社員のオーナーシップ発揮のために管理職ができる2つの関わり
私が関わらせていただいている技術系企業の管理職の方から、
「部下のモチベーションが下がっているようで、
アウトプットの質が落ちているのが気になります。
部下とどのように関わればいいでしょうか」
といった相談を受けました。
詳しく聞くと、部下は本来希望していた仕事内容ではないため、
モチベーションダウンしてしまったようでした。
┏━━━━━━━━━━━━━━━┓
■やりたい仕事に就けなくても
┗━━━━━━━━━━━━━━━┛
組織で働く多くの人のうち、
心からやりたい仕事に携わっている人は、
日々やりがいを感じながら、存分に自分の力を
発揮していることと思います。
とはいえ、最終的に本人がやりたい仕事に
就けるということは、殊組織においては
ほとんど無いと言えるのかもしれません。
そうであれば、自分のやりたいことにピッタリと
当てはまるような仕事ではなくとも、
今目の前にある仕事に対してオーナーシップ(※)を発揮して
取り組めるかどうかが、働く本人の成果や成長を左右し、
ひいては、会社が目指す成果や成長を左右することに
なるのではないかと私は考えています。
※オーナーシップとは
個人が与えられた職務やミッションに対して主体性を持ち、取り組む姿勢やマインドのことをいう。
(グロービス経営大学院HPより)
では、組織で働く一人一人がオーナーシップを発揮して
もらうために、管理職や人事担当者といった立場の方は
どのように関わればよいのでしょうか。
┏━━━━━━━━━━━━━━━┓
■社員のオーナーシップ発揮のために
管理職ができる2つの関わり
┗━━━━━━━━━━━━━━━┛
私は、これまで延べ1,800人の人材育成に関わった経験から、
社員一人一人のオーナーシップ発揮のために管理職や人事
といった立場の方ができることは2つあると考えています。
1つ目は、今の仕事は会社経営のどこにつながって
いるのかを明示すること。
そして、2つ目は本人の希望を要素分解して本質を見極め、
今の仕事の中にその本質を見出してあげることです。
--------------------------------------------------------------------------------------
(1)今の仕事は会社経営のどこにつながっているのかを明示する
--------------------------------------------------------------------------------------
「この仕事は一体何の意味があるのだろうか?」
と考えたことがある人は多いかと思います。
それぞれの立場で、各々が仕事内容と向き合い、
意義を見出していくことはとても大切なプロセスです。
それを、管理職や人事といった人材育成に関わる
立場の人や、経営者・経営幹部といった方から改めて
「会社のミッションにつながる取り組み」
としての仕事であることを明示することで
社員の立場では見えていなかった意義や、
会社の取り組みがどのような社会貢献につながっているか
というところまで見せてあげることにつながります。
自分の仕事が巡り巡って社会に貢献していると理解できれば
これまで以上のオーナーシップを持って、
仕事に関わることができるようになると考えます。
--------------------------------------------------------------------------------------
(2)本人の希望を要素分解して本質を見極め、
今の仕事の中にその本質を見出す
--------------------------------------------------------------------------------------
例えば、「企画の仕事がしたい」という希望を持っている
社員の方でも、その仕事のどんな部分に魅力ややりがいを
感じていて、自身のどんな強みを発揮したいと考えているかは
当たり前ですが人によって違うと思います。
・0から1を作り出してアイディアを広げる時が楽しい
・理路整然とした論理展開で企画を通した時にやりがいを感じる
・様々なデータ分析からトレンドを先読みするのが得意
・世間の心を魅了するようなコピーがひらめいた瞬間が幸せ
・仲間と一緒に1つのものを作り上げる達成感を味わいたい・・等
このように、社員が持っている希望の中にある
本質的な部分をよく見極めた上で、今ある仕事のなかで
その希望を満たす部分を見つけ出し、つなげてあげられるかどうかが
管理職や人事といった方の腕の見せ所なのではないかと思います。
それが、社員のモチベーションアップをもたらして、
パフォーマンスアップにつながり、さらにチーム全体の
パフォーマンスアップへとつながっていくと考えています。
┏━━━━━━━━━━━━━━━┓
■人の成長は会社成長に直結する
┗━━━━━━━━━━━━━━━┛
「いくら会社視点で見た仕事の意義を伝えても、
仕事の中に本人の希望に叶う部分を見出してあげても、
その希望を100%叶えるものではない以上、
結局モチベーションアップは見込めないのではないか?」
と感じる方もいらっしゃるかもしれません。
確かに、自分の希望が叶う割合が少なければ
理想とするようなモチベーションアップは
見込めないことも大いにあり得るかと思います。
そんな時、私の場合ですが、頭の中でこのような
発想の転換を行っています。
--------------------------------------------------------------------------------------
今の仕事の中で本人の希望に叶う部分は少ないけれど、
今後経験やスキルの積み重ねと共に、本人が想像する以上に
成長して、幅も広がっていくに違いない。
--------------------------------------------------------------------------------------
私が技術系企業の管理職だったころ、部下の更なる成長を考えて、
思い切って本人の希望とは異なる部署へ転属させた
ことがありました。
当初は部下も納得がいかない様子が見受けられましたが、
2年後、誰もが認める成果を出して部下が昇格した時、
真っ先に私へ報告し、感謝している旨を伝えられた時、
私の想像を超えて成長を遂げた部下をとても誇らしく、
大きな喜びを感じたものでした。
また、自分自身のことを振り返ってみても、
逆境に立たされた時ほど、なんとかこの状況を打開しなければと
必死に知恵を絞って、行動しつづけて乗り越えた後には、
予想していなかった大きな成果とともに、その経験によって
自分では気づいていなかった潜在能力が引き出されたなと
思うことが多々ありました。
このように、「人の成長」が「会社成長」に直結している以上、
社員の成長としっかり向き合い、関わっていくために
あらゆる努力を惜しまないことが、人材育成において
最も重要なことの1つであると私は確信しています。
更に言うなれば、「会社成長」は「社会全体の成長」へとつながっています。
もし、今人材を育成する立場にある管理職や人事担当者
といった方には、そんな社会貢献につながる最も重要な
仕事に取り組んでいるという認識を改めて持ち直し、
ぜひ、社員一人一人が将来かけてより大きな
パフォーマンスアップがもたらされるよう
真摯に関わり続けていただければと強く願っています。
- 経営戦略・経営管理
- モチベーション・組織活性化
- キャリア開発
- リーダーシップ
- マネジメント
◆技術系企業D&I突破口となる次世代リーダー・女性管理職を育成
元NTT女性管理職10年、約500名のSE部門における人事育成担当3年の豊富な現場経験を持つ。これまでのべ5,000人以上の技術系企業のリーダー・管理職育成に携わる。専門は技術系企業に特化したD&I推進コンサルティング。
細木聡子(ホソキアキコ) 株式会社リノパートナーズ代表取締役/技術系ダイバーシティ経営コンサルタント/(公財)21世紀職業財団客員講師/中小企業診断士
対応エリア | 全国 |
---|---|
所在地 | 千代田区 |
このプロフェッショナルのコラム(テーマ)
- 女性管理職育成 (39)
- セクハラ・パワハラ対策 (4)
- 部下マネジメント (15)
- 女性のためのリーダーシップ (12)
- メンタル強化 (3)
- 人事施策・研修実施のヒント (58)
- 従業員数5~30人の社長向けノウハウ (7)
- 人が辞めない会社の作り方 (7)
- 女性活躍推進2.0 (36)
- リーダーの心得 (19)
- アンコンシャスバイアス (7)
- 業務改革プロジェクト (4)
- 部下育成 (25)
- ニューノーマル時代の人材育成スタイル (4)
- 男性社員比率が8割超の企業の女性活躍推進 (17)
- 完全オンライン研修の効果 (1)
- ダイバーシティ・マネジメント (11)
- 技術系女性社員のためのキャリア形成 (3)
- 社員が安心して成長できる組織作り (2)
- 社員の経営視点を醸成して会社成長を加速させる (9)
- 技術系企業に特化したダイバーシティ推進PJ (16)
- しなやか組織改革プロジェクト (5)
- しなやか姿勢のすすめ (14)
- ダイバーシティマネジメント (14)
- ダイバーシティ&インクルージョン (26)
- ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン (4)