年上女性社員の対応に苦労〜1on1ミーティングの威力
さまざまな技術系企業の女性管理職育成を軸とした
ダイバーシティ経営の推進支援に携わらせていただく中で、
育成対象者の方と個別面談(1on1ミーティング)を
いつでも、何度でも受け付ける取り組みを
私はコンサルタントとして活動開始当初から継続しています。
今回は、1on1ミーティングが持つ可能性、
その効果について改めて感じる出来事について
ご紹介できればと思います。
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■年上女性社員の対応に苦労
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ある技術系企業の女性社員(Aさん・一般職)の方から
個別面談をお申し込みいただいた際にこんな相談を受けました。
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年上女性の同僚(Bさん)が、
「仕事が忙しすぎて回らない、
他の人に私の分を割り振って欲しい」
と相談されて続けて3ヶ月となりました。
彼女はベテラン層で、等級からしても
その仕事が対応できるレベルを求められており、
本人に頑張って乗り切って欲しいと思っています。
正直、今のチーム内で、彼女の仕事を引き受ける
余裕はどこにもないのが現状でもあります。
こういった状況を彼女に理解して欲しいのですが、
どう伝えればいいのか分かりません。
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AさんはBさんより等級が上に当たりますが、
互いに一般職です。
女性活躍推進プロジェクトの一環で育成対象者となり、
Aさんはリーダー的な役割を自律的に担うように
なっていました。
私は、個別面談でAさんの話にじっくり耳を傾け、
最終的にこんなことをお伝えしました。
「1on1ミーティングを実施するのはどうでしょうか。
相手の思いを聞き、相手の良いところを褒めながら、
現状についてお伝えし、一緒に乗り越えていくために
どうすればいいのか相談ベースでお話してみては?」
そんな提案をして、Aさんとの個人面談を終えました。
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■1on1ミーティングの威力!
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1週間後、Aさんから1on1ミーティングの
実施報告メールを受け取りました。
その内容からは、1on1ミーティングの凄さ、
相手から答えを引き出す関わり、
さらに相手から話を引き出す意識の大切さを
Aさんが実感している様子が伝わってきました。
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Bさんが思いをうまく言葉にできなかったので、
押し付けにならないよう、ヒントを出しながら
現場の打開策について一緒に考えてもらいました。
最初は後ろ向きな様子も見られましたが、私が感じている
Bさんの良いところを列挙し、励ますよう意識して
関わったことが良かったのか、最終的にBさんは
『チャレンジしてみます』とおっしゃってくれました。
数ヶ月の悩み続けて解決困難と思っていたことが、
ほんの30分の1on1ミーティングでクリアできて
とても嬉しく思っています。
細木先生みたいにどんな相談に対しても的確に
アドバイスできるリーダーになることを目標に、
これからもご指導お願いします!
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Aさんは、Bさんの考えに耳を傾けながら、
自分が感じている思いについても
Iメッセージ(※)で伝えて、Bさんの良いところを
十分に引き出す1on1ミーティングを実践できたのだと、
その報告メールの内容と結果から私は確信しました。
私自身、大企業の管理職時代から、
1on1ミーティングがもたらす可能性やその威力を
感じて、今も人材育成の現場で重要な施策として
大切に取り組み続けています。
Aさんは、今回の1on1ミーティングの成功体験を
きっかけに、リーダーとしてさらなる成長を
されるにちがいないと私は思っています。
※I(アイ)メッセージとは
コミュニケーションで相手に自分の要望を伝える方法は
2つあると言われていて、Iメッセージとは「私(アイ)」を
主語にした伝え方のこと。もう1つはYOU(ユー)メッセージで、
相手を主語にした伝え方となる。
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■面談の成功事例を周囲へ発信する意義
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当社が提供するリーダー育成長期プログラムでも、
1on1ミーティングの意義や手法を学んでもらう
カリキュラムが組み込まれています。
その中では、ロールプレイングを通して体験してもらい、
自分の関わり方を振り返る機会を必ず設けています。
そこでさまざまな気づきを得ることで、
実際の現場実践でより成果につながる1on1ミーティングを
経験し、成功体験として自信につながっていくのですが、
特に育成対象者からの気づきとしてよく聞かれることが、
「相手の話を聞くってこんなに大変なのか」
「今まで自分はしゃべりすぎていた!」
「相手と自分の価値観はこんなにも違うのかと当たり前のことに気付かされた」
といった内容がほとんどです。
それぞれの気づきを得た育成対象者は、
自ら積極的に1on1ミーティングに取り組むようになり、
成功体験を積み上げて、そこに成果が加わることで
さらに自信を深めていけるようになります。
今回ご紹介したAさんも、
「Bさんとの1on1ミーティングを通して、
これまで自分の意見を相手に一方的に伝えていたことに
気づきました。
私の関わり方が、相手にとって受け取りにくければ
状況は変わるわけがないですよね。
相手の思いや考えに耳を傾けて
相手から答えを導き出そうと心がければ、
お互いが納得できる答えに辿り着くんだなと
大きな学びを得た1on1ミーティングでした。」
ともおっしゃっており、手応えを感じていた様子でした。
このメルマガを読んでいる方の多くが、人材育成に関わる
経営者・管理職・人事担当者といった立場の方かと思うので、
日常的に1on1ミーティングの機会があると思います。
そんな皆様のように、普段から相手の話を聞くことを意識して、
多様性を認め合い、引き出す関わりに慣れていないと、
「自分と相手は考え方も価値観も違って当たり前」
というスタンスでいる重要性に気づいていない社員の方も
実はいらっしゃる可能性もあります。
多様性の時代と言われている今、より自分と相手の
価値観の違いに意識を向けて関わっていく重要性を
認識していただく必要があると考えられます。
そこで、皆様お一人お一人が持つ1on1ミーティングの
成功体験について、問題ない範囲で
特にリーダー候補の社員の皆様に
折に触れてお伝えいただければ、よい気づきとなって、
彼らの成長を後押ししてくれることにつながると
私は思っております。
ぜひ、積極的に“相手の答えを引き出す関わり”
に取り組んでいただき、その姿をお手本として周囲に
伝えることを通して、組織で働く一人一人の成長を
促し、会社成長へと繋げていただければと思います。
- 経営戦略・経営管理
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- マネジメント
◆技術系企業D&I突破口となる次世代リーダー・女性管理職を育成
元NTT女性管理職10年、約500名のSE部門における人事育成担当3年の豊富な現場経験を持つ。これまでのべ5,000人以上の技術系企業のリーダー・管理職育成に携わる。専門は技術系企業に特化したD&I推進コンサルティング。
細木聡子(ホソキアキコ) 株式会社リノパートナーズ代表取締役/技術系ダイバーシティ経営コンサルタント/(公財)21世紀職業財団客員講師/中小企業診断士
対応エリア | 全国 |
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所在地 | 千代田区 |
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