【事例】現場のマイノリティ育成から、組織改革へつなげる
私は日ごろから、組織を動かしているのは人であり、
このことから、【人の成長=会社の成長】であると確信しています。
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■社員の成長を促す2つのキーポイント
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私は会社設立当初から、一貫して人の育成を通して
会社・組織を変えていく取り組みを支援し続けています。
人には無限の可能性があると確信している私は、
成長するためのキーポイントとして
「マインド醸成」と「経験の積み重ね」が不可欠であると、
これまで延べ2,000人超の人材育成に携わり、また自身の経験からも確信しています。
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「マインド醸成」
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まず第一に、どんなにスキルや成長チャンスを与えても、
相手にその気がなければ、どんなにすばらしい取り組みであっても
期待する効果が即座に出るかと言ったら難しいかもしれません。
本人の「自分の不足スキルを補いたい」「今より成長したい」
というマインドがベースにあることが、何より本人の成長を加速させ、
期待する成果をもたらすと私は考えています。
私の経験則上、人のマインドが変わるきっかけになりやすいのは、
・失敗した時
・困難にぶつかって辛い時
このような状況下に置かれた時が多いと感じています。
その理由として、
「これまでの自分ではダメだ」
「変化しなければ」
「どうすれば乗り越えられるだろう」
と、自分自身が当事者意識を持っている状態が
意識変革を促すのではないかと私は考えています。
そのことから、当社にて男性管理職比率8割超といった
技術系企業において、人材育成を突破口とした
ダイバーシティ推進に取り組む際には、
組織のマイノリティである女性社員の方等のうち、
特に業務のやりづらさや課題等に直面している方々を
組織改革のキーパーソンとして育成しています。
彼女たちが現場で感じている悩みや課題感を
直接解決するための知識やスキルを与えると、
学んだそばからどんどん実践し、成果を出していく姿を
何度もこの目で見届けてきました。
このように、「成長したい」「乗り越えたい」という
マインドが醸成されていることによって、育成施策の効果が
何倍にも、何十倍にもなって、想像以上の成果や、周囲への
好影響をもたらす可能性があります。
まさにダイバーシティ推進の口火を切り、その先につながる
組織改革への道を最も効率的に、かつ、効果的に拓く役割を
果たすキーパーソンは、変革意識の高い、マインドが醸成された
社員の方であると私は確信しています。
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「経験の積み重ね」
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前述の通り、マインド醸成された相手に対して
知識やスキルを与えると、スポンジのようにどんどん
吸収していくことと思います。
しかし、この知識やスキルも「実践」が伴わないと
なかなか身につかない、ということは、経験上多くの方が
感じているところかもしれません。
当社の人材育成施策では、必ず「知識・スキル付与」と
「現場実践」をセットにして取り組むプログラムを組んでいますが、
その理由は、まさに現場での実践力を身に着けてもらうためです。
こちらからお伝えする知識・スキルは、わかりやすく体系化したものを
提供することを心がけていますが、いざ現場で実践するとなると、
それぞれの特性や強みを活かすために、自分なりのアレンジが
どうしても必要になります。
そのアレンジは、100人いれば100通りあって当然であり、
それを見出すためには、自ら実践し、失敗や成功を繰り返しながら
自分のものにしていくことが重要な取り組みの1つではないでしょうか。
自ら行動・実践して得た経験は、少しずつ積み重なって
新たな自分ならではのメソッドや、自分らしさを発揮するコツ等の
発見にもつながっていくことは言うまでもありません。
ぜひ、学んだ知識・スキルを活かすために、継続実践に
取り組んでいただきたいと思っています。
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■【事例】現場のマイノリティ育成から、組織改革へつなげる
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当社が女性活躍推進プロジェクトに携わり丸3年となる
技術系企業様では、まず1年目にマインド醸成の取り組みを
時間をかけて行いました。
2年目には、知識・スキル付与を開始し、2年目の中ごろから
一部の女性社員の方々の意識向上による言動や成果が
見られるようになりました。
例えば・・・
・会社利益につながる取り組みを自律的に開始し、PDCAを回して
うまく活用できる段階になったら、全部署を巻き込んでPJを立ち上げた
・女性部下のMBOシートの書き方が見違えるように変わった
(上司コメントより)
・女性社員育成研修を通して、全国の各拠点のメンバーと
交流を持つことにつながり、グループワークがそのまま
業務改善システム開発プロジェクトに発展して、最終的に
全社展開するシステムを女性たちの手で作り上げた
他にも、会社の在庫管理システムを改修してより効率的な
在庫管理を実現して経費約7割カットという驚くような成果を
出しているメンバーもいます。
3年目となった今年度は、冒頭でお伝えした「マインド醸成」
における個々人の濃淡が明確になり、より成果を追求する人たちと、
現状維持で十分だと捉えている人も一部で見られるようになってきたのが
印象的でした。
前者の場合「もっと学びたいので、お勧めの書籍を紹介してください」
と個別に質問を寄せてくださるなど、自律的に学びを深める行動を
積極的に取られているのが伝わってきていて、実際に女性リーダーとして
昇格候補となっているメンバーも複数いらっしゃいます。
経営者の方は、女性社員全員がリーダーを目指してほしいとは考えておらず、
女性社員の成長が、会社全体により良い影響を与え、思い描く組織改革へ
つながっていくと考え、今後も女性活躍推進プロジェクトを続行すると、
全社向けメッセージとしてその強い意思を発信しておられます。
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今回ご紹介したのは、一般事務職として
業務にあたっておられる技術系企業の女性社員の方々です。
もし、彼女たちがただ業務をこなすだけの毎日では、
業務改善のアイディアも出すのは難しかったでしょうし、
モチベーション維持も容易ではなかったと思います。
インプットやアウトプットの場は、社員の自己成長をもたらし、
良い刺激を受ける場として必要不可欠であると私は考えています。
さらに、この企業様における女性社員の成長と成果を見れば、
これまでにない視点で会社成長をもたらしていることは明らかです。
本事例に限らず、これからの世の中、多様な視点を引き出して
事業運営に融合することは、どんな会社にも必要となってくるでしょう。
特に男性管理職比率が高く、これまで画一的な視点で運営されてきた
組織においては、今後ますますマイノリティな視点を多様性として
引き出し、活かす取り組み、すなわちダイバーシティ推進が
重要施策となってくると考えられます。
今後、ダイバーシティ推進に取り組もうとされている際には、
「解決したい」「変わりたい」というマインドを持った
組織のマイノリティに属する社員の育成から
施策検討する機会を持っていただければと思います。
その人たちがもたらす成長と成果が、
きっと組織改革につながる大きな力となって
会社をこれまで以上の成長に導いてくれると考えます。
- 経営戦略・経営管理
- モチベーション・組織活性化
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◆技術系企業D&I突破口となる次世代リーダー・女性管理職を育成
元NTT女性管理職10年、約500名のSE部門における人事育成担当3年の豊富な現場経験を持つ。これまでのべ5,000人以上の技術系企業のリーダー・管理職育成に携わる。専門は技術系企業に特化したD&I推進コンサルティング。
細木聡子(ホソキアキコ) 株式会社リノパートナーズ代表取締役/技術系ダイバーシティ経営コンサルタント/(公財)21世紀職業財団客員講師/中小企業診断士
対応エリア | 全国 |
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所在地 | 千代田区 |
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