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「ガラスの天井」をどうやって突破するか

3月8日は国連が定めた「国際女性デー」です。

そこで、本コラムでは「ガラスの天井」を取り上げたいと思います。

 


┏━━━━━━━━━━━━━━━┓
■女性やプロパー社員が感じる「ガラスの天井」
┗━━━━━━━━━━━━━━━┛

「ガラスの天井」という言葉を
聞いたことがある方は多いのではないかと思います。

---------------------------------------------------
<ガラスの天井とは>
資質・実績があっても女性やマイノリティ(少数者)を
一定の職位以上には昇進させようとしない組織内の障壁を指す
(ウィキペディアより)
---------------------------------------------------

男性管理職比率8割超といった技術系企業においては、
女性やマイノリティの人たちにとっての「ガラスの天井」が
まだまだあると私は感じています。

例えば、私が主にダイバーシティ推進支援で関わらせていただく
IT系企業では、よくグループ会社化してIT事業を一本化する
といったことがあるのですが、そういった際にマイノリティとなる
子会社、プロパー社員といった立場にある人たちは
この「ガラスの天井」の存在にモヤモヤした気持ちを
抱くことが少なくありません。

しかし、そんな「ガラスの天井」を打破するためにも、
意思決定の場に座ること、すなわち「管理職」を目指すことを
決してあきらめないで欲しいと私は強く願い、そのために必要な
スキルやマインドという“武器”を持つ機会を推進する取り組みを
サポートし続けています。

 

┏━━━━━━━━━━━━━━━┓
■会社側もお手上げ?暗中模索のD&I
┗━━━━━━━━━━━━━━━┛

私が、なぜ「ガラスの天井」がある組織における
女性やマイノリティの人たちに向けて
「あきらめずに、管理職を目指してほしいと」
お伝えし続けているのか、というと、

●会社側は意図して「ガラスの天井」を作っているわけではない

という実態が、これまでの自分自身の経験や、
当社が取り組む技術系企業に特化したD&I実態調査の結果からも
明らかになってきているからです。

特に、男性管理職比率8割超といった技術系企業では、
それまで画一的な視点で運営されてきたこともあり、
新しい視点に気づきづらいのはもちろん、ましてや
新たな考えを取り入れて、具体的にどうやって組織運営をすれば
成果につながるのか皆目見当がつかない、というのが正直なところ
である企業が多くあるのです。

このことから、会社側がまだ見えていない「ガラスの天井」を
打開していくための取り組みを考え続けることが重要であることは
いうまでもありません。

それと同時に、女性やマイノリティの人たちが、それまでの
組織のやり方・マネジメントの方法に合わせようとするのではなく、
新たな視点や違うやり方を試行錯誤しながら、自分たちが
最もパフォーマンス高く、その力を発揮できるやり方を
確立する必要があると考えています。

 

┏━━━━━━━━━━━━━━━┓
■女性やマイノリティの成功事例が組織を動かす
┗━━━━━━━━━━━━━━━┛

私が技術系大企業で管理職として働いていた時、
時間外勤務が多い職場環境をなんとか改善しようと、
生産性を高める働き方を自ら率先して取り組み、
部下と一緒に新たな取り組みにどんどんチャレンジしたことで
残業ゼロで成果2倍という成果につながったことがありました。

当時の男性上司にこの取り組みを認められ、
その部署でさらなるステップアップが出来たのですが、その際
こんな風に声をかけていただきました。

「新しい働くスタイルを見せてもらえた。
女性管理職の活かし方が、君を通して少し分かった気がする」

その後、この部署では時間当たりの生産性向上の考え方で
人事評価することが定着し、さらに、新たな取り組みとして、
時間に制約のある当事者意識を持った女性社員等を中心とした
業務改善プロジェクトを立ち上げるなどの取り組みがスタートしました。

新たな取り組みで成果を出した男性上司が、
「女性の力を会社成長に活かす成功事例ができた。
今後、個々の多様な力を引き出すことにさらに注力する」

とおっしゃっていたのが今も心に残っています。

この経験から、もともと画一的な視点で運営している会社は
具体例や成功事例がないと、多様性からイノベーションを起こす
といったことが分かりづらく、ましてや「ガラスの天井」の
存在にも気づかないまま、ということにもなりかねないと思います。

だからこそ、その具体例や成功事例を、女性社員や
マイノリティの人たちが直接見せることで、会社側の
良い気づきにつながり、その気づきが、良いサイクルを
呼び込む1つの突破口になる
と私は考えています。

 

┏━━━━━━━━━━━━━━━┓
■女性やマイノリティの人たちの早期育成が急務
┗━━━━━━━━━━━━━━━┛

もし、男性管理職比率8割超といった技術系企業において
女性やマイノリティの人たちに向けた育成施策を
検討されている際には、「マネジメント」に関する知識・スキルを
学ぶ施策の実施タイミングについて一考いただきたいと思っています。

マネジメント研修は、リーダー候補者や昇格対象者に対して
取り組まれている企業がほとんどだと思いますが、
更に早い段階で取り組む必要があると近年ますます感じています。

特に、女性やマイノリティといった人たちは「ガラスの天井」によって
リーダー候補者や昇格対象者となる数自体が非常に少ないという
実態があるので、ますますマネジメントスキルを醸成する場が
失われてしまっている状態に陥っていると考えられます。

育成に対する公平性を保つためにも、リーダー候補者や
昇格対象者となるもっと手前の段階から、経営的視点や
マネジメント、リーダーシップを醸成するための
育成施策に取り組むことが必要ではないかと思っています。

マイノリティの立場にある人に限った話ではないかもしれませんが、
特にマイノリティの人たちは不公平感を感じやすい立場にあります。

そういった立場の方に向けて、早い段階で
ダイバーシティ&インクルージョンの重要性に気づき、
自分の強みを活かし、自分らしいマネジメントスタイル

確立を目的とした育成施策に取り組むことは、
結果として、女性やマイノリティの人たちが意思決定の場に
たどり着くのに必要な成果を出すための“武器”を与えることに
つながると私は確信しています。

ぜひ、これから組織改革・ダイバーシティ推進に取り組もうと
されている際には、組織の女性やマイノリティの方を突破口とした
ダイバーシティマネジメント力向上の施策について、
考える機会を設けていただければと思います。

  • 経営戦略・経営管理
  • モチベーション・組織活性化
  • キャリア開発
  • リーダーシップ
  • マネジメント

◆技術系企業D&I突破口となる次世代リーダー・女性管理職を育成

元NTT女性管理職10年、約500名のSE部門における人事育成担当3年の豊富な現場経験を持つ。これまでのべ5,000人以上の技術系企業のリーダー・管理職育成に携わる。専門は技術系企業に特化したD&I推進コンサルティング。

細木聡子(ホソキアキコ) 株式会社リノパートナーズ代表取締役/技術系ダイバーシティ経営コンサルタント/(公財)21世紀職業財団客員講師/中小企業診断士

細木聡子
対応エリア 全国
所在地 千代田区

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細木聡子(株式会社リノパートナーズ代表取締役/技術系ダイバーシティ経営コンサルタント/(公財)21世紀職業財団客員講師/中小企業診断士)

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2024/11/26 ID:CA-0005735 リーダーの心得