組織にイノベーションを起こす土壌があるか
技術系企業におけるダイバーシティ推進施策の1つとして、
女性管理職比率向上を掲げていることが多く見受けられます。
現在、当社がダイバーシティ経営コンサルティングで関わらせて
頂いている企業様では、いわゆる「下駄を履かせる」といった
管理職登用を考えている会社様はおらず、男女に限らず、
・管理職としてのスキル・知識があるか
・経営的視点を持っているか
・本人の管理職としての資質やマインド等
ということを前提にした管理職登用に取り組まれています。
一方で、技術系企業は一般的な企業とは違う特性を持っているため、
そもそも女性社員数が少なく、中には全体の1割にも満たない、
という企業も少なくありません。
そのような特性を持つ技術系企業において
女性活躍推進に取り組み、最終的な目的である
「これまで以上の会社成長をもたらすD&I」
を実現させるための考え方について見ていきたいと思います。
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■技術系職場に新たな管理職像を周囲に見せていく存在
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男性管理職比率8割超といった技術系企業では
画一的な視点で組織運営されていることが多く、
職種柄どうしても女性が働きづらい環境になりがちです。
他にも、新3K(キツイ・厳しい・帰れない)や
性別に限らず専門職志向が強く、マネジメント業務に
やりがいや価値を感じづらいといったことも
特徴の1つとして挙げられます。
そんな職場環境下にいる女性社員の方が、
今、目の前にいる管理職の働き方を見て
管理職という立場やその仕事内容に
魅力を感じるかと問うたら、かなりシビアな
反応が返ってくることは否めません。
私自身も技術系企業に長く勤めていた経験から、
その特有の組織風土に最初は慣れようと必死でしたし、
マネジメントの仕方が良くわからず、男性上司の
真似をして大失敗し、自分は管理職に向いていないと
落ち込んで自信をなくしたことは数え切れません。
しかし、あることをきっかけに、
これまで長い間続いてきた当たり前の職場環境や風土を
新しい形へと変化させ、時に打開しながら、
技術系職場に新たな管理職像を周囲に見せていく存在が
マイノリティの立場であり、女性管理職の1人でもある
私なんだと確信したのです。
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■社員に経営視点を持ってもらうことの重要性
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私の転機は「中小企業診断士」の勉強を
始めたことがきっかけでした。
それ以前の私は、経営的な視点が不十分で、
管理職・経営層の立場から見た発言ではなく、
自分視点で発信していたことに気づくことができ、
管理職昇格試験が不合格だった理由も
その時深く自分の中で腹落ちしたことを覚えています。
同時に、会社が私に何を求めているのか、
どんな役割を担って欲しいのか、どんな成果を
出して欲しいのか、様々なことが霧が晴れたように
明確に理解することができ、その後上司から
「最近、あなたの発言内容が変わった。
チームのこと、事業部のことを考えているのが良く伝わってくる」
とフィードバックをもらえるようになったのです。
結果として、改めて管理職昇格試験のチャンスをいただき、
合格することができたものの、その後の全てが
うまくいったかと言えばもちろん違います。
とはいえ、“経営的視点を持つ”ということは
会社が管理職に求める知識・スキルとして不可欠な
要素であることは、だれの目にも明らかです。
もし、技術系職場のD&I推進に向けて、
女性管理職比率向上を考えていて、かつ、
その対象となる女性社員のマネジメントスキルや
経営的視点が十分に醸成されづらい環境下にあるのであれば、
その環境を打開する取り組みと同時に、
女性社員の知識・スキル醸成につながる施策も並行して
実施することが重要であると私は考えています。
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■「見えない不公平」を打開する
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「自社では男女平等にマネジメント研修を受けさせています」
という素晴らしい会社も多くあります。
会社は人で成り立っている以上、彼らの成長が会社成長に
直結していることを踏まえれば、人材育成は決して止めては
ならない会社成長戦略の取り組みの1つであると言っても
過言ではありません。
ここで、もう1つ私の実体験としてお伝えすることがあるとすれば、
「マイノリティの立場で、自分らしく能力発揮するには、
マジョリティの立場とは違うコツが必要」
といったことが挙げられます。
私が会社員時代、会社は十分な教育機会を平等に与えており、
マネジメント研修の機会も多くありました。
しかし、同じように学び、学んだとおりにマネジメントに
取り組んでも、同僚男性はどんどん成果を上げているのに、
私はなかなか成果を出せませんでした。
成果を出している男性管理職の真似をした挙句、
さらに大きな失態を招いてしまった経験もあります。
同じ意見や提案でも、私より男性の意見のほうが
より納得して上司が受け止めているのはなぜだろう?
と悩むことも多かったですし、何より男性同士だと
気兼ねなくできる叱咤激励も、相手が女性となると
言いづらい、指導しづらい、だから言わない・・・
という「見えない不公平」のようなものが
私の周りをまとわりついているような気すらしていました。
私は、この状況を打開するため、試行錯誤しながら
様々な取り組みを現場実践して、
「自分の立場や、周囲からの見られ方を踏まえた言動」
「無理なく、自分らしくいるためのあり方の確立」
「相手も自分もwin-winになるアイディア出しのコツ」
といった、自分なりのマネジメントスタイルを
少しずつ積み上げてきました。
結果として自分らしいマネジメント実現につながり、
多くのチームメンバーに支えてもらいながら信頼関係を
構築することができるようになり、社内評価もぐっと
高まって、仕事に対するやりがいも感じられるようになりました。
特に、会社から認めて頂けたこととして印象に残っているのが、
「時短勤務者の高い生産性をモデルにした働き方改革」
の実施による残業ゼロで成果2倍というチーム結果です。
上司から「女性管理職の新しいマネジメントスタイルだ」
と言っていただき、女性部下から「細木さんみたいなリーダーなら
私もなりたい」とメッセージをもらったときに感じた喜びは
それまでの苦労を吹き飛ばしてしまうほどでした。
もちろん、これはあくまで私個人の一例ではありますが、
マイノリティの立場ならではの悩みや課題感は実態として
それぞれの職場に様々な形であるのではないかと思います。
それを打開して、新しい働き方、新しい職場風土醸成につながる
第一歩の成果を出すキーパーソンが、職場のマイノリティの立場
にある人たちではないかと私の経験からも実感しています。
そういった人たちが、自分らしく働こう、
自分がイノベーションを起こしていくんだ、という
意識を持った人材を生み出していくことが、真の女性活躍推進、
D&Iにつながっていくと私の実体験からも確信しています。
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■組織にイノベーションを起こす土壌があるか
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技術系企業の人材育成に携わる人事部や
ダイバーシティ推進室の方には、
マイノリティの立場の人たちが集まる機会を
作ったり、一緒に組織風土改革について考えたり、
さらにはその人たちの発信力や経営視点を高めるような
施策実施について、ぜひ前向きに検討いただきたいと
私は思っています。
もちろん、その施策の前提として
現場の実態を正しく把握することはとても重要と考えます。
例えば、マイノリティの立場の人たちが制約条件の中で
どのような意識で働いているのか丁寧に見つめて、
組織にイノベーションを起こせる土壌は果たしてあるのか、
ないのであれば、その妨げになっている真の原因を見極めて
最も社内にインパクトのある部分から施策展開していくのが
ベストであると私は思います。
今はイノベーションを起こす土壌がはっきりそこに
あるとは感じられなかったとしても、
組織風土を変えたい、自分らしく力を発揮したい、という
意識を持った社員がいるのであれば、近い将来、組織に
イノベーションを起こす取り組みを、今から準備することは
十分可能であると思います。
その可能性を見極めるためにも、見た目の目標や数値に
惑わされず、しっかりと課題抽出して、形骸化しない
D&I推進・女性活躍推進施策に取り組んでいただきたいと
願っています。
- 経営戦略・経営管理
- モチベーション・組織活性化
- キャリア開発
- リーダーシップ
- マネジメント
◆技術系企業D&I突破口となる次世代リーダー・女性管理職を育成
元NTT女性管理職10年、約500名のSE部門における人事育成担当3年の豊富な現場経験を持つ。これまでのべ5,000人以上の技術系企業のリーダー・管理職育成に携わる。専門は技術系企業に特化したD&I推進コンサルティング。
細木聡子(ホソキアキコ) 株式会社リノパートナーズ代表取締役/技術系ダイバーシティ経営コンサルタント/(公財)21世紀職業財団客員講師/中小企業診断士
対応エリア | 全国 |
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所在地 | 千代田区 |
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