画一的な視点は成長を阻む~目的と手段を取り違えないために
少子高齢化やVUCA時代と呼ばれる先行き不透明な今の時代においては、
多様性の発揮、多様な視点の融合といったいわゆるダイバーシティ推進は、
全ての企業において欠かせない取り組みであると言われています。
今回、自分自身を振り返って、
「画一的な視点は成長を阻む」
ということを改めて痛感したことについてお話を進めていきたいと思います。
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■画一的な視点に陥っていないか?
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私は大学で数学科を専攻し、その後就職した企業でも
理系の職種で長く働いてきました。
そんな経験から、元々論理的思考だったかと言われたら
決してそうではなく、今でもプライベートなど
気の置ける仲間との会話では、とりとめのない話を展開して
楽しい時間を過ごすことができるタイプです。
しかし、業務上では必然的に論理的なやり方や考え方を
求められる環境だったので、後天的にロジカルシンキングを
身に着けるに至ったと考えています。
そんな理系思考の状態で最初にぶつかった壁が
「管理職」でした。
部下一人一人と向き合い、チームのマネジメントを行うことは
自分が想像するより難しく、何度「私は管理職に向いていない」
と思ったか数え切れません。
その壁を突破したきっかけは、中小企業診断士の勉強でした。
組織のこと、経営のことを学び直したことで、
それまで悩んでモヤモヤしていたところから
パッと霧が晴れたかのように、多様なメンバーの力を
引き出す関り方や、会社が管理職に求めていることが
明確に分かった瞬間が訪れたのです。
もし、当時の私が、
「管理職は向いていないし、そもそも技術職なんだからこのままでいい」
と頑なになっていたままでは、その後得られた成長も成果も
まったく別物になっていたに違いありません。
「自分は理系だから」
「どうせできないから」
といった思い込みや独りよがりな考えによって
自分の幅を広げるチャンスを逃してしまうことは
非常にもったいないと私は考えています。
他にも、
「辛い/逃げ出したい/辞めてしまいたい」
と感じる時ほど、気づかぬうちに画一的な視点に
陥ってしまっているかもしれません。
そんな時は、とても苦しいかもしれませんが
「これは自分の幅を広げたり、新しい観点を
身に着けるチャンスかもしれない」
と、捉えるきっかけにしていただけたらいいな、と
心から願っている次第です。
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■多様性はもともと「そこ」にあるもの
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特に、当社がコンサルティングで関わることの多い
技術系企業(IT、情報通信、建設業など)においては、
多くの場合、男性管理職比率8割超といった環境下にあり、
画一的な視点で組織運営されている状況が今なお続いている
のが実態です。
長い年月をかけて、画一的な視点で運営を続け、
その結果大きな成長を遂げてきた組織にとっては、
D&Iや女性活躍推進の必要性について
どのように捉えれば良いか分からない、
ということもあるかもしれません。
とはいえ、前述の通り、現代は多様性の時代であり、
一人一人の強みや特性を引き出し合い、融合して新しい価値を
創造していくことが、これまで以上の組織成長の起爆剤に
なりうるということは言うまでもありません。
一方で、よくよく考えてみると「多様性」は
もともと、すぐそこにあるものではないか、
とお気づきになっている方も多いかと思います。
少子高齢化・VUCA時代と言われる今だから、
より“多様性”という言葉がクローズアップされて見えているだけで、
誰一人として同じ人はおらず、それぞれ強みや特性といった
個性を持ち合わせて、互いにその個性を認め合い、
活かし合いながら成長していくという取り組み自体は、
時代背景に関わらず普遍的なものであると考えられます。
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■「目的」と「手段」を取り違えない
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多様性はもともと「そこ」にある、と考えれば、
「人が持つ多様性を発揮できる環境を作る」
ということは、非常に自然な考えだと言えるかと思っています。
・育児しながら働く女性が増えたから
・介護しながら働く社員がいるから
・コロナでテレワークが普及してきたから
そういった理由から、多様な働き方を受容する環境を
作りましょう、という考え方もあるかもしれません。
しかし、本来の考え方からすれば
多様な人材の特性を、強みとして発揮してもらう
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そのために多様な働き方を受容する環境作りに
取り組むのではないかと思うのです。
私がサポートしている技術系企業様においても、
当初「目的」と「手段」が混在している状態で
思うようなダイバーシティ推進の取り組みにつながって
いかない、という状況に陥っていることが多々ありました。
例えば、テレワークが普及してコミュニケーションが
取りづらくなった、部下のメンタルダウンが増えた、
という悩みを抱えていたとしても、それはテレワークに
問題があるのではなく、上司と部下の関係性構築が
十分でなかったことが露見した、ということに
他ならないと思います。
もちろん、テレワークでは思うようにコミュニケーションが
取れない部分があるのは確かだと思いますが、そうであれば
会社で顔を合わせる機会を設けたり、よりコミュニケーションが
取れる環境整備をしていくなど、できることは沢山あるでしょう。
このような施策を考えたり、制度整備をすることは
人事に携わる方にとっては重要な取り組みの1つかと思います。
だからこそ、そういった取り組みの中で、原点に立ち返り、
「目的」と「手段」を取り違えていないだろうか?
という視点を持って俯瞰することは、様々な気づきや
現状の方向性の確認にも非常に役立つのではないかと
私は考えています。
- 経営戦略・経営管理
- モチベーション・組織活性化
- キャリア開発
- リーダーシップ
- マネジメント
◆技術系企業D&I突破口となる次世代リーダー・女性管理職を育成
元NTT女性管理職10年、約500名のSE部門における人事育成担当3年の豊富な現場経験を持つ。これまでのべ5,000人以上の技術系企業のリーダー・管理職育成に携わる。専門は技術系企業に特化したD&I推進コンサルティング。
細木聡子(ホソキアキコ) 株式会社リノパートナーズ代表取締役/技術系ダイバーシティ経営コンサルタント/(公財)21世紀職業財団客員講師/中小企業診断士
対応エリア | 全国 |
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所在地 | 千代田区 |
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