男女の特性・思考の差を感じるとき
技術系企業に特化した管理職育成プロジェクトに携わる中で、
「男女の思考の方向性が違うな」と感じる場面が多々あります。
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■男女の特性・思考の差を感じるとき
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現在、ダイバーシティ経営改善プロジェクトで関わらせていただいている、
ある技術系企業様では、管理職育成・女性活躍推進・人事制度見直しなど、
人材育成に関する全般をサポートしています。
こちらの企業様で実施している管理職育成研修においては、
対象者は男女混合で行っているのですが、
一人一人と個別相談を通して話をする中で、
「男女で考え方や思考回路が違うんですね」
と改めて気づかれる方が少なくありません。
男女の特性やその思考の差については、
講師として関わらせていただいている私が
常に感じるところでもあります。
例えば、業務改善をテーマにした取り組みの際、
課題設定や解決策策定は、ロジックツリーを活用して
論理的に考え実行に移すということを繰り返すのですが、
男女の反応がだいたい以下のように分かれます。
男性:「こうやって整理するとスッキリします」
女性:「どこを切り口に考えればいいのか・・分からなくなります」
このように、一般的にも言われている
「男性より女性のほうが論理的思考に対して苦手意識がある」
ということを、現場でリアルに感じています。
先日も、女性活躍推進プロジェクトのワーキングに
同席していたのですが、その休憩中の雑談で、
私が講師として指導している管理職研修も受講している女性メンバーの2人が、
「男女の特性がそれぞれある以上は、何か対策しないといけませんよね」
「特に上司(男性)に提案するときは色々気をつけないと・・・」
などと、ごく自然に話題にされていたことが
私の中でとても印象に残っています。
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■女性側は「相手の視点に立つ」ことを意識する
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特に男性管理職比率8割超といった技術系企業においては
主に男性視点を軸とした業務運営になる傾向にあることから、
いざ女性視点を業務に融合しようとすると、
なかなか思うようにいかない、女性視点を活かすイメージが
持ちづらい、という実態を抱えた企業が少なくありません。
これは私自身が技術系大企業で26年間働いてきた中で
実際に当事者として経験し、感じてきたことでもあります。
当時、私は男性上司に対する関わり方、伝え方を試行錯誤しながら
成果につなげ、周囲も納得する結果を出せるようになるまで
様々な壁にぶつかり、悩みながら仕事をしてきました。
なので、今なお、同じような状況下で悩みを抱えている
女性社員を見ると、なんとか踏ん張って頑張って欲しいと
応援せずにはいられません。
例えば、女性社員の方から寄せられる相談内容の1つに、
「上司が話を聞いてくれない」
「どうせ提案しても理解してくれないから諦める」
といったことがあります。十分にお話を伺った上で
私は自分の経験談と絡めて、以下のようなメッセージを
お伝えするようにしています。
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- 施策提案する際には、相手(上司)の視点に立って考えること
- 会社として施策実行するにはその根拠が必須
→論理的思考で、理路整然とした根拠となっているか - 相手が受け取りやすい伝え方(PREP法など)を意識すること
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女性脳の特性として、パッと思いつくアイディアが優れていて、
理由はないけれどもこれだ!という直感が働きやすい傾向が
あると言われています。
しかし、思いつきや直感をそのまま提案すると、
特に論理的思考を持つ傾向のある相手から見ると、
「また思いつきで言っている」
「根拠もないことを信頼していいものか・・?」
といった印象を与えかねず、どんなに素晴らしい
アイディアだとしても、会社として提案を受け入れるまでに
至らないという結果になりがちです。
上司が話を聞いてくれない、自分の発言は誰にも
受け止めてもらえない、と諦めかけている相談者に対しては、
「上司の立場から見たらどう思うかな」
「会社が納得する理由はどんなことだろう」
と一旦立ち止まって考えるきっかけとなるような
メッセージを発信するように心がけています。
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■好事例:女性部下の思考を理解し育成する
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男性視点で運営されている職場で女性の視点を融合し
これまで以上の成果を出すためには、男性側からの
歩み寄りもとても大切だと私は考えています。
現在、ダイバーシティ経営改善プロジェクトで関わっている
IT企業の人事部長(男性)の方が、うまく女性社員の
力を引き出し、育成しようとされていたので、
ここでご紹介できればと思います。
まず前提として、この企業様においては、
経営トップがダイバーシティ推進の重要性を認識し、
取り組みに対するコミットメントも周囲に十分伝わっている
という環境がありました。
人事部長の方も会社の方針をしっかりと理解し、
女性管理職育成の重要性についても認識を深めて
自身の女性部下の育成を日頃から意識されていたのです。
先日、女性部下の1人とお話する機会があったのですが、
「部長と話すと、自分の伝えたいことがより明確になってくるんですよね。
この間は、資料の書き方をレクチャーしてもらいました。
こうやって書けば、納得してもらえるんだって理解できたのは大きな収穫でした。」
とおっしゃっていたのを聞いて、とても感動しました。
さらにお話の詳細を伺って見えてきたことは、
たとえ周囲の女性社員から論理的でない提案をされても、
この人事部長の方は、
「なるほど、その根拠は◯◯ということになりそうですね」
と女性部下の提案内容に対して、必要な情報を補完しながら
考えを引き出すと同時に、
「こんな風に理由づけすると、より伝わると思いますよ」
と育成も兼ねた関わりを行っていることが分かったのです。
相手の意見を取り入れようという人事部長の方の姿勢の
素晴らしさは言うまでもありませんが、
仕事を行う上ですれ違いがちな男女の思考を
どうやって融合するのか、具体的に“男女が歩み寄る”
ということを体現してくれた好事例だと思いました。
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■「相手を理解するという」在り方を醸成する
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男女の特性やその思考の差について
それぞれの視点で事例をご紹介してきましたが、
私はやはり男性管理職比率8割超といった技術系企業において
それぞれの多様な視点を融合させていくためには、
女性側からも男性側からも“歩み寄り”が必要だと確信しています。
そのために、上司側の立場にある男性の在り方として
「多様な視点を引き出し、取り入れる」
という意識を醸成することが最も重要だと考えています。
一方、女性側の在り方としては、
どうせ話を聞いてくれないとすぐに諦めず、まずは
「上司の視点ではどんな景色が見えているのだろうか?」
と、相手の視点に立つという在り方を持つことが、
最終的に成果につながると考えて、行動し続けることが
大切だと思います。
もしかすると、“歩み寄る”という言葉からは、
それぞれの意見を妥協するというイメージがあるのかもしれません。
しかし、私が考える歩み寄りとは、
男女が持つ思考特性・行動特性の違いによって
お互いに伝えきれないコミュニケーションの部分を、
理解しようとすることが“歩み寄る”ということだと考えています。
組織の人材育成に携わる経営者・人事部長や、
ダイバーシティ推進担当者の方においては、
管理職者向けにマネジメント力の醸成を図る施策を
検討されていることと思います。
その際にぜひ優先して取り組んでいただきたい1つが、
「相手の理解をする」という在り方です。
それは、相手の行動特性や思考特性を理解するということや、
相手の意見を意識して取り入れるという姿勢も含まれます。
管理職層に「相手を理解しよう」という在り方が十分に
醸成された組織であれば、お互いの歩み寄りから、
多様な視点を引き出し合い、互いの強みを融合して
成長し続けるといった【ダイバーシティ&インクルージョン】が
自然と生まれていくのではないかと私は思います。
- 経営戦略・経営管理
- モチベーション・組織活性化
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- マネジメント
◆技術系企業D&I突破口となる次世代リーダー・女性管理職を育成
元NTT女性管理職10年、約500名のSE部門における人事育成担当3年の豊富な現場経験を持つ。これまでのべ5,000人以上の技術系企業のリーダー・管理職育成に携わる。専門は技術系企業に特化したD&I推進コンサルティング。
細木聡子(ホソキアキコ) 株式会社リノパートナーズ代表取締役/技術系ダイバーシティ経営コンサルタント/(公財)21世紀職業財団客員講師/中小企業診断士
対応エリア | 全国 |
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所在地 | 千代田区 |
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