女性管理職研修が男性上司の意識改革もたらした施策立案のヒント
昨日、技術系企業の女性社員(対象:課長~昇格前の次期リーダークラス)
に特化した1年間の女性管理職育成プロジェクトの最終成果報告会がありました。
その場には、経営者・人事部長・受講対象者の
上司の皆様が同席され、彼女たちの取組み成果を
しっかりと受け止めてくださった姿が心に残っています。
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■視野が広がり、視座が2段階アップ!
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最終成果報告会では、1年間の学びと気づき、そして
業務改善を通して達成した成果を各自発表いただきました。
実際のコメントを一部ご紹介しますと・・
<次期リーダー候補者>
●このプロジェクトを通して、部門超えて横断的に関わることが増えたことで刺激をもらいました。
●役職が違うと、見えてくる景色も違うものだなと学ぶことが多かったです。
<課長クラス>
●同じ管理職の立場の人が、他部門の課題や、自分の部署をどんな思考で見ているのか、
一緒に業務改善に取り組む中で理解できました。
●目標達成率300%超という結果は一人では成し得ませんでした。
グループメンバーの相互支援に深く感謝します。
このように、それぞれが1年前と比べて大きく成長されていることを
実感し、特に「管理職として仕事に向き合う意識」が
醸成されて、「視野」が広がり、「視座」も2段階は確実に
アップしたと思わせるような発表が続きました。
プロジェクトでは、管理職としてのマインド醸成・スキル付与と共に、
現場実践として「業務改善」をセットにした形で進行させていますが、
私はそこで必ず、
現場の【実態に即したテーマ選定】ができる仕組みを
取り入れています。
今回の女性管理職育成プロジェクトにおいても、受講者である
女性社員の皆様がそれぞれ素晴らしい成果を出し、
その成果は会社側も納得するような結果として
認識いただけるという“効果”をもたらしたと、
改めて手応えを感じるに至りました。
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■男性上司の意識にも変化をもたらした
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1年前、女性管理職育成プロジェクトがスタートすることが決まり、
上司向け事前説明会を行った際には、この取り組みに対する
正直な意見も投げかけられていました。
「女性に特化したマネジメントってそもそもあるんですか?
マネジメントに男も女もないと思いますけど」
私がその場でなるべく分かりやすく事例をまじえて
ご説明したことを、当時質問をしてくださった上司(男性)の方は
受け止めてくださいましたが、その時に私は
「やはり、女性社員たちが成果を出して、それを実例として上司に見ていただき
ご納得いただく必要がある!」
と決意を新たにし、本プロジェクトへの思いが
より一層強まったことを今も鮮明に覚えています。
1年後の昨日の最終成果報告会の場に同席された
上司(全員男性)お一人お一人からコメントをいただいたのですが、
全員の方から「女性社員に特化した取り組みは有意義だった」
という言葉を聞くことができ、理解を深めてくださっていた
ことを知って、深い感動が胸に広がっていきました。
「部下の課題にフィードバックするたびに、
これまでの視点とは違うと気付かされることが多かった。
そのうち、自分にはないアイディアを引き出すのが
楽しくなっていった」
「職場は男性社会です。そこで部下が自分のマイノリティという
立場を強みに生かして結果を見せてくれた。
女性活躍推進の本来の意味が理解できた」
このような上司の方からのコメントを伺いながら、
やはり男性管理職比率8割超といった技術系企業においては、
男性視点での運営が主となる傾向にある部分を、
まずは社内のマイノリティでありながら最大数でもある
女性社員から、まず第一歩を踏み出す必要があると思いました。
会社運営における画一的なところではない分野で、
それまでにない新たな視点・価値観を発信し、
会社の利益や成長に貢献できる姿を見出していくことが
女性活躍推進の真の目的である、
「“これまで以上”の成果を出す」
ということにつながることを実証し、そこから
職場の多様性に対する意識が高まって、組織としての
ダイバーシティ&インクルージョンへの道が
大きく拓けていくのだと私は思います。
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■しなやかリーダーの影響力
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今回、1年間という長丁場のプロジェクトを通して、
女性社員の皆様は、現場業務とプロジェクトの課題実践で
本当に大変で、時に苦しい思いをされていたと思います。
しかし、その実践があったからこそ、学んだスキルを
現場レベルで体得し、自分ならではのマネジメントスタイルを
確立することにつながったと私は確信しています。
そんな彼女たちの相談に乗り、支え続けてきた上司にとっても、
実際に女性部下が成長する過程を見守ることで
自ずと自身の意識改革をもたらしました。
もちろん、個人差はありますが、現場実践で
経験を積み上げることで、関わった全員が最終的に気づきを得て、
大きな成果となったと言えるのではないかと思います。
本プロジェクトはひとまず完了しましたが、
すでに現場ではダイバーシティマネジメントが浸透し、
よりよいマネジメント環境がさらに社内に広がっていくことに
違いないと、私は自信を持って断言できます。
ここまでたどり着いた、この取り組みこそが、
私が狙っていたところであり、それが、
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しなやかな女性リーダーの存在が
組織の中で働く人々に仕事のやりがいと感動を与え、
全ての人が安心して成長できる職場を作る
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という当社のミッションなのです。
今回ご紹介した企業様の取り組みは、まさにこれを
実現した、好事例だと考えています。
*
ここまでご紹介してきたとおり、プロジェクト型の研修は
さまざまな波及効果が生まれやすいと感じています。
特に男性管理職比率8割超といった技術系企業において
女性管理職育成に特化した取り組みとしてプロジェクト型研修を
取り入れることで、個人の特性を強みに転換し業務に生かすという
具体的な事例が生まれ、それが現場にわかりやすい形で
伝わり、広まっていきやすいと思いました。
この女性管理職育成プロジェクトは、他にも多くのさまざまな規模の
技術系企業様において、その企業の実態に合わせて実施しており、
もちろん中には対象者を男女に分けず、合同で実施している企業様もあります。
その現場では、やはり男女の特性がより顕著に現れ、
直接その声を聞くことができるので、お互いの違いを認め合い、
尊重して関わるという姿勢が自然と醸成されやすいと感じます。
もし、自社でダイバーシティ推進・女性活躍推進に取り組まれている
技術系企業の経営者・人事担当者といった立場にある方には、
プロジェクト型の取り組み施策についてご一考いただく機会を
設けていただければと思います。
- 経営戦略・経営管理
- モチベーション・組織活性化
- キャリア開発
- リーダーシップ
- マネジメント
◆技術系企業D&I突破口となる次世代リーダー・女性管理職を育成
元NTT女性管理職10年、約500名のSE部門における人事育成担当3年の豊富な現場経験を持つ。これまでのべ5,000人以上の技術系企業のリーダー・管理職育成に携わる。専門は技術系企業に特化したD&I推進コンサルティング。
細木聡子(ホソキアキコ) 株式会社リノパートナーズ代表取締役/技術系ダイバーシティ経営コンサルタント/(公財)21世紀職業財団客員講師/中小企業診断士
対応エリア | 全国 |
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所在地 | 千代田区 |
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