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女性社員に「経営的視点」を持ってもらう意義

今月から、ある技術系企業の全女性社員対象としたオンライン個別面談がスタートしました。

こちらの企業様で女性活躍推進に関わって3年目に入り、女性社員お一人お一人と積み重ねてきた信頼関係が
月日を重ねるごとに醸成されていくような、そんな心境に至っています。

 

┏━━━━━━━━━━━━━━━┓
■MBOシートの書き方から始まった女性社員育成
┗━━━━━━━━━━━━━━━┛

こちらの企業様は、男性社員比率9割以上という
職場環境で、この中で働く女性社員の皆様の育成および
人事制度の浸透に私はサポートとして入らせて
いただいております。

前回は、目標管理制度(MBO)の理解浸透をテーマに、
女性社員お一人お一人のMBOシートをブラッシュアップする
という施策を実施しました。

新型コロナウィルス感染症拡大による影響で
動画セミナーとオンライン個別面談という形で
実施された取り組みでしたが、女性社員の方からは

「動画は何度も視聴できるから自分のペースで理解できる」
「わかりやすく説明してくれるから、気づきがたくさんある」
「先生と話すとすごく褒めてくれるので、自信になる」

といった声が届き、男性管理職の方からも以下のような
反響がありました。

・女性部下のMBOシートが劇的に分かりやすくなった
・部下が考えていることを理解することができた
・部下が会議に出たいと申し出てきて、仕事への姿勢が変化したと感じた

人事担当者の方も

「私たちが引き出せない女性社員の本音が聞けました」
「上長から多くの反響をもらったことで、会社にとって有意義な取り組みになったと思います」

と、手応えを感じておられたようで、
今回も同じスタイルで実施することになりました。

そのテーマが、

● MBOシートの振り返りと自己評価の方法

です。

 

┏━━━━━━━━━━━━━━━┓
■技術系企業で働く女性社員が抱える3つの課題
┗━━━━━━━━━━━━━━━┛

まずは動画セミナーを視聴して課題に取り組んでいただき、
オンライン個別面談の前に、MBOシートの振り返りを各自実施して
「自己評価シート」を提出していただく形を取りました。

実際にお話する30分間では、これまでの取り組みや成果について
改めてヒアリングすることで、自己評価に取り組む際の視点や
会社側が理解しやすい表現の方法などについて
きめ細やかにフォローしていきます。

現在、面談対象となっている女性社員の約半数の方と
オンライン個別面談を実施したのですが、彼女たちが
共通して苦慮していると思ったことがあります。それが、

●自己肯定感が低い傾向にある
●評価者の視点での自己評価が難しい
●会社が求める成果につなげた表現が不十分

といったことです。

----------------------------------------------------------
●自己肯定感が低い傾向にある
-----------------------------
-----------------------------

私は技術系企業の女性管理職育成を軸とした
ダイバーシティ経営の推進支援を中心とした活動を
さまざまな企業様で行っておりますが、

特に男性管理職比率8割超といった技術系企業においては
「ダメ出し文化」がまだまだ根強く残っている企業も
少なくありません。

そういった企業においては、「褒める」ということを一切しない
管理職の方も時々見受けられます。

今回取り上げた企業様は、女性社員の上司にあたる方が
事業部部長クラスとなっており、現場業務について
把握しきれていないという実態が以前からありました。

このような状態で上司との面談が行われると、
女性社員の自己評価の視点が上司には理解できず、

「頑張ってるとはいうけど、それは当たり前じゃない?」
「もっと◯◯すればいいのに、なぜ取り組まないのか?」

といった反応につながりやすくなってしまい、結果として
その上司の発言を“ダメ出しされた”と女性側は受け取って、
自信やモチベーションがどんどん下がっていく、ということが
この企業様で起きてしまっていたようです。

これまでのオンライン個別面談では、残念ながら
モチベーションが高い状態をキープされていた女性社員の方は
殆どおらず、私が自己評価シートの中で良い部分を褒めると
俯いて暗い様子から、パッと明るい表情に変わって、
「・・本当ですか?!」と中には涙を浮かべて安堵されている
女性社員の方もいらっしゃったほどです。


----------------------------------------------------------
●評価者の視点での自己評価が難しい
-----------------------------
-----------------------------

男性と女性の行動特性や価値観には
それぞれ違いがあると言われていることを
ご存知の方も多いかと思います。

例えば、以下のような傾向があると言われています。

<判断する時の傾向>
男性:論理的思考で判断
女性:直感や感性で判断

<タスク処理の傾向>
男性:シングルタスクで対応
女性:マルチタスクで対応

<目的の認知をする際の傾向>
男性:目的のゴール設定をして、空間的に認知する
女性:目の前の状況を、くまなく表面的に認知する

これらのことからお気づきの方もいらっしゃるかも
しれませんが、それぞれの特性は補完関係にあり、
特に仕事を行う上では、一方だけの特性ばかりが
強いことから、思わぬところで壁にぶつかるといったことも
起こりうる可能性があると言えます。

今回の面談中にも、<目的の認知をする際の傾向>を持った
女性社員の方が

「ただ目の前のお客様の課題を解決しているだけなので大したことじゃないのですが、・・」

と言いながら、顧客のために世界情勢を踏まえた
新規ご提案などを数多く手掛けていたことが判明したものの、
当の本人はそれを成果としておらず、自己評価に
至っていなかった、ということがありました。

日々、目の前のことを一生懸命対応することは
とても素晴らしいことです。そこに留まらず、
一つ上の視点を持って

「この仕事は会社運営のどこに役立っているのか」

という視点をさらに意識して持つということが、
この企業の女性社員の皆様には必要だなと
改めて感じています。


----------------------------------------------------------------
●会社が求める成果につなげた表現が不十分
-----------------------------------
-----------------------------

前述の「評価者の視点での自己評価が難しい」から
つながっていることでもありますが、
上司の視点、会社の視点に立って分かりやすく
自分の成果をアピールすることに対して
非常に苦手意識を持っていることが
これまでオンライン個別面談を実施した女性社員全員から
感じ伝わってきています。

どうしても、アピールの仕方が自分目線に止まって
いるように見受けられ、これでは上司側も
ダメ出ししてしまうだろうなという書き振りの
自己評価シートも少なくありませんでした。

会社側の視点とは「会社は自分に何を求めているか」
ということを理解しているかどうかです。

会社側の視点に立って自己評価を書かなければ
評価者である男性上司はなかなか理解できませんし、
その内容も受け取りづらいものとなりかねません。

会社側の視点は「経営者の目線」とも言えますので、
経営的視点を持った上で自分を振り返ることが
できるようになれば、何をどんな表現で書けば
相手に伝わるのか、という理解促進につながると思います。

 

┏━━━━━━━━━━━━━━━┓
■上司が受け取りやすくなる!自己評価の3つのポイント
┗━━━━━━━━━━━━━━━┛

これまでオンライン個別面談をした女性社員の方向けに、
上司が受け取りやすい自己評価シートの書き方のコツを
以下の3つにまとめてお伝えしています。

<自己評価の書き方:3つのポイント>

  1. 目標設定の達成状況を事実ベースで伝える
    →業務時間◯%短縮、売上△円達成など
  2. 自身の取組みによって最終目的にどのようにつながったのか?
    →お客様満足度につながった、利益アップにつながった等
  3. 取り組みを行うにあたって苦労したこと、工夫点

女性社員の皆様の置かれた立場や職場の状況、
本人の仕事に対する意識などの実態から、
この3点を押さえることによって、より相手(上司)が
彼女たちの自己評価を受け取りやすくなると私は確信しています。

ここまで、MBOシートの振り返りと自己評価を通した
女性社員育成事例をご紹介してきましたが、やはり

「経営的視点を持っているかどうか」

によって、自己評価のどこを切り出して
アピールすれば良いのかが明確化できるか否かの
別れ道となることを改めて痛感しました。

経営的視点を持っていることは、自分が会社から
求められていることを知った上で、会社が認め成果につながる
行動を積極的に取ることにつながります。

その自分の行動が、会社成長の一端を担っているという
意識を醸成し、いつもモチベーション高く業務に向き合う
自分へと成長させることになると言っても過言ではありません。

オンライン個別面談でお話した女性社員の皆さんのほとんどが
モチベーションが下がっている傾向にあったのは、
そういった「経営的視点」が不十分だったことも
1つの理由だと私は思っています。

私がこれまで関わらせていただいた多くの技術系企業様を
思い起こせば、経営的視点が十分に備わっていないのは
女性社員に限ったことではないことも分かっています。

そういった現状を打開するためにも、
社員一人一人の成長を促すような目標設定の具体的な方法と、
その振り返りに必要な経営的視点を醸成するような取組みが
1つの解決策につながるかもしれません。

今回ご紹介した企業様も、これまでの取組みによって
確実に変化を遂げておられます。もし、これから取り組もうと
されている経営者や人事担当者の方がいらっしゃいましたら、
ぜひ前向きに、諦めずに取り組んでいただきたいと願っています。

  • 経営戦略・経営管理
  • モチベーション・組織活性化
  • キャリア開発
  • リーダーシップ
  • マネジメント

◆技術系企業D&I突破口となる次世代リーダー・女性管理職を育成

元NTT女性管理職10年、約500名のSE部門における人事育成担当3年の豊富な現場経験を持つ。これまでのべ5,000人以上の技術系企業のリーダー・管理職育成に携わる。専門は技術系企業に特化したD&I推進コンサルティング。

細木聡子(ホソキアキコ) 株式会社リノパートナーズ代表取締役/技術系ダイバーシティ経営コンサルタント/(公財)21世紀職業財団客員講師/中小企業診断士

細木聡子
対応エリア 全国
所在地 千代田区

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2024/11/20 ID:CA-0005727 ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン