現につなげます。
※連結ピンとは
米国の組織心理学者R.リッカートが
提唱した組織とリーダーシップの関係に関する概念です。
リッカートは、人と人、人と組織、組織と組織を有効に結びつけ、
コミュニケーションを円滑化する“潤滑油”の役割あるいは
そうした役割を果たす能力を「連結ピン」と呼び、
リーダーやマネジメント層には連結ピンとしての
機能が求められるとしています。
引用:日本の人事部 人事キーワード「連結ピン」より
https://jinjibu.jp/keyword/detl/478/
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■多様な人材が「いる」だけになっていないか
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前述の組織改革手順を見ていただくと、
会社側(経営層)と社員が、お互いに取り組みを
進めていくことが重要であることがうかがえるかと思います。
特に、誰もが持っているアンコンシャスバイアスがもたらす
様々な問題を解消するためには、「自分にも偏見があるかもしれない」
という前提で、相手の考えに耳を傾けることが大切だと考えます。
それが、「ダイバーシティマネジメント力」の
1つになると思うのです。
ダイバーシティ&インクルージョンを推進しようとすると、
「多様な人材が“いる”」ことに注目しがちかもしれませんが、
生産性を上げて成果を上げる=インクルージョンを実現するには
互いの違いを認め合い、違う視点を融合して発展させ、
新たな価値創造を目指すという組織風土が必要だと考えます。
先日実施した技術系企業のマネージャー層1on1ミーティングで
「家庭の事情等で突発的に休む部下の仕事は、
自分(管理職)がかぶって対応している」
と吐露するマネージャーが8割を超えていたのが今の現状です。
管理職がこぼれ落ちる実務をかぶるのではなく、
新3Kを根本解決してもう一歩先の組織を実現するためには、
「多様な人材が“いる”」から
「多様な人材がこの力を発揮して価値や成果を出す」
更には、
「多様な人材の相乗効果で組織としての価値創出」
を目指していくことが真のダイバーシティ&インクルージョンへと
つながっていくのではないでしょうか。
技術系企業でD&I推進に取り組む担当者の方におかれましては、
「多様な人材の相乗効果で組織としての価値創出」を目指して
引き続き取り組んでいただきたいと願っています。
- 経営戦略・経営管理
- モチベーション・組織活性化
- キャリア開発
- リーダーシップ
- マネジメント
◆技術系企業D&I突破口となる次世代リーダー・女性管理職を育成
元NTT女性管理職10年、約500名のSE部門における人事育成担当3年の豊富な現場経験を持つ。これまでのべ5,000人以上の技術系企業のリーダー・管理職育成に携わる。専門は技術系企業に特化したD&I推進コンサルティング。
細木聡子(ホソキアキコ) 株式会社リノパートナーズ代表取締役/技術系ダイバーシティ経営コンサルタント/(公財)21世紀職業財団客員講師/中小企業診断士
対応エリア | 全国 |
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所在地 | 千代田区 |
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